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 ASEAN市場とは⑤〜リスク対策は民族・宗教・政治。炎上事例から現地との距離感を学ぼう

ASEANにも炎上リスクがある。
主に政治・宗教・民族に関して無知でいると起こってしまう。
次からいくつか企業の炎上事例を紹介しよう。

前回までの記事
ASEAN市場とは①〜一枚岩でないASEAN諸国。国々の中の民族や宗教など個々の理解が必要
ASEAN市場とは②〜中国ビジネスの失敗から学ぼう
ASEAN市場とは③〜本当にASEAN新興市場で良いのか?
ASEAN市場とは④〜華僑ビジネスとマレー系既得権益層のハイブリッドである

■ASEAN各国の炎上事例

①「ウルトラの父はアラーと同じくらい偉い」と記述した幼児向け書籍が炎上 〜マレーシア

②中国系をベトナム民族の中と紹介した航空会社のイベントが炎上 〜ベトナム

③インドネシアの洪水に備えて「ケンタッキーフライドチキン購入」を薦めて炎上 〜タイ

④地下鉄公社が運賃の値上げや電車が止まる事件へのコメントを無視したうえに、キャンペーンなど無関係情報をアップして炎上 〜シンガポール

⑤キットカットの紙がオランウータンの住む森を破壊しているとしてグリーンピースがネガティブキャンペーンを展開 〜インドネシア

など、ASEAN各国津々浦々企業の無神経さによる炎上が起こっており企業ブランドに多大なダメージを与えている。

現地企業ですら炎上を招くのだから、現地に明るくない日本企業団体はなおのこと現地事情を学びリスクを最小限に抑えていく努力を行わなければならない。

■民族の歴史認識不足による、私の失敗事例

かくいう私も、2年前に不用意な一言でマレーシア華僑を怒らせたことがある。
Facebookに「マレーシア華人は、中国大陸に帰れなかったからこそ今の経済を支配する地位を得たのだ」と書いた所、マレーシア人の友人から当社マレーシア人スタッフまで「高橋さんは、私達マレーシア華人が中国大陸にいつか帰りたいとでも思っているのですか!?」とPRIDE高い華僑の逆鱗に触れてしまったのである。
解説すると、ASEANのみならず華僑というものは4〜5代に渡り貧しいが故に中国大陸から外国に移住し、炭鉱やプランテーションで働き蓄財し現地人と折り合いをうまくつけながら努力して現在の「ASEANの経済の8割は華僑がにぎっている」地位を作り得たのである。その歴史的・家族的プライドがある、中国大陸の中国人とは異なる、私達は華僑だという自負と尊厳がある。
彼らと英語で会話する際にはつい省略してChineseと呼んでしまいそうになるが、これはいけない。Malaysian Chinese, Indonesian Chineseといったように彼らの地位を理解した表現を用いるべきだ。

■ASEANビジネスでは、政治・民族・宗教の話題は禁忌

ASEANで触れては行けない、理解するべきリスクの代表例

10ヶ国6億人1000民族に近いASEANをこの記事1つで説明しきれるものではないが、基本原則として
「政治・民族・宗教」には触れないに限る。また広告等クリエイティブが必要な場合は当該民族に校正を必ずお願いする、など日本人では理解できない範囲があると踏まえ、その時その時で石橋を叩いて渡りたい。
私達日本人が現地を学びどんなに理解が進んでも、現地に何十年住んでも、彼らの立場には成り得ない。また、彼らの土地でビジネスをさせてもらおうとしている立場でもある。ASEANを勉強し続けることは止めず、現地人の感情を深淵なものとして謙虚にASEANと伴走し続けたいものである。
(アジアクリック/高橋学)