サワディーカップ。バンコクから髙橋学です。この週末はタイランドゲームショウ2025に行ってきました。タイのゲーム市場は東南アジア地域において重要な成長市場として注目されており、2025年10月16~19日に開催されたgamescom asia x タイランドゲームショウ2025は、この成長を象徴する大規模イベントとなりました。本レポートでは、同イベントの概要、タイゲーム市場の最新データと将来予測、展示された主要ブランドとゲーム、B2B活動の詳細、日本企業への専門家アドバイス、および会場からの生の声をご報告します。
結論(この記事のまとめ)
タイゲームショウ2025は20万人以上の来場者を集め、年6.8%で成長するタイのゲームシーンを象徴する年に一度のイベントとなりました。
日本勢は物語性とキャラクターIPの強さで依然高い評価を得ていますが、会場ではアイデアも予算も実行力もある中韓勢に追いつかれていることを実感しました。当イベントではBtoBイベントにも力が入れられ、日本勢が生き残るには、支持されている「日本らしさ」を再確認し、シリーズとファンの歴史に基づいた「対話」をプロモーションに組み込むことでファン離れを防ぎ、新しいファンを育てていく必要があります。
最終日のタイゲーム賞では『Clair Obscur: Expedition 33』がGOTYなど主要3部門を同時受賞。
gamescom asia x タイランドゲームショウ2025(以下タイランドゲームショウ)は、ドイツで開催される世界最大級のゲームイベント「gamescom」のアジア版と、東南アジア最大のゲームイベント「タイランドゲームショウ」が初めて統合開催された歴史的なイベントとなりました。
来場者は206,159人と主催者が発表、前年(2024年)の186,876人を上回る、過去最高の来場者数となりました。そのうちB2B来場者は5,000人以上、B2C来場者は185,000人以上とのこと。イベントはBtoB日程(10月16~17日)とB2C日程(10月17~19日)に分かれ、業界関係者と一般ゲーマーの両方に対応する形式となり、会場もバンコク都心のクイーンシリキット国際会議場(QSNCC)で、展示面積は前年比約40%増の30,000平方メートルに拡大されました。
イベントのテーマは「World of Gaming」で、タイの副首相兼財務大臣が開会式で登壇し、ゲーム産業がソフトパワーの強化を推進するタイの「New S-Curve」産業の一つとして、タイ国家経済の重要な柱になることが強調されました。
さて、タイのゲーム市場についておさらいいたしましょう。
タイゲーム市場規模は、2025年は3,707億円規模で、2030年には約5,161億円に成長(2025年1月独Statista調べ )。年平均成長率は約6.8%で、これから5年間で約1.4倍に拡大する見込みです。
市場の特徴は、モバイルゲームが6割以上を占め、ユーザー数は2,347万人(人口の約36%)で安定推移する一方、既存ユーザーの課金額増加が成長の主要因となっている点です。タイのゲーマーの平均支出額は年数万円程度と東南アジア最高水準であり、課金意欲の高さが目立ちます。
日タイを比較すると、日本のゲーム市場は2025年時点で約2兆円規模とされており、タイ(約3,707億円)の約5倍の市場規模を持っています。ただし成長率ではタイが優位で、タイの年平均成長率6.8%に対し、日本は成熟市場として2~3%程度の緩やかな成長にとどまっています。
プラットフォーム構成も異なり、日本は家庭用コンソール・モバイル・PCがバランス良く発展している一方、タイはモバイルゲームが約6割を占めているものの、日本同様に熱心なPCゲーマーコミュニティが存在し、Steamはその中心的なプラットフォームです。
市場構造の課題として、タイゲーム市場の97.8%は海外ゲームの配信・輸入・ライセンス管理ビジネスが占めており、タイ国内のゲーム開発企業の市場シェアはわずか2%に留まっています。これはタイは後発であることに起因する海外ゲーム企業との競争激化、人材不足、資金調達の困難さなどが原因とされていますが、後述するように頑張っているタイのゲームスタジオもありますので、今後日本企業との協業やM&Aにも注目したいところです。
展示されたゲームとブランド
タイランドゲームショウ2025には、世界中から190以上の出展者が参加し、3つのホールにわたって展示が行われました。
エンターテインメントエリアには、バンダイナムコエンターテインメント、カプコン、コナミ、任天堂、Xboxゲームパス、HoYoverse、Ubisoft、Daedalic Entertainment、Mytona、Razer Game Services、Staika、VNG Games & NCV Games、Thermite Gamesなどの主要国際ブランドが出展しました。
ハードウェア関連では、AMD、Intel、Nubwo x EGA、Predator、SIGNO、SteelSeriesが最新のゲーミングギアを展示し、限定商品の販売やイベント限定プロモーションを実施しました。
ソフトもハードも、どのブースも限定品やスペシャル値引きが目立った印象です。

日本からは複数の大手ゲーム企業が出展し、中韓勢に負けず大きな存在感を放っていました。
任天堂は、最新タイトル『ポケットモンスターZA』の試遊コーナーを設置し、Nintendo Switch 2本体とソフトの販売も行いました。
ソニー・インタラクティブエンタテインメントのブースでは、Ghost of YoteiやCode Vein2など各メーカーのPlayStation 5タイトルの試遊ができました。
カプコンは歴代最大規模のブースで、『バイオハザード レクイエム』『モンスターハンター ストーリーズ3』『鬼武者リメイク』『プラグマタ』などが試遊できました。
これら数あるゲームの中でも、特に『鬼武者』と『プラグマタ』は行列が長かったです。



また、JETROも日本ゲームブースを出展しました。国を挙げてのゲーム産業推進は韓国や中国が先行していますが、海外でも日本政府のさらなる後押しを期待したいところです。

中国からはHoYoverse(『原神』『崩壊:スターレイル』の開発元)が大きな注目を集めました。中国のモバイルゲーム企業はタイ市場において強力な存在感を放っており、特に、チームで戦う「MOBA(モバ)」というゲームの分野では、「モバイルレジェンド」がタイでは常に上位に位置しています。
会場には韓国パビリオンも出展し、ソフト/サービスの輸出を意識したB2B商談が行われていました。
Garena(シンガポール拠点)は、タイ市場において圧倒的なユーザー数を誇る『RoV (Arena of Valor)』と『Free Fire』を展開しています。RoVはタイのeスポーツシーンで最も人気のあるタイトルの一つであり、Free Fireも若年層を中心に広くプレイされています。これらのタイトルは、タイゲーム市場のエコシステムにおいて極めて重要な地位を占めています。
マレーシアブースは十分には見られませんでしたが、マレーシア国内のゲーム企業を取りまとめて出展していました。

これら各国のゲームが入り乱れる会場では、タイ語で「これは中国のゲーム?日本のゲーム?」とタイ人にも見分けがつかなくなっているという声を数回耳にしたことに驚きました。
我らが日本ブランドは、目新しさは多くないものの、堅実なゲーム設計と強力なキャラクターIPで差別化しており、特に物語性や日本らしい「かわいさ」、シリーズの伝統と歴史に根差した萌えや胸熱展開が高く評価されています。
一方、中国企業はモバイルゲームとeスポーツ分野で強みを持ち、基本無料モデルとソーシャル機能を重視した設計、内外面ともに魅力的なキャラクターのグッズとの横展開で市場シェアを拡大しています。 代表的な例として、昨今話題の「無限大ANANTA」は、各名作ゲームの良い要素をパクったと言われる内容で大人気となっているのが記憶に新しいところです。
また、会場内東側には「タイパビリオン」と「インディーゲームエリア」が設置され、タイ国内の開発者による20タイトル以上のゲームが展示されました。Urnique Studio、FairPlay Studios、GambitGhost Studio、Barking Kitten、Jumbo Jumpsなどのタイスタジオが参加し、10月17日のインディーゲーム講演に登壇。約80タイトルのインディーゲームが展示され、世界中のインディー開発者と出版社が参加しました。私個人としても『The Shadow of AYUTTHAYA』など、世界遺産アユタヤ遺跡の舞台と雰囲気を活かしたタイらしいゲームに、タイのゲーム業界の成長を強く感じました。

タイランドゲームショウ2025のBtoBカンファレンスでは、20カ国以上から70名以上のスピーカーが登壇し、2つの主要ステージで講演が行われました。
基調講演として、近未来宇宙船探索ゲーム『デッドスペース』の生みの親であり、『コール オブ デューティ』スタジオが登壇し、「ひらめくための10個の方法」をテーマにゲーム制作の創造方法について講演し、ゲーム業界が「壊れ、打ちのめされ、傷ついている」状態にあるとし、業界を立て直すための3つの提案として、第一にAIの積極的活用、第二にHRへの投資、第三にE3(世界最大級の米ゲーム見本市)の復活を、タイのゲーム業界関係者に呼びかけました。この提案に対して同イベントでゲーム業界の発展やイノベーションに長年大きく貢献した業界人に贈られる「ライフタイム・アチーブメント賞」が贈られました。
その他の主要スピーカーにはMarvel Games(代表作マーベル・ライバルズ)、Ubisoft(FPS定番のRainbow Six: SiegeやFar Cry 5)、Pocketpair(パルワールド)、Bethesda(スカイリム)など、ゲーマーにもなじみのあるの作品の錚々たるスタジオが揃いました。
カンファレンスは2つのメインステージに分かれ、開発制作ステージはゲーム開発と制作に関する技術的トピックを扱い、広報・ビジネス戦略ステージはゲームのマネタイズ、クロスプラットフォーム開発、アジア市場向けの言語・文化へのローカライズ、AIを活用したコンテンツ制作などのビジネス戦略を議論。
さらに、プレゼンステージがBtoBエリアに設置され、スポンサーや出展者による商業的・技術的プレゼンが行われました。出展企業は最新技術、ゲームエンジン、開発ツール、広報宣伝サービス、マーケティングソリューションなどを紹介し、BtoB参加者は自由に聴講できました。タイのゲーム業界においても、国境を超えたB2Bイベントを通じて、最新トレンドや商業ソリューションを学ぶ機会が広がっていると感じます。

BtoBビジネスエリアには、18カ国・地域の国別パビリオンとブースが並び、タイからはデジタル経済振興庁パビリオンとタイランド・パビリオンを含む30社超のタイゲーム企業が出展しました。投資家交流会・VIP懇親会では、ゲームのパブリッシャーと投資家の直接対話が行われました。
インディーゲーム事業提案コンペティションは、アゴラ・ゲーミング・パートナーズ(ゲーム領域のベンチャー支援ファーム)主催で開催、優勝者に賞金が授与されるなど資金調達や事業提案の機会を提供。また、タイの学生による20作品も展示されるなど、タイには多くの支援制度とビジネスチャンスがあることが強く印象づけられました。
このように、BtoBエリアはアジア最大級のゲーム業界交流会として機能し、出版社、開発者、投資家、サービスプロバイダーが一堂に会する場となりました。タイ政府デジタル経済振興庁(depa)も、今後ますます力を入れると表明しています。
また来場者には、イベント公式のgamescom biz アプリが、当イベント公式のBtoBネットワーキングプラットフォームとして提供されました。このアプリは、登録されたビジネス来場者と出展者に対して無料で提供され、ウェブ版とモバイルアプリ版の両方で利用可能。タイのイベントではこの種のBtoBアプリが一般的で、主催者は成果の可視化とネットワーク拡大ができ、参加者にとってはデジタル名刺として機能し、アクティビティ予約や会場地図、連絡先交換などの利便性が高まります。

日本の強みを活かすべき領域
先に少し触れましたが、タイにおける日本ゲームの強みは、高品質なストーリーテリング、キャラクターIPの強さ、かわいい・未来感やノスタルジー感のあるアートディレクションにあります。最近では『SILENT HILL f』や『NINJA GAIDEN』『龍が如く』シリーズなどがタイのゲーマーに好評です。タイのゲーマーは若年層のFPSにとどまらず、30~40代にもJRPG、マリオやソニックなどに代表されるアクション・レースゲーム、そしてキャラクターコレクション要素を持つ『ポケモン』や『Fate』『ウマ娘』などに高い関心を示しています。日本企業は、感情に訴えるストーリーとエモいビジュアル演出の両輪の「日本らしさ」メッセージを強化するとタイ人消費者の心に響きやすいでしょう。
タイの射幸性文化とゲーム消費行動
タイ市場の特徴として、文化的背景に根ざした射幸性への親和性があります。タイ政府公認宝くじは国民の間で極めて人気が高く、研究論文によればタイ人口の約7割が何らかの形で宝くじ的活動に参加経験があるとされています。宝くじは寺院での祈願や縁起の良い数字選びなど、文化的・精神的慣習と日常的に結びつき、仏教文化における「バラミー(功徳)」や「チョークディー(幸運)」の概念が深く根付いています。幸運を呼ぶお守りや僧侶の祝福、数字の縁起担ぎが日常生活に組み込まれており、このような特別な数字を見つけると幸運を期待し、その週の宝くじを買うことも比較的一般的です。
よって、ゲームにおける射幸性要素への親和性として、ランダム報酬システム(ガチャ、ルートボックス)に対する抵抗感が比較的低く、「運試し」としてのゲーム内課金が文化的に受け入れられやすい土壌があります。同様な意味で、限定キャラクターやレアアイテムの獲得は、属しているクラスタでのステータス(自慢)となる傾向もあります。
さらに、キャラクター収集やアイテムコンプリートへの強い欲求があり、SNSでの成果共有が消費行動を促進しています。昨今では中国発LABUBU(ラブブ)や、タイから日本にブームが逆輸入されたモンチッチなども人気で、日常の学校や職場などのコミュニティ内での優越感・承認欲求が購買動機となり、課金を促進する構造が見られます。

日本企業にとっても、これら習慣・文化的背景を理解したうえでのガチャシステム設計は重要です。ただし、昨今、ゲーマーの中で特に大量生産ガチャJRPGゲーに対しての批判の主要要因となっていることが記憶に新しいように、過度な射幸性煽りではなく、文化的に受容される色合いの「運試し」の演出、透明性のある確率表示と適切な天井システムの実装という消費者目線でのコンプライアンス遵守、適度なコレクション達成感とコミュニティ共有機能の充実、といった倫理的配慮と責任あるゲーム設計のバランスが求められています。
つまり、ガチャとキャラクターコレクション要素はタイ市場でも受容性が高い一方で、課金ありきではなく、キャラクターへの愛情や独自の世界観を大切にする制作とPRが、IP寿命を延ばし、MD(マーチャンダイジング)による効果的なマネタイズにもつながると考えます。

会場では多くの来場者が、好きなゲームや、興味を持ったゲームに熱中していました。様々に提供されるキャラクター限定品や体験型のプレゼントキャンペーンも楽しめたようです。
各ゲームにはシリーズがあり、消費者にもそれぞれのゲームに親しんできた歴史とたくさんの知識、感情、思い出があります。
大前提として、ゲームのプロモーションは、その作品と消費者との「対話の歴史」を理解していなければ、心に残る打ち出しはできません。
過去を知らないままプロモーションを設計することは、むしろ炎上のリスクさえあります。
私どもアジアクリックの各メンバーもすべての作品を遊び尽くしているわけでも、すべてに同じ熱量の愛があるわけでもありませんが、20年にわたるゲームへの情熱と、AAAゲームからインディーゲームを含めた現地でのマーケティング経験を積み重ねてきました。
タイをはじめ東南アジアでのゲームの現地プロモーションは、私たちアジアクリックにお任せください。
アジアクリック 高橋学
追記:
本日2025年10月19日、アジア最大級のゲームイベント「Thailand Game Show 2025(タイランドゲームショウ)」のメインステージにて、今年の優れたゲームやデバイスを表彰する「Thailand Game Awards 2025」の結果が発表されました。
今年の「Game of The Year」の栄冠は、Sandfall Interactiveが開発を手がける期待のRPG『Clair Obscur: Expedition 33』に輝きました。
同作は「Best PC / Console Game」「Best RPG Game」も同時受賞し、見事3冠を達成しています。 流石です。タイ人にも人気でしたので納得です。

以下に、発表された主な受賞結果を速報としてまとめました。
▼ ゲーム部門
【ゲーム・オブ・ザ・イヤー(年間最優秀ゲーム賞)】 Clair Obscur: Expedition 33
【ベスト PC・コンソールゲーム賞】 Clair Obscur: Expedition 33
【ベストRPG賞】 Clair Obscur: Expedition 33
【ベストモバイルゲーム賞】 ウマ娘 プリティーダービー
【ベストインディーゲーム賞】 エンダーマグノリア: ブルームインザミスト
【ベスト格闘ゲーム賞】 餓狼伝説 City of the Wolves
▼ ゲーミングギア部門
【ベストゲーミングマウス賞】 Razer DeathAdder V4 Pro
【ベストゲーミングヘッドセット賞】 SteelSeries Arctis Nova 3X
【ベスト携帯ゲーム機賞】 Nintendo Switch 2(任天堂スイッチ2)
【ベストゲーミングスマートフォン賞】 ROG Phone 9 Pro Edition
【ベストゲーミングノートPC賞】 Lenovo Legion 9i
【ベストノートPC向けCPU賞】 Intel Core Ultra 9 285HX
【ベストゲーミングCPU賞】 AMD Ryzen 7 9800X3D
【ベストゲーミングモニター賞】 ASUS ROG Swift OLED PG27AQDP

出典: https://gamingonphone.com/news/gamescom-asia-x-thailand-game-show-2025-day-1-highlights-fireside-chats-indie-showcases-and-industry-insights/
今年の「Thailand Game Awards」の受賞ラインナップからは、いくつかの興味深い傾向が見て取れます。
1. 期待の新作RPG『Clair Obscur: Expedition 33』の圧勝
今年の授賞式で最も注目すべきは、期待のJRPG風新作『Clair Obscur: Expedition 33』が年間最優秀ゲーム賞を含む主要3部門を制覇したことです。これは、タイおよびアジア市場のゲーマーが、大作シリーズだけでなく、親しみやすくもパリシステムなど革新性や、フランスの芸術性の高いタイトルを高く評価しました。当スタジオは驚くほど少人数でしたし、私もプレイしましたが主要3部門を制覇は本当に納得の結果です。
2. 日本産ゲームコンテンツの根強い人気
ゲーム部門では、『ウマ娘 プリティーダービー』『エンダーマグノリア』『餓狼伝説』と、受賞6部門のうち半数を日本のゲームが占めました。モバイル、インディー、格闘ゲームという異なるジャンルでそれぞれ高い評価を得ており、タイのゲーム市場における日本産コンテンツのブランド力と根強い人気を改めて証明する結果となりました。嬉しいですね。それぞれ横展開やシリーズ展開を行っているので今後にも期待。
3. 「次世代」と「ハイエンド」がキーワードのゲーミングギア
ゲーミングギア部門では順当に「Nintendo Switch 2」が賞を獲得。また、CPUやモニターでは各社のハイエンドモデルが選ばれており、最高のゲーム体験のためには高性能なデバイスへの投資を惜しまない、コアゲーマー層のハイエンド志向が反映されていると言えるでしょう。タイは日本ほどPCパーツは揃っていませんが熱量は同じものを感じます。 ライバル機のXbox ROG Alleyも試遊と展示を頑張っていましたが、GamePassのやらかしも影響したのか今ひとつパッとしていませんでした。今後、最強のハンドヘルドゲーム機であるSteam Deckとの差別化に期待というところでしょうか。
以上、ご参考になれば幸いです。 日本のゲーム業界頑張って参りましょう!
タイは訪日「高付加価値旅行(1名あたり着地消費100万円以上)」で、旅行者数・消費額ともに上位グループの重要市場です。国別ではタイはシンガポールに次ぐ8位で、構成比は3.3%、英国・中東より上位です。
クレジットカード決済額でもタイは8位です。
したがって、全24市場の中で8位規模の高付加価値旅行ターゲットが実在する有望市場と言えます。
タイの高付加価値旅行者の誘致には、特殊な高付加価値旅行会社(Luxury Travel Agency)との協業が不可欠です。
日本政府観光局(JNTO)は「1回の旅行で1名100万円以上を消費する訪日旅行」を高付加価値旅行と定義しています。2023年の全訪日客に占める比率は2.4%、59万人でした。


・高付加価値訪日旅行者数:タイは3.3%で8位(中国、米国、台湾、香港、韓国、豪州、シンガポールに次ぐ)。英国(2.8%)・中東(2.0%)より上位。
・高付加価値消費額:タイは3.3%で8位(上位国は同上)。英国・中東より上位。

タイ市場では100万円超レンジの訪日商品が実際に企画・販売されています。季節や在庫により構成は変動しますが、直行便+専用車+上質宿泊+特別手配を核に、撮影映えとストーリー性を備えた体験が選ばれやすいという傾向は一貫しています。
例えば、JR東日本のリゾートトレイン四季島(1名約200万円)がタイに販売枠が割り当てられたり、1名100万円を超える東北ツアーが完売しており、現地でも高付加価値旅行が実際に企画・催行されている事実があります。

なお、タイにおける東北ツアーは一般的に、スイスなどの欧米ツアーより高価です。
タイ発スイスツアーの例

今年の旅行博において、スイスツアーはおおよそ、
スイス周遊8〜9日で、例えばドイツ・オーストリア・スイス(アルプス横断)8日、
イタリア・スイス・フランス(3か国)9日等が6~8万THB(約30~40万円程)で販売されています。
タイ発東北ツアーの例
・【1名約71万円】 Elite Holiday & Agency「Tohoku Sendai Tour」(6泊7日) 1人あたり147,500THB(約71万円)。
行程:青森、岩手、秋田、山形、仙台、東京
・【1名約77万円】 Top of the World(13泊14日) 1人あたり159,900THB(約77万円)。
行程:大阪、能登半島、黒部、上越、新潟、佐渡、会津、足利、東京
以上から、欧米より高くなる傾向のある東北などの地方へのツアーは、タイ市場においては一般的な海外ツアーではなく、タイ人にとっては高付加価値旅行に属する商品であり、地方は高付加価値を高めるプロモーション施策を検討するのがタイの市場性に即していると考えられます。
「直行便・ラグジュアリーホテルが重要」
ここでいう「手ぶら」とは、荷物・移動・段取りの負担を最小化し、滞在の質を最大化する選好を指します。具体的には、直行便/専用車/上位客室を前提に、当日変更に対応できる事前準備を極力想定して設計することが鍵になります。タイ人高付加価値旅行者(富裕層)は意味のない移動を好まず、徒歩は5分でも敬遠されることがあります。投資対体験という、意味のある体験について時間対効果(タイパ)を重視し、通常はタイのフルサービスキャリアであるタイ航空を選びます。
宿泊は和モダンスタイルの、布団敷きよりベッドタイプを好む傾向があります。ハイブランドの5つ星ホテルまたは洗練された建築・デザイン・サービスに定評が高いか、歴史的ストーリーのある高級旅館を求めます。温泉は客室に個室設備または貸切風呂で眺望の美しさ、和の雰囲気でのプライベート感を重視します。

レストランや食事ではアレルギー対応、宗教対応、苦手食材の確認が必要で、ビーガンやベジタリアン対応も求められます(宗教以外の、家族の慣習による食事制限の場合もあります)。 基本的には、ご当地でしか食べられないAuthentic(真正)なグルメを希望していますが、何食も連続して和食や海鮮が続かないように、高付加価値旅行取扱旅行会社(Luxury Travel Agency)は気を遣って食事の予定を入れます。 2025年時点のタイ・ミシュランガイドには、三つ星が1店、二つ星が7店、一つ星が28店、グリーンスターが4店、ビブグルマンが156店掲載されていますので、高付加価値旅行者が普段触れているグルメについて確認するのも良いでしょう。
「移動は最小・アクティビティは柔軟に」
タイの高付加価値旅行者は、欧米人高付加価値旅行者のように活動的でない傾向があり、普段は多くのスタッフをかかえ投資事業や会社経営を行って生活しています。タイの歴史的・文化的理由から、日常で家事・運転を外部化する世帯が多く、高付加価値旅行者でなくともメイドさんや運転手さんがいるのは一般的です。
よって、自分の時間や判断が優先されることが当然である価値観であるため、旅行中も自身での運転や体験など、労働に近いと判断される活動は敬遠され、逆に手ぶらで気軽なリラックスさと利便性を重視し、突然の行程変更に対応できる柔軟さが求められます。 彼らも、モバイル決済を登録したスマートフォンだけは手に持っています。
同じ理由で、(年中暑いタイ生活の影響なのですが)徒歩移動や長距離移動は好まず、状況によっては途中で切り上げたいニーズがあります。 移動手段はマイクロバスや大型ミニバン(例:アルファード)、貸切大型バスなどで、買い物を大量に行いかつ利便性を高めるため、新幹線のグランクラスと荷物運搬用の専用車を同時に使うことも珍しくありません。
旅行中は、タイの高付加価値旅行者も、家族の思い出のために撮影や写真スポットを重視し、アクティビティそのものよりも撮影を優先する傾向があります。
また、十分なショッピング時間の確保も重要です。
これらの気の利いた行程を組めるのが、これらの配慮を一括設計できるのが、高付加価値旅行会社(Luxury Travel Agency)です。タイから高付加価値旅行者を誘致するなら、彼らとの連携が重要です。
タイには、JNTOの「訪日旅行を取り扱う旅行会社」リストに含まれていない、規模は小さくとも長年に渡る人脈と信頼で富裕層(高付加価値旅行者家族)のカスタマイズ旅行や、予算をふんだんに使えるタイ政府部門やタイ企業の報奨旅行を企画・実施している高付加価値旅行会社(Luxury Travel Agency)が複数存在します。
彼らと高付加価値旅行者誘致を協業するには、
①五つ星のハイブランドホテルや、高級旅館があればまず伝える(宿泊先が活動の起点になる)
②世界でもユニークな観光資源はなにか、惹きつけられる写真を提供(アフリカのサバンナや、アラスカのオーロラを見ている人たちですので、誘致にはそこにしかない唯一無二の体験は必要)
③次回の顧客への旅先案提示時に、提案してほしいと依頼(1人1泊5,000円程度の宿泊助成金よりも、出迎え横断幕や、ゆるキャラ出張などが喜ばれることも多いです)
の3ステップが基本となります。

以上より、タイからの高付加価値旅行は規模と購買力の両面で無視できない市場です。
訪日数でも2025年上半期(1–6月)に約68万人で、全体6位の主要市場となっています。
また、誘致には高付加価値旅行会社(Luxury Travel Agency)との協業が必須と言えます。
マス向けでなく、富裕層(高付加価値旅行者)へ向けた高付加価値旅行をタイやシンガポールから検討されたい自治体・DMO・旅行会社・PR会社等団体様は、お気軽にご相談ください。
アジアクリック 高橋学
バンコク都心の商業施設 エムスフィアで、2025年9月12日(金)〜14日(日) に台湾観光の大型プロモーション「TAIWAN Travel Fair 2025」が開催されました。来場登録は無料、会場での各体験参加者を対象に「台湾往復航空券が当たる抽選」などの特典も用意され、期間中にぎわいが続いていました。

台湾観光局は、タイ人旅行者を最重要ターゲットの一つとして位置づけており、体験型イベントや車両ラッピング広告など、バンコクでの露出を年間数度ほどと定期的に展開しています。今回の会場でも、飲食・工作・舞台企画を組み合わせた“触って学べる”導線が意図されていました。
イベントでは、タイの人気俳優・Alek Teeradetch(アレック・ティーラデート)によるステージやファンと行く台湾ツアーの紹介、タイ最大手のQuality ExpressやFORMOSAなどタイ旅行会社によるツアー紹介がステージや旅行会社ブースにて連日行われました。
実際の販売商品と価格の例:

(左)クルーズ船MSC BELLISSIMAによる「台湾 & 日本沖縄」2カ国クルーズ
69,900バーツ~/2025年12月10–15日、同22–27日。バンコク発着、台北経由で沖縄方面へ。販売:Arcadia Cruise Center。
(右)「アレックと行く台湾ファンミーティング」4日3泊
19,800バーツ/2025年10月23–26日、STARLUX Airlines 利用。行程例:台北101、九份、野柳地質公園 ほか。主催:RAKYIM TOUR。
“体験”のメニューも豊富で、DIYゾーンでは
台湾ゼリー試食、阿里山コーヒー、ホイールケーキ、ハンカチのシルクスクリーン刷り、タイルの手描きブローチ/コースター、ミニ提灯づくりなどを実施。

ステージゾーンでは
オープニング、「台湾についてどれだけ知っていますか?」クイズ、中国雑技Eye Catching Circus「Liu Sheng Ji」の披露、アーティスト「No One Else」の出演、そしてアレックのファンサービスが実施されました。

来場したタイ人たちに聞くと、次のような声が目立ちました:
「台湾と比べて、日本は四季や行く場所の多さが魅力」
「でもPRは台湾や他国の方が上手で、楽しくて参加したくなる」
「日本のイベントは各ブースがパンフレット配布中心で退屈になりがち」
「(日本の)パンフレットは教科書的でワクワクしにくい。海外旅行は仕事ではなく“エンタメ”」
今後タイでも、JNTOのFITフェアや、タイティアオタイ/ノック、Japan Expo、TTAA主催のTITFと立て続けに日本PRイベントが続きます。
せっかくタイ人と面と向かって会える機会です。デジタルの説明だけでなく、
●配布物だけで終わらせず、来場者が「作る」「味わう」「撮る」「当てる」といった体験を通して楽しめる仕掛けを用意しましょう。五感とゲーム要素を取り入れ、家族や友人など旅行を共にする相手と一緒に参加できる設計が効果的です。
●価格×体験の“見える化”:会場で具体的な旅程と価格をその場掲示(今回の例:19,800Bのファンミ、69,900Bの二カ国・台湾と沖縄を巡るクルーズ)し、参加しやすくしよう。
●年間を通じた露出頻度を確保しましょう。単発で終わらせず、SNSや日本関連の主要イベントで継続的に露出を行い、季節ごとの体験型イベントを組み合わせて観光地の想起を維持しよう。
まずは、イベントでパンフレットを配るだけでなく、抽選やクイズ、同エリア内の複数ブースと連携したスタンプラリーなど、参加型の仕組みを導入しましょう。
有名人の起用が難しい場合は、地元のマイクロインフルエンサーや来場者のSNS(ハッシュタグ投稿)を活用したプレゼントキャンペーンなど、予算や運営負担が軽い手法から試してみてください。
具体的な成功事例を踏まえ、私たちも支援いたします。
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●お知らせ
1度の訪日で1名100万円以上を消費するような、地方への良質の外国人観光客の誘致のため、
タイとシンガポールからの「高付加価値旅行」誘致支援を開始しました。
https://asiaclick.jp/2024/08/08/6390/
東南アジアからの誘客は、お気軽にご相談ください。
アジアクリック 高橋学
みなさん、こんにちは!アジアクリック・PR事例担当の堀田です。
今、欧米からアジアまで急速に店舗数を増加させている『MINISO(名創優品)』をご存知でしょうか?日本では池袋、渋谷、早稲田に店舗があり、アジアの国を歩いているとよく目にする、日本のデザインがされたファストファッションライフスタイルグッズショップです。連日多くのお客さんが訪れているのを目にします。
そこで今回は、『MINISO』が東南アジアで成功した3つの理由と東南アジアの国々の需要の変化を解説いたします!
みなさん、こんにちは。アジアクリックPR事例特派員の堀田です。
東南アジアの国をターゲットとしてPRする際に、FacebookやInstagramといったSNSでのPRが重要であるということは、弊社の「ASIACLICK NEWS」の多くの記事の中でご紹介してきました。もちろん、SNSの普及率が高いということはその理由の一つです。しかし、それだけではなく彼らのSNSの利用方法も大きく影響しています。
そこで今回は、日本人と東南アジア人のSNSの利用から見える各々の考え方を比較し、SNSが重要と言われる核の理由を解説致します!
昨今、中国に加えてASEANマーケットへの進出がますます盛んになっており、当社でもタイ・インドネシア・ベトナム・シンガポール・マレーシア・フィリピンの順にご相談を多く頂いています。
ASEANは10カ国からなる多民族国家群。アジア担当になった方は果たして何から勉強したら良いのか迷うことでしょう。
ASEAN10ヶ国、6億人、1000民族、そして多くの宗教や言語。今日はアジア担当になったらまず知っておきたい5つの事実を共有します。
タイ・マレーシア・シンガポール・インドネシアなどASEANの主要国は、数多くの民族で構成されています。具体的には中国系とマレー系、インド系その他原住民およびそれらの混血に分けられます。民族が異なれば、宗教が異なり、考え方や価値観が異なり、消費行動も異なるということです。
また、中国系民族は富裕層および中間層がが多く、その他民族は(ブルネイを除いて)中間層以下が多い傾向があります。
1国の中に複数民族がいるのですから、国や都市だけでなく、民族でマーケティングしましょう。
ASEAN諸国では、多くの国で主流宗教であるイスラム教徒とキリスト教徒の心理内で、キリストの解釈をめぐり衝突が起きています。具体的にはタイ各国境部、マレーシア、インドネシア、フィリピン南部で多く起こっています。また、政治も不明瞭な事件も多くストレスやデモの原因になっており、特にタイ、マレーシア、シンガポール、インドネシア、ベトナムで起こっています。
宗教の衝突は民族間の衝突。以上の宗教・政治・民族についての勉強と理解は進めながらも、職場や広告等での扱いは慎重に且つ避けるべき話題でしょう。
ASEANにおいての華僑は、4〜5世代前にASEAN各地に渡ってきた子孫です。彼らは中国大陸人と一緒にされるのを非常に嫌います。マレーシアやシンガポール、インドネシアなど既に各国の正式な国民であり誇りもあります。一般的に中国系であることに誇りが置いているのではなく、一族の歴史と成功に誇りがあるのです。
英語で彼らを呼称するときに「チャイニーズ」ではなく、理解を示し「マレーシアンチャイニーズ」「インドネシアンチャイニーズ」などと呼ぶように心がけましょう。
多少乱暴な言い方になりますが、ASEANつまり東南アジアの原住民であるマレー系にはタイ南部民族、マレー人、インドネシアプリブミ、フィリピン人、ラオス人、カンボジア人、ブルネイ人の多くが、親戚として民族的に同系列となります。おおざっぱにいうと、彼らは元来、冬のない常夏の気候で育っており、寒さで死ぬこともなく、バナナやマンゴー、パパイヤといった食料にも困らない常夏の楽園といった環境でのんびり暮らしてきました。そこには四季のある日本のように、いつまでに何かをしなければならない、という習慣があまり根付かなかったのです。
だから私達日本人が、中華系でない東南アジア市民と接するときは私達の慣習やスピード感を押し付けるのではなく、郷に入っては郷に従うように余裕を持ちたいものです。
ASEAN地域の華僑も、マレー系民族も一族の繋がりを根本においた生活をしています。しかも広範囲に一族が散らばっており、一族の消息を知るために使われているのがFacebookです。子供が自身の父母にiPadをプレゼントして、孫の顔を見せる、といったことが普通に行われています。日本の老年層はFacebookを使ってないですから、どれだけ根付いた情報インフラになっているかは想像に難くないですね。ASEANマーケットにリーチするのに、この無料のPRツールを活用しない手はありません。
またB2Bでも、Linkedin(リンクトイン)というビジネス専用Facebookがどの国でもよく使われています。理由はASEAN市場のビジネスマンは英語ができるからです。企業同士の提携、取引、販路拡大に、日本にいながらビジネスネットワークを広げることができるのは活目に値することです。
いかがでしたでしょうか? これらASEANマーケットの特徴を掴んで、各国、各民族の理解へと進んで長い付き合いができるようにしてまいりましょう!
(アジアクリック/高橋学)
東京からASEANに飛び出して以来、
ひとり暮らしアパートで2,3万から。1ヶ月も1日だって契約OK。1ヶ月ほどASEANに飛び出してタイでもベトナムでも、好きな国で暮らしてみませんか?
(アジアクリック/高橋学)
こんにちは。
シンガポール企業ロミスの竹内CEOより、当社代表高橋へ下記のご推薦文をいただきました。
これからもスタッフ一同、ASEAN市場ノウハウの伝道に努めてまいります。 どうもありがとうございます!
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高橋学氏は、タイ・マレーシア・シンガポール・インドネシアなど週替りでASEAN10カ国を周って現地に密着、各マーケットの最新状況に精通している東南アジア市場の専門家です。
英語、中国語、インドネシア語を話し、華僑や現地民族の人脈ネットワークを持っています。
高橋学氏が得意とするのは、それら複数国へのPRや市場調査。
最近ではJETROのアセアンキャラバンのPR担当や、JNTO日本政府観光局の新市場調査を担当。日系企業のみならず現地企業のASEAN展開をサポートしています。
現時点で、高橋氏は日本人として唯一のASEANマーケットの専門家であり、氏が足で稼いた現地ネットワークと現地事情への精通は、貴社のASEANビジネスの方向を示し、氏のアドバイスによって、新興市場でのリスクを最大限回避できることでしょう。
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(アジアクリック高橋学について)
東京商工会議所 国際展開アドバイザー、ABC会(全国ホテル旅館協会)、銀行での講師など講演実績は100回以上。月
刊「広報会議」やリクルート・キーマンズネットにASEAN記事を連載。
著作に「さあ、東南アジアビジネスをはじめよう!成功のカギはソーシャルメディアの使い方にあり」(インプレス社刊)がある。
(Amazonや楽天から購入 http://amzn.to/1FfciGN)

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連絡先 アジアクリック シンガポール
メール info@asiaclick.jp
■多民族、多言語、多宗教なASEAN。
ASEAN10カ国には10カ国なりの特徴があり、一枚岩ではない。民族や言語の総数は1000に近く、またベトナムの社会主義経済共産主義からシンガポールの事実上の一党独占など政治、経済形式も多岐にわたる。言語は主に英語、マレー語系統であるマレーシア語、フィリピン語、インドネシア語と、タイ語ミャンマー語クメール語グループ、中国語系であるマンダリンと広東語そしてローカル華語、そこから派生したベトナム語といった具合で3ヶ国語以上を話すマルチリンガルが普通である。
■中韓に後れを取る日本。日本に求められているのは「高い質、安心安全」
また昨今はIT系と単純労働のためのインド人、韓国人や中国人がASEANビジネスのために多くビジネス展開を行っている。韓国人はローカルレストランからサムスンやヒュンダイを中心とした電気電子技術、中国人は華人ネットワークを活用してぐいぐいと国家プロジェクトに食い込んでいる。
私たち日本人はとすると残念ながらこれらアジア2民族に後れを取っていると言わざるをえない。しかしながらかつては中国韓国が席巻していた自動車・バイク分野では「すぐ壊れる中国製よりも、高くても10年乗れる日本製」が定番となっている。安いのなら何でも中国製で存在する、日本に求められているのは「高品質で安心安全」である。これらにASEAN市民は高いお金を払う時代になっているのである。
■ASEAN全体で中間所得増が数倍に。人口ボーナス期が続く
さて、先のニュースでフィリピン人口が1億人を超えた。しかも平均年齢は23歳。日本とはまるで逆の状況で今後あらゆる分野で人口ボーナス期の恩恵を受けられる。フィリピンだけでなくベトナムやインドネシアなども平均20代で、特にインドネシアは2030年までに人口3億人を超えるという予測もある。理由はもともと人口が2億5千万人平均年齢も若いのに加えて、イスラム教徒がその大半を占め、大家族主義で1組の夫婦が4人、5人と子供を持つことも珍しくなく若い人に効いても3〜5人は子供が欲しいという。一般的に男性は25歳、女性は22歳くらいまでに結婚するのがインドネシアのムスリムにとっては良しとされる風潮がある。
■ASEAN3種の神器は「自動車・コンドミニアム・スマホ」
経済成長率が7%前後で人口がどんどん増え、現在のASEAN3種の神器は「自動車、コンドミニアム、スマートフォン」に移っている。一人あたり名目GDP3,000ドルを超えると自動車が普及し始めると言われているが、インドネシア・ベトナム・フィリピン・ミャンマー・ラオス・カンボジアはまさにその前夜といえる。コンドミニアムというのはプールや事務が付いている一般富裕層が住むマンションのことで、1000〜3000万円くらいが最多販売価格である。もちろん都心部やシンガポールではこの限りでない。いずれも人に自慢したい、成功の証としたいという意味もあるが、ASEANの中韓所得増にとってどんなスマートフォンを持っているかでその人の経済状況を見るのが通念となっており、iPhone6だとお金持ち、サムスンギャラクシーだとそこそこ、地元ブランドスマホを持っていればお金はない人と認識される。
現在のASEAN地域は、差はあるものの1980年前後の日本を想像すると分かりやすい。食に満ちたら、次は何を望むか? 中国市場だけでない、ASEAN消費者市場の魅力をぜひご自身の目で確かめていただきたい。
(アジアクリック/高橋学)
前回までの記事
ASEAN市場とは①〜一枚岩でないASEAN諸国。国々の中の民族や宗教など個々の理解が必要
ASEAN市場とは②〜中国ビジネスの失敗から学ぼう
ASEAN市場とは③〜本当にASEAN新興市場で良いのか?
ASEANは10ヶ国ある。タイ・マレーシア・シンガポール・インドネシア・ベトナム・フィリピン・ミャンマー・ラオス・カンボジア・ブルネイである。2015年末にASEAN経済共同体(AEC)が発足し貿易や人材交流の垣根を徐々に撤廃してEU欧州経済地域のように1つの大きな経済圏となっていくとはいっても、共通項は大ざっぱに言って
1)華僑が経済の大部分を握っている(国にもよるが8〜9割と言われている)
2)中国系以外の民族は、マレー系が主流(タイ人・マレー人・インドネシア人・フィリピン人・ミャンマー人・ラオス人・カンボジア人・ブルネイ人。シンガポール人とベトナム人以外において最多数民族はマレー系)ことによる、民族間の確執。
3)シンガポールを除き発展途上国で、年7%ほどの経済成長率としてめざましく発展中
4)インドネシアがASEAN経済圏GDPと人口の約半分を占めている
5)常夏の南国であり、四季がない地域がほとんど。
6)全ての国で、親日である(全ての国で85%を超える好感度※)
7)仲が悪い国がある。インドネシアとマレーシア、ベトナムとカンボジアなど。
8)主要宗教はイスラム教>キリスト教>仏教道教儒教の順で信者が多い。
■ASEAN経済圏は、華僑ビジネスとマレー系既得権益層のハイブリッド

特に「華僑と組んで、現地マレー系民族に配当を与えハンコを貰う」ことが基本となる。
日本人だけでは、この一連の流れが出来ない。
ビジネスは華僑と、許認可はマレー系で。
なぜか? 歴史的に原住マレー系が先、華僑はあとから住み着いたからである。
元々ASEAN諸国のマレーシア・インドネシア・フィリピンなどは南島語(オーストロネシア語)を話すマレー系オーストロネシア民族が原住であり、その後中国大陸から華僑が移り住んできた。4〜5世代前のことである。今では華僑たちも各国民として暮らしているが、マレーシアでは原住マレー人を「ブミプトラ(大地の子)」、インドネシアでも「プリブミ」と言って事実上役所など政治はマレー系が殆どを占めている。
昨年、インドネシア新大統領にジョコウィ氏が就任したことで繰り上がってジャカルタ特別州知事に中華系アホック氏が就任したことは、東南アジアの長い華僑の歴史の中で初めての出来事であり(単独政党のシンガポールや文化混合や混血が進んでいるタイは除く)、ASEAN全域の華僑に希望と誇りを与え、原住の人々にとっては他民族に政治の一翼をとられた気分となって一部苦い思いをしている人々もいると聞く。
ASEANでのビジネスは、その民族感情を考慮に入れて聖域を侵さず、華僑とマレー系のお互いの面子と領域を尊重していかねばならない。
我々日本人は、質の担保や信頼を積み重ねる部分を担当しよう。
もちろん、全て任せてはいけない。信頼できる華僑とマレー人スタッフのチェック体制を何人にも分けて現状を把握していくことがリスク対策となる。(アジアクリック/高橋学)