バンコクで開催中のFITフェア、および現在のタイ市場における訪日商品の価格帯を定点観測していますが、その価格差の拡大と市場構造の変化には、大きなチャンスと課題が混在していると感じます。
今回は、現地で販売されている実際の価格データをもとに、タイ市場の現状を深掘りしてみたいと思います。
まず、今冬から来春に向けた募集型ツアーの最安値圏は、福岡3泊5日の24,999バーツ(約12.5万円)です。これは航空座席や宿泊の仕入れの工夫により、手頃な価格を実現している典型的なエントリー商品と言えます。
対して、高価格帯のスタンダード商品は1人あたり12万から14万バーツ(60万から70万円)が相場となっています。 行き先は定番の北海道だけではありません。今回のFITフェアで存在感を示している東北エリア(青森・福島・宮城・仙台)をはじめ、埼玉、中部エリアの岐阜、関西・中国・四国エリアでは鳥取や兵庫・岡山・香川、そして九州の福岡・大分・長崎など、実に多様な地域へのツアーがこの高価格帯で造成されています。
具体的な事例として、東北エリアでは福島・宮城(仙台)・山形を巡る6泊8日のツアーが130,000バーツ(約65万円)で販売されており、地方周遊型の商品が高付加価値化していることが分かります。
中でも、タイ人にとってユニークな体験が多い羽田経由青森への団体ツアーが1名約60万円でも毎回催行されており、商品がシリーズ化しつつあります。
ここで注目すべきは、欧州ツアーとの価格逆転現象です。
現在タイの海外旅行市場では、イギリス、フランス、イタリア、スイスなどを巡る欧米ツアーは6万から8万バーツ台(30万〜40万円台)が主流です。つまり、日本の地方を巡るツアーは、今や欧州旅行よりも高額な商品として流通している傾向があります。日本旅行はもはや安近短だけの旅行先ではなく、欧州と並ぶ、あるいはそれ以上のプレミアムなデスティネーションとして認識されつつあります。
さらに、タイ富裕層向けの動きは天井知らずです。
変わり種の高級商品として、2026年のTRAIN SUITE 四季島ツアーは100万円台。弘前城やねぶたミュージアムにも立ち寄り、日本と韓国の桜を観賞するダイヤモンド・プリンセスのクルーズ12日間は、279,000バーツ(約140万円)で販売されています。
また、近年主流となっている家族単位でのプライベートツアー(専用車手配)では、1人あたり20万から30万バーツ(100万〜150万円)という単価も、決して珍しい数字ではなくなりました。 家族にユニークな体験をさせたい、特別な思い出をつくりたいという強い需要があり、それに見合うデスティネーションがお抱えの旅行会社から複数提案されているのが現状です。
ちなみに、タイはJNTOの定める高付加価値旅行市場としては英国や中東市場より上で、シンガポールに続く8位(全訪日高付加価値旅行者の3.8%をタイ高付加価値旅行者が占める)となっています。このデータからも、タイ市場のポテンシャルの高さが伺えます。
これだけ多様な価格帯とニーズが存在するタイ訪日市場構造に対し、我々受け入れ側はどう動くべきでしょうか。
自治体やDMOが単にタイ市場と大きく捉えるのではなく、当県の商品はどの価格帯で、どの層に響くのかを明確にすること。ターゲットをより精査(セグメント)することで、プロモーションの効果を最大化し、受け入れ態勢もスムーズに構築できる段階に入っていると言えます。
ターゲティングと提携旅行会社の選択肢に関しても、お気軽にご相談ください。
アジアクリック 高橋学
サワディーカップ。バンコクから髙橋学です。この週末はタイランドゲームショウ2025に行ってきました。タイのゲーム市場は東南アジア地域において重要な成長市場として注目されており、2025年10月16~19日に開催されたgamescom asia x タイランドゲームショウ2025は、この成長を象徴する大規模イベントとなりました。本レポートでは、同イベントの概要、タイゲーム市場の最新データと将来予測、展示された主要ブランドとゲーム、B2B活動の詳細、日本企業への専門家アドバイス、および会場からの生の声をご報告します。
結論(この記事のまとめ)
タイゲームショウ2025は20万人以上の来場者を集め、年6.8%で成長するタイのゲームシーンを象徴する年に一度のイベントとなりました。
日本勢は物語性とキャラクターIPの強さで依然高い評価を得ていますが、会場ではアイデアも予算も実行力もある中韓勢に追いつかれていることを実感しました。当イベントではBtoBイベントにも力が入れられ、日本勢が生き残るには、支持されている「日本らしさ」を再確認し、シリーズとファンの歴史に基づいた「対話」をプロモーションに組み込むことでファン離れを防ぎ、新しいファンを育てていく必要があります。
最終日のタイゲーム賞では『Clair Obscur: Expedition 33』がGOTYなど主要3部門を同時受賞。
gamescom asia x タイランドゲームショウ2025(以下タイランドゲームショウ)は、ドイツで開催される世界最大級のゲームイベント「gamescom」のアジア版と、東南アジア最大のゲームイベント「タイランドゲームショウ」が初めて統合開催された歴史的なイベントとなりました。
来場者は206,159人と主催者が発表、前年(2024年)の186,876人を上回る、過去最高の来場者数となりました。そのうちB2B来場者は5,000人以上、B2C来場者は185,000人以上とのこと。イベントはBtoB日程(10月16~17日)とB2C日程(10月17~19日)に分かれ、業界関係者と一般ゲーマーの両方に対応する形式となり、会場もバンコク都心のクイーンシリキット国際会議場(QSNCC)で、展示面積は前年比約40%増の30,000平方メートルに拡大されました。
イベントのテーマは「World of Gaming」で、タイの副首相兼財務大臣が開会式で登壇し、ゲーム産業がソフトパワーの強化を推進するタイの「New S-Curve」産業の一つとして、タイ国家経済の重要な柱になることが強調されました。
さて、タイのゲーム市場についておさらいいたしましょう。
タイゲーム市場規模は、2025年は3,707億円規模で、2030年には約5,161億円に成長(2025年1月独Statista調べ )。年平均成長率は約6.8%で、これから5年間で約1.4倍に拡大する見込みです。
市場の特徴は、モバイルゲームが6割以上を占め、ユーザー数は2,347万人(人口の約36%)で安定推移する一方、既存ユーザーの課金額増加が成長の主要因となっている点です。タイのゲーマーの平均支出額は年数万円程度と東南アジア最高水準であり、課金意欲の高さが目立ちます。
日タイを比較すると、日本のゲーム市場は2025年時点で約2兆円規模とされており、タイ(約3,707億円)の約5倍の市場規模を持っています。ただし成長率ではタイが優位で、タイの年平均成長率6.8%に対し、日本は成熟市場として2~3%程度の緩やかな成長にとどまっています。
プラットフォーム構成も異なり、日本は家庭用コンソール・モバイル・PCがバランス良く発展している一方、タイはモバイルゲームが約6割を占めているものの、日本同様に熱心なPCゲーマーコミュニティが存在し、Steamはその中心的なプラットフォームです。
市場構造の課題として、タイゲーム市場の97.8%は海外ゲームの配信・輸入・ライセンス管理ビジネスが占めており、タイ国内のゲーム開発企業の市場シェアはわずか2%に留まっています。これはタイは後発であることに起因する海外ゲーム企業との競争激化、人材不足、資金調達の困難さなどが原因とされていますが、後述するように頑張っているタイのゲームスタジオもありますので、今後日本企業との協業やM&Aにも注目したいところです。
展示されたゲームとブランド
タイランドゲームショウ2025には、世界中から190以上の出展者が参加し、3つのホールにわたって展示が行われました。
エンターテインメントエリアには、バンダイナムコエンターテインメント、カプコン、コナミ、任天堂、Xboxゲームパス、HoYoverse、Ubisoft、Daedalic Entertainment、Mytona、Razer Game Services、Staika、VNG Games & NCV Games、Thermite Gamesなどの主要国際ブランドが出展しました。
ハードウェア関連では、AMD、Intel、Nubwo x EGA、Predator、SIGNO、SteelSeriesが最新のゲーミングギアを展示し、限定商品の販売やイベント限定プロモーションを実施しました。
ソフトもハードも、どのブースも限定品やスペシャル値引きが目立った印象です。

日本からは複数の大手ゲーム企業が出展し、中韓勢に負けず大きな存在感を放っていました。
任天堂は、最新タイトル『ポケットモンスターZA』の試遊コーナーを設置し、Nintendo Switch 2本体とソフトの販売も行いました。
ソニー・インタラクティブエンタテインメントのブースでは、Ghost of YoteiやCode Vein2など各メーカーのPlayStation 5タイトルの試遊ができました。
カプコンは歴代最大規模のブースで、『バイオハザード レクイエム』『モンスターハンター ストーリーズ3』『鬼武者リメイク』『プラグマタ』などが試遊できました。
これら数あるゲームの中でも、特に『鬼武者』と『プラグマタ』は行列が長かったです。



また、JETROも日本ゲームブースを出展しました。国を挙げてのゲーム産業推進は韓国や中国が先行していますが、海外でも日本政府のさらなる後押しを期待したいところです。

中国からはHoYoverse(『原神』『崩壊:スターレイル』の開発元)が大きな注目を集めました。中国のモバイルゲーム企業はタイ市場において強力な存在感を放っており、特に、チームで戦う「MOBA(モバ)」というゲームの分野では、「モバイルレジェンド」がタイでは常に上位に位置しています。
会場には韓国パビリオンも出展し、ソフト/サービスの輸出を意識したB2B商談が行われていました。
Garena(シンガポール拠点)は、タイ市場において圧倒的なユーザー数を誇る『RoV (Arena of Valor)』と『Free Fire』を展開しています。RoVはタイのeスポーツシーンで最も人気のあるタイトルの一つであり、Free Fireも若年層を中心に広くプレイされています。これらのタイトルは、タイゲーム市場のエコシステムにおいて極めて重要な地位を占めています。
マレーシアブースは十分には見られませんでしたが、マレーシア国内のゲーム企業を取りまとめて出展していました。

これら各国のゲームが入り乱れる会場では、タイ語で「これは中国のゲーム?日本のゲーム?」とタイ人にも見分けがつかなくなっているという声を数回耳にしたことに驚きました。
我らが日本ブランドは、目新しさは多くないものの、堅実なゲーム設計と強力なキャラクターIPで差別化しており、特に物語性や日本らしい「かわいさ」、シリーズの伝統と歴史に根差した萌えや胸熱展開が高く評価されています。
一方、中国企業はモバイルゲームとeスポーツ分野で強みを持ち、基本無料モデルとソーシャル機能を重視した設計、内外面ともに魅力的なキャラクターのグッズとの横展開で市場シェアを拡大しています。 代表的な例として、昨今話題の「無限大ANANTA」は、各名作ゲームの良い要素をパクったと言われる内容で大人気となっているのが記憶に新しいところです。
また、会場内東側には「タイパビリオン」と「インディーゲームエリア」が設置され、タイ国内の開発者による20タイトル以上のゲームが展示されました。Urnique Studio、FairPlay Studios、GambitGhost Studio、Barking Kitten、Jumbo Jumpsなどのタイスタジオが参加し、10月17日のインディーゲーム講演に登壇。約80タイトルのインディーゲームが展示され、世界中のインディー開発者と出版社が参加しました。私個人としても『The Shadow of AYUTTHAYA』など、世界遺産アユタヤ遺跡の舞台と雰囲気を活かしたタイらしいゲームに、タイのゲーム業界の成長を強く感じました。

タイランドゲームショウ2025のBtoBカンファレンスでは、20カ国以上から70名以上のスピーカーが登壇し、2つの主要ステージで講演が行われました。
基調講演として、近未来宇宙船探索ゲーム『デッドスペース』の生みの親であり、『コール オブ デューティ』スタジオが登壇し、「ひらめくための10個の方法」をテーマにゲーム制作の創造方法について講演し、ゲーム業界が「壊れ、打ちのめされ、傷ついている」状態にあるとし、業界を立て直すための3つの提案として、第一にAIの積極的活用、第二にHRへの投資、第三にE3(世界最大級の米ゲーム見本市)の復活を、タイのゲーム業界関係者に呼びかけました。この提案に対して同イベントでゲーム業界の発展やイノベーションに長年大きく貢献した業界人に贈られる「ライフタイム・アチーブメント賞」が贈られました。
その他の主要スピーカーにはMarvel Games(代表作マーベル・ライバルズ)、Ubisoft(FPS定番のRainbow Six: SiegeやFar Cry 5)、Pocketpair(パルワールド)、Bethesda(スカイリム)など、ゲーマーにもなじみのあるの作品の錚々たるスタジオが揃いました。
カンファレンスは2つのメインステージに分かれ、開発制作ステージはゲーム開発と制作に関する技術的トピックを扱い、広報・ビジネス戦略ステージはゲームのマネタイズ、クロスプラットフォーム開発、アジア市場向けの言語・文化へのローカライズ、AIを活用したコンテンツ制作などのビジネス戦略を議論。
さらに、プレゼンステージがBtoBエリアに設置され、スポンサーや出展者による商業的・技術的プレゼンが行われました。出展企業は最新技術、ゲームエンジン、開発ツール、広報宣伝サービス、マーケティングソリューションなどを紹介し、BtoB参加者は自由に聴講できました。タイのゲーム業界においても、国境を超えたB2Bイベントを通じて、最新トレンドや商業ソリューションを学ぶ機会が広がっていると感じます。

BtoBビジネスエリアには、18カ国・地域の国別パビリオンとブースが並び、タイからはデジタル経済振興庁パビリオンとタイランド・パビリオンを含む30社超のタイゲーム企業が出展しました。投資家交流会・VIP懇親会では、ゲームのパブリッシャーと投資家の直接対話が行われました。
インディーゲーム事業提案コンペティションは、アゴラ・ゲーミング・パートナーズ(ゲーム領域のベンチャー支援ファーム)主催で開催、優勝者に賞金が授与されるなど資金調達や事業提案の機会を提供。また、タイの学生による20作品も展示されるなど、タイには多くの支援制度とビジネスチャンスがあることが強く印象づけられました。
このように、BtoBエリアはアジア最大級のゲーム業界交流会として機能し、出版社、開発者、投資家、サービスプロバイダーが一堂に会する場となりました。タイ政府デジタル経済振興庁(depa)も、今後ますます力を入れると表明しています。
また来場者には、イベント公式のgamescom biz アプリが、当イベント公式のBtoBネットワーキングプラットフォームとして提供されました。このアプリは、登録されたビジネス来場者と出展者に対して無料で提供され、ウェブ版とモバイルアプリ版の両方で利用可能。タイのイベントではこの種のBtoBアプリが一般的で、主催者は成果の可視化とネットワーク拡大ができ、参加者にとってはデジタル名刺として機能し、アクティビティ予約や会場地図、連絡先交換などの利便性が高まります。

日本の強みを活かすべき領域
先に少し触れましたが、タイにおける日本ゲームの強みは、高品質なストーリーテリング、キャラクターIPの強さ、かわいい・未来感やノスタルジー感のあるアートディレクションにあります。最近では『SILENT HILL f』や『NINJA GAIDEN』『龍が如く』シリーズなどがタイのゲーマーに好評です。タイのゲーマーは若年層のFPSにとどまらず、30~40代にもJRPG、マリオやソニックなどに代表されるアクション・レースゲーム、そしてキャラクターコレクション要素を持つ『ポケモン』や『Fate』『ウマ娘』などに高い関心を示しています。日本企業は、感情に訴えるストーリーとエモいビジュアル演出の両輪の「日本らしさ」メッセージを強化するとタイ人消費者の心に響きやすいでしょう。
タイの射幸性文化とゲーム消費行動
タイ市場の特徴として、文化的背景に根ざした射幸性への親和性があります。タイ政府公認宝くじは国民の間で極めて人気が高く、研究論文によればタイ人口の約7割が何らかの形で宝くじ的活動に参加経験があるとされています。宝くじは寺院での祈願や縁起の良い数字選びなど、文化的・精神的慣習と日常的に結びつき、仏教文化における「バラミー(功徳)」や「チョークディー(幸運)」の概念が深く根付いています。幸運を呼ぶお守りや僧侶の祝福、数字の縁起担ぎが日常生活に組み込まれており、このような特別な数字を見つけると幸運を期待し、その週の宝くじを買うことも比較的一般的です。
よって、ゲームにおける射幸性要素への親和性として、ランダム報酬システム(ガチャ、ルートボックス)に対する抵抗感が比較的低く、「運試し」としてのゲーム内課金が文化的に受け入れられやすい土壌があります。同様な意味で、限定キャラクターやレアアイテムの獲得は、属しているクラスタでのステータス(自慢)となる傾向もあります。
さらに、キャラクター収集やアイテムコンプリートへの強い欲求があり、SNSでの成果共有が消費行動を促進しています。昨今では中国発LABUBU(ラブブ)や、タイから日本にブームが逆輸入されたモンチッチなども人気で、日常の学校や職場などのコミュニティ内での優越感・承認欲求が購買動機となり、課金を促進する構造が見られます。

日本企業にとっても、これら習慣・文化的背景を理解したうえでのガチャシステム設計は重要です。ただし、昨今、ゲーマーの中で特に大量生産ガチャJRPGゲーに対しての批判の主要要因となっていることが記憶に新しいように、過度な射幸性煽りではなく、文化的に受容される色合いの「運試し」の演出、透明性のある確率表示と適切な天井システムの実装という消費者目線でのコンプライアンス遵守、適度なコレクション達成感とコミュニティ共有機能の充実、といった倫理的配慮と責任あるゲーム設計のバランスが求められています。
つまり、ガチャとキャラクターコレクション要素はタイ市場でも受容性が高い一方で、課金ありきではなく、キャラクターへの愛情や独自の世界観を大切にする制作とPRが、IP寿命を延ばし、MD(マーチャンダイジング)による効果的なマネタイズにもつながると考えます。

会場では多くの来場者が、好きなゲームや、興味を持ったゲームに熱中していました。様々に提供されるキャラクター限定品や体験型のプレゼントキャンペーンも楽しめたようです。
各ゲームにはシリーズがあり、消費者にもそれぞれのゲームに親しんできた歴史とたくさんの知識、感情、思い出があります。
大前提として、ゲームのプロモーションは、その作品と消費者との「対話の歴史」を理解していなければ、心に残る打ち出しはできません。
過去を知らないままプロモーションを設計することは、むしろ炎上のリスクさえあります。
私どもアジアクリックの各メンバーもすべての作品を遊び尽くしているわけでも、すべてに同じ熱量の愛があるわけでもありませんが、20年にわたるゲームへの情熱と、AAAゲームからインディーゲームを含めた現地でのマーケティング経験を積み重ねてきました。
タイをはじめ東南アジアでのゲームの現地プロモーションは、私たちアジアクリックにお任せください。
アジアクリック 高橋学
追記:
本日2025年10月19日、アジア最大級のゲームイベント「Thailand Game Show 2025(タイランドゲームショウ)」のメインステージにて、今年の優れたゲームやデバイスを表彰する「Thailand Game Awards 2025」の結果が発表されました。
今年の「Game of The Year」の栄冠は、Sandfall Interactiveが開発を手がける期待のRPG『Clair Obscur: Expedition 33』に輝きました。
同作は「Best PC / Console Game」「Best RPG Game」も同時受賞し、見事3冠を達成しています。 流石です。タイ人にも人気でしたので納得です。

以下に、発表された主な受賞結果を速報としてまとめました。
▼ ゲーム部門
【ゲーム・オブ・ザ・イヤー(年間最優秀ゲーム賞)】 Clair Obscur: Expedition 33
【ベスト PC・コンソールゲーム賞】 Clair Obscur: Expedition 33
【ベストRPG賞】 Clair Obscur: Expedition 33
【ベストモバイルゲーム賞】 ウマ娘 プリティーダービー
【ベストインディーゲーム賞】 エンダーマグノリア: ブルームインザミスト
【ベスト格闘ゲーム賞】 餓狼伝説 City of the Wolves
▼ ゲーミングギア部門
【ベストゲーミングマウス賞】 Razer DeathAdder V4 Pro
【ベストゲーミングヘッドセット賞】 SteelSeries Arctis Nova 3X
【ベスト携帯ゲーム機賞】 Nintendo Switch 2(任天堂スイッチ2)
【ベストゲーミングスマートフォン賞】 ROG Phone 9 Pro Edition
【ベストゲーミングノートPC賞】 Lenovo Legion 9i
【ベストノートPC向けCPU賞】 Intel Core Ultra 9 285HX
【ベストゲーミングCPU賞】 AMD Ryzen 7 9800X3D
【ベストゲーミングモニター賞】 ASUS ROG Swift OLED PG27AQDP

出典: https://gamingonphone.com/news/gamescom-asia-x-thailand-game-show-2025-day-1-highlights-fireside-chats-indie-showcases-and-industry-insights/
今年の「Thailand Game Awards」の受賞ラインナップからは、いくつかの興味深い傾向が見て取れます。
1. 期待の新作RPG『Clair Obscur: Expedition 33』の圧勝
今年の授賞式で最も注目すべきは、期待のJRPG風新作『Clair Obscur: Expedition 33』が年間最優秀ゲーム賞を含む主要3部門を制覇したことです。これは、タイおよびアジア市場のゲーマーが、大作シリーズだけでなく、親しみやすくもパリシステムなど革新性や、フランスの芸術性の高いタイトルを高く評価しました。当スタジオは驚くほど少人数でしたし、私もプレイしましたが主要3部門を制覇は本当に納得の結果です。
2. 日本産ゲームコンテンツの根強い人気
ゲーム部門では、『ウマ娘 プリティーダービー』『エンダーマグノリア』『餓狼伝説』と、受賞6部門のうち半数を日本のゲームが占めました。モバイル、インディー、格闘ゲームという異なるジャンルでそれぞれ高い評価を得ており、タイのゲーム市場における日本産コンテンツのブランド力と根強い人気を改めて証明する結果となりました。嬉しいですね。それぞれ横展開やシリーズ展開を行っているので今後にも期待。
3. 「次世代」と「ハイエンド」がキーワードのゲーミングギア
ゲーミングギア部門では順当に「Nintendo Switch 2」が賞を獲得。また、CPUやモニターでは各社のハイエンドモデルが選ばれており、最高のゲーム体験のためには高性能なデバイスへの投資を惜しまない、コアゲーマー層のハイエンド志向が反映されていると言えるでしょう。タイは日本ほどPCパーツは揃っていませんが熱量は同じものを感じます。 ライバル機のXbox ROG Alleyも試遊と展示を頑張っていましたが、GamePassのやらかしも影響したのか今ひとつパッとしていませんでした。今後、最強のハンドヘルドゲーム機であるSteam Deckとの差別化に期待というところでしょうか。
以上、ご参考になれば幸いです。 日本のゲーム業界頑張って参りましょう!
タイは訪日「高付加価値旅行(1名あたり着地消費100万円以上)」で、旅行者数・消費額ともに上位グループの重要市場です。国別ではタイはシンガポールに次ぐ8位で、構成比は3.3%、英国・中東より上位です。
クレジットカード決済額でもタイは8位です。
したがって、全24市場の中で8位規模の高付加価値旅行ターゲットが実在する有望市場と言えます。
タイの高付加価値旅行者の誘致には、特殊な高付加価値旅行会社(Luxury Travel Agency)との協業が不可欠です。
日本政府観光局(JNTO)は「1回の旅行で1名100万円以上を消費する訪日旅行」を高付加価値旅行と定義しています。2023年の全訪日客に占める比率は2.4%、59万人でした。


・高付加価値訪日旅行者数:タイは3.3%で8位(中国、米国、台湾、香港、韓国、豪州、シンガポールに次ぐ)。英国(2.8%)・中東(2.0%)より上位。
・高付加価値消費額:タイは3.3%で8位(上位国は同上)。英国・中東より上位。

タイ市場では100万円超レンジの訪日商品が実際に企画・販売されています。季節や在庫により構成は変動しますが、直行便+専用車+上質宿泊+特別手配を核に、撮影映えとストーリー性を備えた体験が選ばれやすいという傾向は一貫しています。
例えば、JR東日本のリゾートトレイン四季島(1名約200万円)がタイに販売枠が割り当てられたり、1名100万円を超える東北ツアーが完売しており、現地でも高付加価値旅行が実際に企画・催行されている事実があります。

なお、タイにおける東北ツアーは一般的に、スイスなどの欧米ツアーより高価です。
タイ発スイスツアーの例

今年の旅行博において、スイスツアーはおおよそ、
スイス周遊8〜9日で、例えばドイツ・オーストリア・スイス(アルプス横断)8日、
イタリア・スイス・フランス(3か国)9日等が6~8万THB(約30~40万円程)で販売されています。
タイ発東北ツアーの例
・【1名約71万円】 Elite Holiday & Agency「Tohoku Sendai Tour」(6泊7日) 1人あたり147,500THB(約71万円)。
行程:青森、岩手、秋田、山形、仙台、東京
・【1名約77万円】 Top of the World(13泊14日) 1人あたり159,900THB(約77万円)。
行程:大阪、能登半島、黒部、上越、新潟、佐渡、会津、足利、東京
以上から、欧米より高くなる傾向のある東北などの地方へのツアーは、タイ市場においては一般的な海外ツアーではなく、タイ人にとっては高付加価値旅行に属する商品であり、地方は高付加価値を高めるプロモーション施策を検討するのがタイの市場性に即していると考えられます。
「直行便・ラグジュアリーホテルが重要」
ここでいう「手ぶら」とは、荷物・移動・段取りの負担を最小化し、滞在の質を最大化する選好を指します。具体的には、直行便/専用車/上位客室を前提に、当日変更に対応できる事前準備を極力想定して設計することが鍵になります。タイ人高付加価値旅行者(富裕層)は意味のない移動を好まず、徒歩は5分でも敬遠されることがあります。投資対体験という、意味のある体験について時間対効果(タイパ)を重視し、通常はタイのフルサービスキャリアであるタイ航空を選びます。
宿泊は和モダンスタイルの、布団敷きよりベッドタイプを好む傾向があります。ハイブランドの5つ星ホテルまたは洗練された建築・デザイン・サービスに定評が高いか、歴史的ストーリーのある高級旅館を求めます。温泉は客室に個室設備または貸切風呂で眺望の美しさ、和の雰囲気でのプライベート感を重視します。

レストランや食事ではアレルギー対応、宗教対応、苦手食材の確認が必要で、ビーガンやベジタリアン対応も求められます(宗教以外の、家族の慣習による食事制限の場合もあります)。 基本的には、ご当地でしか食べられないAuthentic(真正)なグルメを希望していますが、何食も連続して和食や海鮮が続かないように、高付加価値旅行取扱旅行会社(Luxury Travel Agency)は気を遣って食事の予定を入れます。 2025年時点のタイ・ミシュランガイドには、三つ星が1店、二つ星が7店、一つ星が28店、グリーンスターが4店、ビブグルマンが156店掲載されていますので、高付加価値旅行者が普段触れているグルメについて確認するのも良いでしょう。
「移動は最小・アクティビティは柔軟に」
タイの高付加価値旅行者は、欧米人高付加価値旅行者のように活動的でない傾向があり、普段は多くのスタッフをかかえ投資事業や会社経営を行って生活しています。タイの歴史的・文化的理由から、日常で家事・運転を外部化する世帯が多く、高付加価値旅行者でなくともメイドさんや運転手さんがいるのは一般的です。
よって、自分の時間や判断が優先されることが当然である価値観であるため、旅行中も自身での運転や体験など、労働に近いと判断される活動は敬遠され、逆に手ぶらで気軽なリラックスさと利便性を重視し、突然の行程変更に対応できる柔軟さが求められます。 彼らも、モバイル決済を登録したスマートフォンだけは手に持っています。
同じ理由で、(年中暑いタイ生活の影響なのですが)徒歩移動や長距離移動は好まず、状況によっては途中で切り上げたいニーズがあります。 移動手段はマイクロバスや大型ミニバン(例:アルファード)、貸切大型バスなどで、買い物を大量に行いかつ利便性を高めるため、新幹線のグランクラスと荷物運搬用の専用車を同時に使うことも珍しくありません。
旅行中は、タイの高付加価値旅行者も、家族の思い出のために撮影や写真スポットを重視し、アクティビティそのものよりも撮影を優先する傾向があります。
また、十分なショッピング時間の確保も重要です。
これらの気の利いた行程を組めるのが、これらの配慮を一括設計できるのが、高付加価値旅行会社(Luxury Travel Agency)です。タイから高付加価値旅行者を誘致するなら、彼らとの連携が重要です。
タイには、JNTOの「訪日旅行を取り扱う旅行会社」リストに含まれていない、規模は小さくとも長年に渡る人脈と信頼で富裕層(高付加価値旅行者家族)のカスタマイズ旅行や、予算をふんだんに使えるタイ政府部門やタイ企業の報奨旅行を企画・実施している高付加価値旅行会社(Luxury Travel Agency)が複数存在します。
彼らと高付加価値旅行者誘致を協業するには、
①五つ星のハイブランドホテルや、高級旅館があればまず伝える(宿泊先が活動の起点になる)
②世界でもユニークな観光資源はなにか、惹きつけられる写真を提供(アフリカのサバンナや、アラスカのオーロラを見ている人たちですので、誘致にはそこにしかない唯一無二の体験は必要)
③次回の顧客への旅先案提示時に、提案してほしいと依頼(1人1泊5,000円程度の宿泊助成金よりも、出迎え横断幕や、ゆるキャラ出張などが喜ばれることも多いです)
の3ステップが基本となります。

以上より、タイからの高付加価値旅行は規模と購買力の両面で無視できない市場です。
訪日数でも2025年上半期(1–6月)に約68万人で、全体6位の主要市場となっています。
また、誘致には高付加価値旅行会社(Luxury Travel Agency)との協業が必須と言えます。
マス向けでなく、富裕層(高付加価値旅行者)へ向けた高付加価値旅行をタイやシンガポールから検討されたい自治体・DMO・旅行会社・PR会社等団体様は、お気軽にご相談ください。
アジアクリック 高橋学
こんにちは、アジアクリック高橋学です。
私どもは毎日ASEANを訪日PRのため飛び回っておりますが、どのアジアの国々でも日本旅行が最も人気です。特に今2016年9月現在タイとフィリピンの訪日の盛り上がりは台湾に勝るとも劣りません。
本日はタイやインドネシア、フィリピン等等アジアからの誘客をどこから始めるのか流れとポイントをお伝えします。
こんにちは、アジアクリックの高橋学です。
今日はJNTO事業調査を通して得たフィリピン人観光客を獲得していくにあたっての基本的な情報をシェアします。
詳しくは「訪日外客誘致ハンドブック2015」を御覧ください。
こんにちは、シンガポールからアジアクリック高橋学です。
今日はタイ・マレーシア・シンガポール・インドネシア・ベトナム・フィリピン・台湾・香港・中国といったアジア諸国のSNS事情を共有します。
1)ASEANという国々
タイ・マレーシア・シンガポール・インドネシア・ベトナム・フィリピン・ミャンマー・ラオス・カンボジア・ブルネイ。
ASEANの10カ国である。AEC(ASEAN経済共同体)が発足したが全くと言っていいほどASEAN市民の生活にも聞こえてこない。せいぜいバンコクの電車の中か、ホーチミンの町中の看板、マニラのTVCMくらいである。
ASEANは6億人を越す市場で、2020年には、その大半が世帯年収200万円を越す中間層になると思われる。食べ物と住む所の安全が満たされ、一族である一定の安定した収入が得られるようになったASEAN市民は、次により美味しい外食を求め、高い教育を求め、自己実現をさえ求められる段階に来ている。大方人口ボーナス期にあるASEANにおいて経済成長に合わせてこの動きはますます加速していくだろう。東アジアを取り巻く状況は読者もご存知だと思うのでここでは割愛する。
2)AECの課題その1「実利が一致していない」
話をAECに戻したい。AECはなぜ有効に動かないのか? 筆者は「お互いの好き嫌い」「実利が一致していない」ことに根幹をなしていると考えている。たしかに、タイでもミャンマー人はより多く見るようになったし、マレーシアでは更に多くのバングラディッシュ人が入国し華人を抜いているとまで言われる。私は幸いASEANを週替りに移動して4年になるが、身近なASEANの友人からも「より良い場所に働きに行けるようになったことぐらい」がAECで実効性があるのである。
一例をあげると敬愛的な結びつきで成功しつつあるのは、タイとカンボジア間の食料品の輸出入である。隣国であり他国より安く享受できるメリットが有り、しかもタイの加工食品やカンボジアの豚肉などお互いに質が高い。カンボジアでは質が高いといえばメイド・イン・ジャパンでなく、メイド・イン・タイなのである。
3)AECの課題その2 「お互いの好き嫌い」
失敗しているのはマレーシアとインドネシア。ほぼ同言語で言葉も通じ同じムスリム国家であるにもかかわらず反感感情は非常に強い。文化と民族が近いだけに、起源説やどちらが上、下といった問題が横たわっており東アジアの日中韓感情のようなものである。そのほかにも、歴史的に戦争を行ってきた経緯があるタイ人はミャンマーを嫌い、カンボジアはベトナムを嫌い、ラオス人はタイ人を嫌い、マレーシアはシンガポールを嫌い…という地政学も成り立ち内に秘めた両国間の感情はよろしくない。
また、民族的にも基本的には地元民と華僑はタイ以外うまくいっていないし、宗教では大部分を占めるイスラム教徒と、華僑を中心に広がりを見せるキリスト教徒は仲がいいとはとても言えない。
4)ASEAN全てが好きな国とは?
しかし、これらの国々10ヶ国全ての国民の8割以上が「好きだ」と答えている外国がある。
そう、我らが日本である。
今の強国日本をつくってくれた坂本竜馬は、当時江戸幕府を越える力を持っており、お互いに憎しみ渦巻き殺し合いを行う薩摩藩(現鹿児島県)と長州藩(現山口県)を手を握らせた。どうやって? 仲立ちに立って薩摩藩名義で長州藩の軍艦・銃を購入し長州藩は幕府軍に勝利出来たし、薩摩藩が食が貧しい時長州藩の米を好きなだけ提供できるようにした。最終的に竜馬の仲立ちで薩長同盟が成立、近代国家である明治政府が完成することとなる。我が日本が西欧列強の植民地にならず、豊かで身分公平で近代的な豊かさを享受できているのは、坂本竜馬はじめとした脱藩浪人たちの思いと行動力があったがためである。しかしマレーシアのブミプトラ政策(マレー人優先政策)にはじまり、経済的差別は広がっている。これは資本主義は富めるものはますます富み、貧しいものはますます貧しくなるという原則のためである。この点の議論は次回に譲りたい。
5)日本人の若者よ、アジアの坂本竜馬たれ!
とにかく、問題が山積しているアジアにおいて、ここまで読み進めてくれたあなたには、ぜひアジアの仲立ちをお願いしたい。
そして、経済大国に生まれ全てのアジアにビザフリーで行けるあなたに、現代の坂本竜馬となっていただきたい。
坂本竜馬たりえるのは誰か、 志をアジア、世界に向けるあなたである。
中岡慎太郎たりえるのは誰か、熱意をもって人に伝えることが出来るあなたである。
桂小五郎たりえるのは誰か、 大義のためには乞食までみをやつせる、忍耐強いあなたである。
西郷隆盛たりえるのは誰か、 損得を度外視し、同志のためになら死ぬことも厭わないあなたである
お互いのプライドと理由は(理解できなくても)尊重されなければならない。
お互いの興味を引きつけなければならない。
感情が難しいのなら、まず、実利で結び付けさせないとならない。
まずあなたが好きなアジアの2つの国をみつけよう。
そして彼らの相互利益になることをみつけよう。
仲違いの2国間貿易を実現し、それぞれの市民にPRをしよう。
お互いを讃えよう。
これが、日本人のアジアによる役割である。
(アジアクリック/高橋学)
サワディーカップ! タイから高橋学です。
80万人もの訪日客が来るタイ。バンコクに住んでいますとその理由もわかります。
今日はタイバンコク現地からタイ人が訪日する理由と、有効なPR方法を3つ紹介します。