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ASEAN訪日ブログREPORT

 “高付加価値市場”が始動— バンコク日本博2025・訪日トラベル商談会レポート

結論・概要

バンコク日本博(NIPPON HAKU BANGKOK)は、クイーンシリキット国際会議場で毎年9月初旬ごろに行われるタイ最大級の日本文化フェスです。今年で10年目。教育・旅行・食・サブカルまで日本の体験が集まり、3日間の会期中は10万人以上が訪れます
初日の会場2階では訪日トラベル商談会(BtoB)を実施。日本側は山形から熊本までの自治体・DMOが13団体、タイ側は旅行会社38社、全6セッション×15分の自由商談形式で進みました(司会進行はアジアクリック・高橋学が務めさせていただきました)。 その結果、家族や6〜12人の少人数で楽しむ高付加価値のFITと、30〜200名のインセンティブの両輪で具体案件が一気に前進。特に長崎・五島列島や群馬の温泉地といった新しい行き先の検討が進み、山形・和歌山など定番の深掘りも着実に動きました。人手不足に伴う宿泊価格上昇や、中国各地の低価格ツアーとの競合が激しくなる中、対面で日本旅行らしい高品質な体験を伝えることで“選ばれる理由”を明確化できると感じました。

商談会の様子

商談の進み方:開始直後から各テーブルで商談が一斉に開始。名刺交換のあと、場所の確認・魅力・最新情報・移動時間・概算費用・受入上限・食や禁忌といった実務ポイントを、日タイ双方がパンフレットとQRコード先の詳細資料を行き来しながらテンポよく商談を進めていく流れでした。

  • 日本側の声:6セッションでも途切れず商談できた/新たな有力旅行会社と出会えた/FITとインセンティブで具体送客の話が複数出た/一度で多くの有力会社に会えるので効率的だった
  • タイ側の声:長崎・五島列島や群馬の温泉など、既存顧客に提案しやすい新ルートを具体化できた/山形・和歌山など定番も最新の詳細情報で商品化の解像度が上がった/デスクリサーチには限界があるため、継続的な対面やファムトリップの機会がほしい

トピック:途中、くまモンがサプライズ登場し、雰囲気が一段と和みました。熊本への関心喚起にもつながりました。

タイ訪日の課題と打ち手

日本国内では人手不足などを背景に宿泊価格が上昇し、繁忙期はホテル・旅館・バスの確保が難しい状況が続いています。加えて、中国東北部ハルビンから四川省・成都まで中国大陸各地の季節ツアーが格安で販売され、訪日の強力な競合となっています。こうした状況下のもと、日本の地方で好感されたのは
(1)新規性×体験性が高く旅行会社に依頼すべき行き先(長崎・五島列島、群馬の温泉地等)の提案と、
(2)定番(山形・和歌山等)の深掘り=滞在時間と消費価値を魅力的に伸ばす情報提供です。
さらに、「FITモデルコース」と「インセンティブツアーモデルコース」の2種類を事前に用意し、「なぜその地域なのか」「いくらで・いつ・どの規模で受け入れられるのか」を一目でわかる形にするとツアー企画に落とし込みやすく、タイ旅行会社の意思決定も早く前進するでしょう。

高付加価値な「FITグループ」と「インセンティブツアー」を狙おう

タイ市場で日本の地方が選ばれる鍵は、価格ではなく、家族や仲間とともに過ごす「記憶に残る訪日体験」にあります。
高付加価値なFITとインセンティブという二本柱を意識し、モデルシートでその理由と条件を「高付加価値」として見える化することで、次シーズンの実際の送客につながります。
来年以降もこの対面商談の場を継続し、地域の魅力を丁寧にお伝えしていきたいと考えています。

タイをはじめシンガポールやフィリピン等、東南アジアからの訪日誘客に関するご相談は、お気軽にお声がけください。

アジアクリック 高橋学