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 ASEAN女性起業家に足りないものは、『T型ぶっ飛び力』

11月25日にASEAN Japan Centre、近畿経済産業局主催の女性起業家交流セミナーにご招待いただいたので、参加してまいりました。

東南アジアからいらっしゃった女性起業家の方々と、

ASEANビジネスアドバイザリーカウンシル女性部会長のフォズィア氏の進行で東南アジアの国々の女性をとりまくビジネス環境をはじめ、

日本とASEANで共有する女性起業家の課題について率直な意見交換を行うということがセミナーの趣旨でした。

 

参加させていただいてこうしたことを申し上げるのも大変恐縮なのですが…正直、物足りないセミナーでした。

 

 

理由は、

①セミナー自体の設計の曖昧さ、

②(これは自分を棚に置いて申し上げるのは大変恐縮なのですが)今回ASEANからいらっしゃった女性起業家の方々にあまり勢いを感じなかったからです。

 

前者に関しては、率直な意見交換をする以前に、各国の代表の方々が自由な形式でプレゼンテーションを行うので、

議論の焦点が絞り切れず、起業家特有の葛藤やその葛藤が生まれる原因となり得るそれぞれのビジネス環境にある問題や、

女性故の悩み(結婚や子育て等)まで踏み込めないまま「それぞれ大変だけど、

同じentrepreneurshipを持った女性同士の繋がりを強めていきましょう」という無難な一般論に着地したので、物足りなさを感じました。

 

後者に関しては、

参加者10名の中で自身のビジネスを1年以上続けて利益まで出せている方が2,3名しかいなかったので強烈なentrepreneurマインドを放っている方があまりいらっしゃらなかったり、

根本的に日本、もしくは日本とASEANでビジネスをすること自体に具体的な関心や情熱を持っていらっしゃる方が殆どいなかったり、

という諸々の理由を超えて、T型人材があまりいないのではないかと感じました。

 

 

では、T型人材とはどのような人材でしょうか…?

Tom Kelly氏(AppleやP&Gといった大手をクライアントに持つデザインコンサルティング会社アイディオ共同経営者)曰く、

T型人間とは、

自分の専門知識を持ちながら(I)、異なる分野にも興味を持て、連携できるので(一)、革新的なアイディアを生み出しやすいと言います。

このT型人材開発にはスタンフォード大学も注目し、独自のプログラムを持っているようです。

勿論時間が限られていたのである程度は仕方のないことですが、

今回は自分のビジネス、アイディアについて熱弁を振るう人は多くとも、

相手の話を真摯に聞き、興味を示そうとする方はあまりいませんでした。

自分とは分野、専門が異なると悟った時点でスイッチがオフになる様子が話の仕方や表情に表れていたので(これはこれで素直で分かりやすくていいのかもしれませんが…。)、残念でした。

たとえ分野、専門が異なっても、それ故に自分とは異なった視点から見える新たな世界が見え、

好奇心や想像力が刺激され、革新的なアイディアに繋がるのではないでしょうか…?

ちなみに、交渉術の権威であるStuart Diamond氏は、

あらゆる交渉を上手く進めるためには、まずは明確なゴールをしっかり自分の中で描き、

自分ではなく、交渉相手の視点を持ってしてゴールにたどり着く方法を考えることが、最も優位に働くことを示しています。

つまり、相手に対する関心を上手に示すこと、

相手の考え方・ビジョンを的確に理解することこそが、

自己主張して自分のやり方を推し進める以上に、ビジネスを優位にする、もしくはチャンスをつかむ鍵だと考えられます。

 

ただ、以上に述べたようなT型人材はASEANにいます。

絶対に。わが社が誇る特派員は勿論、近年では留学経験を持つ人材も増えているので、

リベラルで異なる視点で物事を考えることが出来る人材はいます。

 

(自分の立場もわきまえず厳しいことを申し上げるのは恐縮なのですが、)

女性起業家を探す前に、女性と絞らず、T型人材を探して、

そこからentrepreneurshipを持つ人材を選別した方が、

ASEAN諸国にとっても、日本にとっても、遥かに有益なのではないでしょうか。