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ASEAN5か国+インドのスマホ画面・アプリから見えてくるもの
これまで、ASEAN5か国(タイ・マレーシア・インドネシア・フィリピン・ベトナム)+インドのみなさんからスマホ画面を公開してもらってきました。
さて、そこから見えてきたものとは何でしょう?
それは、多少月並みですが「グローバル」と「ローカル」の2つのキーワードによって説明できると思います。
1.アフターデジタルへの体験の変革、「グローバル」な潮流への集約
世界中どこでも同様のサービスが使える世界へ
生活のあらゆるものにデジタルなタッチポイントが入ってくるだけでなく、それがオフラインと融合(merge)してあらゆる接点での行動がデータ化し、そのデータを活用してまた新たなサービスが生まれていく、、、そういった姿はここ数年、中国を先導者として世界的に急速に進んでいます。
その流れはグローバルで、一気に多数の国を巻き込んで行きます。よほど日本のように既得権益を守るために新規参入が規制されていない限りは、この流れに乗ってどこの国でも同じようなサービス、体験が同時多発的に発生していくのは逆らえない潮流と言えるでしょう。
よく使われているサービスはこれ!
スマホ(iPhone)が誕生した時にもともとあったベーシックな機能アプリ、GoogleMapsやメールアプリなどはもちろんとして、今や以下のようなサービスがどこの国にいても、スマートフォンを通じて誰でも簡単に利用できる環境になっています。
・SNS(ソーシャルネットワークサービス、Facebook・Instagramなど)
・コミュニケーションチャットツール(Whatsapp・LINE・facebook Messenger・Skype・Zaloなど)
・ライドシェアサービス(Grab・Gojek)
・モバイルウォレットサービス(Grab Pay・LINE Pay・OVO・Danaなど)
・ナビゲーション・渋滞回避(Waze)
・オンラインショッピング(Lazada・Shopeeなど)
・フードデリバリー(Food Panda・Grab Food・Go Foodなど)
いかに新興国と言えども、スマートフォンを手にした段階で一気にこういったサービスが使えるようになってしまうのが今の世の中ということですね。
スマートフォンはすでに新興国でも普及と考えていい
ちなみに、スマートフォン普及率は様々なところから数字が出ています。一例を挙げるとインドネシア60%、インド40%という数字があります。これを見て「やっぱりまだまだなんだなあ」というのは間違いです。私たちが訪日インバウンドや消費市場の対象として考える都市部、つまりジャカルタやデリー、ムンバイなどでは出ている数字以上に圧倒的にスマートフォンを手にしている人が多いのがわかります。
参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000031.000034654.html
そういう意味では、(改めてですが)私たちの対象市場に対してはもはやモバイルで接触できる、と考えて間違いないと思います。
さて話を戻すと、上に上げたようなサービスは日本でも(ライドシェアなど一部まだ規制がかかっているものはありますが)あるものばかりです。むしろ、日本の方が規制によって少ないぐらいですね。
こういった傾向はおそらく世界的に進んでいて、あらゆる国で同じようなサービスが享受できるようになってきていると思います。逆に言うと、どこかで革新的なサービスが生まれたら、それが一気に世界中に広がるといったほうがいいかもしれません。
すべてのタッチポイントの争奪戦に
これらのアプリでは、例えばインドネシアのYさんのスマホでわかるように、ライドシェアやモバイルウォレット、そして旅行アプリなどまでもが「生活のすべてのタッチポイント」を取ろうとして来ています。
それが「OMO=Online Merge Offline」、リアルとデジタルを「つなげる」のではなくてリアルがデジタルに「包含される」世界で勝つための唯一の方法だからでしょう。
2.新興国それぞれのマーケット特性を取り入れて生き残る「ローカル」プレーヤーの活躍
世界中すべてのスマホが同じ中身になる?
さて、では世界中すべての人のスマホの中身が全く同じになるのか?というとこれら6か国のスマホのアプリを見てもわかるように、答えは「No」です。
なぜなら、ASEANだけでも各国にいろんな生活・文化・価値観の違いがあり、必ずしも中国やアメリカが発祥のサービスが「勝てる」とは限らないからです。インドネシアのGojekが代表的な例でしょう。もともと公共交通機関が発達していないこの国では、バイクタクシーや乗り合いバスが市民の足でした。それを急にシェアライドのGrabがすべて取って代われるかというと、そうではなかったのです。
その理由は、ジャカルタの渋滞が世界最悪レベルでひどいために、車よりもバイクタクシーの方が圧倒的に便利なことがひとつ。
またもう一つにはバイクタクシーの方が圧倒的に安いことが挙げられます。
そのためもともとO-jekとして知られていた「市民の足」バイクタクシーがアプリで呼べて、しかも乗る前に金額がわかってライダーの評価も名前もわかっていて安心、ということからGojekが市場を席巻したのです。
※注:今はGojekも車のシェアライドをやっていますし、Grabでもバイクを呼べます。Grabが市場に参入してもUberを東南アジアから追い出したようにはうまくいかなかったのがインドネシアだったということです。
ローカルプレーヤーが活躍してそれぞれ特徴あるマーケットに
また、当然ながら各国の進出規制やマーケット特性などから、まだグローバルプレーヤーが参入を見送っている間にローカルプレーヤーが市場シェアを押さえてしまった、ということも挙げられるでしょう。
Amazonがそのいい例です。
Amazonは、これまでシンガポールでPrimeサービスとして生鮮食品や日用品を2時間以内に配送する会員制サービスなど一部の市場にしか参入していませんでした。ようやく2019年10月にシンガポールに初の拠点を作り、EC事業を展開し始めました。
しかし東南アジアでは、すでに圧倒的なNo.1プレーヤーであるLazadaがいて、それ以外にもShopee、Tokopedia(インドネシア)、Carousell(シンガポール)などのローカルプレーヤーがしのぎを削っている激戦市場になっています。
まだECの市場規模は思ったほど大きくはないものの、成長率がとてつもなく大きく(2018年からの成長率が年平均62%以上)、どのプレーヤーも「今が一気に勝負をかける時」と考えていると思われます。
参考:https://kr-asia.com/what-2019-holds-for-southeast-asias-e-commerce-sector
東南アジアの国のどこかで、「Amazon」と言っても知ってる人がほとんどいないことからも、「グローバル化が進む中での『ローカル』」がよくわかりますね。
このように、スマホ画面・アプリひとつ取っても世の中の動きや市場それぞれの特性・文化などが見えてきます。
これまでのブログを下にまとめましたので、ご参照ください。
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