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ミャンマー人材の特徴と日本企業との適性(2014夏)
軍政時代の暗いイメージから脱却したミャンマー。6200万人の未開拓市場は今や中国韓国ドイツ企業などが我先にと進出し、1平方メートル当たり1万円の賃料で東京並みになっています。
ミャンマーはまだ海外からの投資が比較的少なく、ビジネスチャンスのキャパがあるように見えますが、現地に行ってみると、ダウンタウンには一杯800円のカフェ、郊外には1皿80円の現地レストランが両立しています。残念ながら、現地の一般人には経済成長の恩恵に乗り遅れており、経済格差がますます広がるのではないかと危惧しています。
あるミャンマー人は「軍政の時のほうが良かった。皆が経済的に平等だったから」と漏らします。
それだけ経済成長が早いミャンマーの人材事情はどんなでしょうか。結論から言うとミャンマーの人にとっては就職でき技術を身につけられ、日本企業も月2万円ほどのやすい労働力を手に入れられ相思相愛の形となっています。2万円といっても、現地の給料より高く、外国企業で働くというキャリアのチャンスが有り、親日であるミャンマー人にとって日本企業は人気です。もちろん、早ければ高校から英語についで日本語の教育もなされておりミャンマーオフィスで日本語でのコミュニケーションが可能なミャンマー人が多いのも魅力ですね。
しかし、ミャンマーにおいては大学進学率は10%に見たず、難関ヤンゴン技術大学でも入学後1/3が進級できず落第、または学部を移ります。せっかく大学を卒業しても就職率は50%に満ちていません。軍政時代は寺子屋があり、お坊さんが仏教をはじめとした学問を無料で教えてくれました。今は、仏教のみにするべきだという議論がなされていますが、街には必ずお寺があり、駆け込み寺としての歴史がありどれだけ仏教がミャンマー人の心の支えになっているかしれません。
日本人にとって、ミャンマー人とは付き合いやすいです。ミャンマー人は人口の9割が仏教思想が根底にあり、先生や親といった目上の人を敬い絶対との認識なため、日本式な教育だと理解が高いです。モラルも、財布が落ちていても戻ってくる珍しい国です。
優秀な学生はシンガポールなど海外に就職し、ミャンマー国内に残る優秀なスタッフは女性がおおく、アウン・サン・スー・チー女史の例もある通り、管理職が女性というのは珍しくないです。しかし、暗記重視の教育のため日本語を覚えるのも早いのですが、形式的なため、創造的作業より単純作業が得意な傾向があるようです。
9月以降、技能実習生が再開されますが、未だに多い難民申請と不法滞在は日本でも問題になっています。ミャンマーでは労働人口に占める10人に1人が出稼ぎ労働者、ミャンマー発展に応じて、マレーシアやシンガポールで出稼ぎしてつらい経験をしてきたミャンマー人、大卒の優秀なミャンマー人がヤンゴンに戻ってきており、私のシンガポールでのミャンマー女性の友人2人も、シンガポール企業をやめてヤンゴンで起業の準備を進めています。
未開拓市場としての魅力が大きいミャンマーですが、これら現地人材の背景をきっちり把握しないと、旧態然の外国人労働者としてミャンマー人と接すると他の東南アジア人同様、逃げられてしまいます。ミャンマー独特の国民性と寺小屋教育など歴史を理解し、離職率を下げ愛社精神をくすぐる人事管理が必要。更に2015年末のアセアン統一、経済共同体設立に向けた人材の流動化、優秀な人材の取り合いが始まっています。現地の幸せに貢献する、ミャンマーはミャンマー人のための場所。これを忘れず、そのための労働環境作りと現地理解を進めてまいりましょう。
(アジアクリック/高橋学)
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