こんにちは。インドネシア特派員の高野です。
さて、インドネシア人の方への日本行きビザも緩和されている中で、日本での食生活において、どのようにハラム(haram、イスラム法で食べたり肌につけたりしてはいけないもの。ノン・ハラル)を見分けるか。インドネシア現地のムスリムの方々に訊きました。
私の周りには留学や旅行で日本を訪れる友人が多くいます。インドネシア人のおよそ8割近くはムスリム。訪日に際して、食品がハラール(イスラム法で食べたり肌に付けられるもの。ハラムの逆)であるかというのは重要なポイントになります。ハラール/ハラムの概念がまだ一般的に認知されていない日本では、いわゆる「ハラール認証」を探してもなかなか見つかりません。
日本語を学ぶ留学生は、食品に記載されている原材料や成分を読むことができますし、製造者に日本語で尋ねることができます。しかし一般の旅行者はそうはいきません。インドネシア人にとって驚くことに、日本は英語があまりに通じません。アルコールをもとにしているみりんなど、日本に特有な食品もあります(アルコールを使用していないものもあります)。
そこで便利なのが、ハラムの食品を列挙したウェブサイト。ハラムなものを個別の商品ごとに列記してあるので、食の安心をより簡単に知ることができます。食品の種類でハラムだと思っていたものが、個別の商品の中にハラールなものがあるとわかれば、旅先での食の楽しみが広がることでしょう。前述のみりんは世界遺産に登録された和食に使用されますが、ハラールなものを使えば安心して食べることができますね。
下記にインドネシア人ムスリムが参考にしているサイトを一部紹介します。
これらからハラール/ハラムをインドネシアのムスリムは見分けているのです。
■List of Halal Food in Japan(英語)
http://www.pmij.us/halal-haram/list-of-halal-food-in-japan.html
↑日本ブランドのハラール(イスラム教徒が口にできる)食品・ブランドリスト(PMIJのウェブページより一部抜粋)
サイトには数十の日本企業名と製品名が具体的にハラール/ハラムに記されている。
■Makanan Halal-Haram(インドネシア語)
↑日本のハラム(イスラム教徒が口にできない)食品リスト。在日インドネシア留学生協会(PPI)より抜粋。
↑日本の商品別ハラール(イスラム教徒が口にできる)食品・ブランドリスト(ウェブページより一部抜粋)
サイトには数十の日本企業名と製品名が具体的にハラールとして記されている。
マレーシア、インドネシアからのインバウンドを増やすため、日本でもハラールビジネスが盛り上がりをみせはじめました。ハラールの認識が広がり、ムスリムフレンドリーな日本になるために良いことだとは思うのですが、「ハラール認証」制度をめぐり一部のビジネスライクな活況には私はやや懐疑的です。
イスラームは近代国家の枠組みとは関係のないものなのに、マレーシアが国家戦略的に始めたハラール認証制度。その後各国に広がりました。
日本では、ムスリムフレンドリーであることはすなわち認証を取得することというような図式があるように思います。しかし、より大切なのは、巨額な設備投資と認証マークを得ることよりも、まずムスリムにくわしく説明することではないでしょうか。
信仰は個人のもの。醤油を使っているようだから食べない、というお客さんに、この醤油はアルコール分がゼロに近いものです、との説明があれば、安心して食べてくれるかもしれない。提供する側がしっかり説明し、その上でムスリムの消費者が選択する。上記のウェブサイトではそれが行われているわけですが、製造者から発信されていればこのようなサイトを参照する手間もかかりません。
イスラム教徒にとって非イスラム国での食は最大の課題で、シーフードとインド・パキスタン等料理ばかりが安心して食べれるというのは寂しいことです。現在のように、ムスリムの観光客の方々がわざわざ母国からカップ麺を持ち込まなくても、和食を安心して楽しんでもらえるムスリムフレンドリーな日本にしていきたいものですね。(インドネシア特派員/高野)
■多民族、多言語、多宗教なASEAN。
ASEAN10カ国には10カ国なりの特徴があり、一枚岩ではない。民族や言語の総数は1000に近く、またベトナムの社会主義経済共産主義からシンガポールの事実上の一党独占など政治、経済形式も多岐にわたる。言語は主に英語、マレー語系統であるマレーシア語、フィリピン語、インドネシア語と、タイ語ミャンマー語クメール語グループ、中国語系であるマンダリンと広東語そしてローカル華語、そこから派生したベトナム語といった具合で3ヶ国語以上を話すマルチリンガルが普通である。
■中韓に後れを取る日本。日本に求められているのは「高い質、安心安全」
また昨今はIT系と単純労働のためのインド人、韓国人や中国人がASEANビジネスのために多くビジネス展開を行っている。韓国人はローカルレストランからサムスンやヒュンダイを中心とした電気電子技術、中国人は華人ネットワークを活用してぐいぐいと国家プロジェクトに食い込んでいる。
私たち日本人はとすると残念ながらこれらアジア2民族に後れを取っていると言わざるをえない。しかしながらかつては中国韓国が席巻していた自動車・バイク分野では「すぐ壊れる中国製よりも、高くても10年乗れる日本製」が定番となっている。安いのなら何でも中国製で存在する、日本に求められているのは「高品質で安心安全」である。これらにASEAN市民は高いお金を払う時代になっているのである。
■ASEAN全体で中間所得増が数倍に。人口ボーナス期が続く
さて、先のニュースでフィリピン人口が1億人を超えた。しかも平均年齢は23歳。日本とはまるで逆の状況で今後あらゆる分野で人口ボーナス期の恩恵を受けられる。フィリピンだけでなくベトナムやインドネシアなども平均20代で、特にインドネシアは2030年までに人口3億人を超えるという予測もある。理由はもともと人口が2億5千万人平均年齢も若いのに加えて、イスラム教徒がその大半を占め、大家族主義で1組の夫婦が4人、5人と子供を持つことも珍しくなく若い人に効いても3〜5人は子供が欲しいという。一般的に男性は25歳、女性は22歳くらいまでに結婚するのがインドネシアのムスリムにとっては良しとされる風潮がある。
■ASEAN3種の神器は「自動車・コンドミニアム・スマホ」
経済成長率が7%前後で人口がどんどん増え、現在のASEAN3種の神器は「自動車、コンドミニアム、スマートフォン」に移っている。一人あたり名目GDP3,000ドルを超えると自動車が普及し始めると言われているが、インドネシア・ベトナム・フィリピン・ミャンマー・ラオス・カンボジアはまさにその前夜といえる。コンドミニアムというのはプールや事務が付いている一般富裕層が住むマンションのことで、1000〜3000万円くらいが最多販売価格である。もちろん都心部やシンガポールではこの限りでない。いずれも人に自慢したい、成功の証としたいという意味もあるが、ASEANの中韓所得増にとってどんなスマートフォンを持っているかでその人の経済状況を見るのが通念となっており、iPhone6だとお金持ち、サムスンギャラクシーだとそこそこ、地元ブランドスマホを持っていればお金はない人と認識される。
現在のASEAN地域は、差はあるものの1980年前後の日本を想像すると分かりやすい。食に満ちたら、次は何を望むか? 中国市場だけでない、ASEAN消費者市場の魅力をぜひご自身の目で確かめていただきたい。
(アジアクリック/高橋学)
自戒を込め、持論があります。
「その国の言葉が話せないと、その市場を理解しているとは言えない」ということです。
基本的に、 英語話者が知っていることは、英語圏の情報です。 中国話者が知っていることは、中国語圏の情報です。
両方話せる人は、両方の情報からより正しく、広い見識を得ることが出来ます。 日本語が出来ない人に、日本のことを教えられたいと思いますか?
タイ市場を学びたいときに、タイ語で基本会話も出来ないコンサルタントに教えを請いたいと思うでしょうか。
言葉とビジネスは密接です。
挨拶ができて、人の笑顔を知り、
買物の言葉ができて、価格がわかり、
更に値引きができて、相場がわかり、
質問ができて、生のマーケットを知ることが出来るのです。
これらはジェトロの情報を見たから得れるものではありません。
むしろ、その国の言葉が話せないと、その人は私達と同じ程度の情報しか持っていないことになります。
言葉ができれば、その国の人やメディアから直接、又聞きでない生情報を得れるのです。
その国の言葉が出来るだけ、その市場を理解しています。
私も現在、タガログ語、ベトナム語、タイ語、そして日本語を頑張っています。
多くの人に英語や中国語は通じますが、又聞きの情報なんです。本当のホンネは出てきにくい。
現地に住んでいるからこその生々しい、自分だけしか出来なかった体験と本当の情報を伝えたい、 薄めた情報でごまかしたくない。
私自身、書きながら反省していますが、ビジネスを行う上でひとつの基準としてみてはいかがでしょうか。
最後に、本音を語ってくれるアジア各民族の母語は以下のとおりです。
【アジア各国民族の第一言語(母語)】
・タイ人 〜 タイ語
・マレー人 〜 マレー語、他サワラク等少数民族毎の言語
・マレーシア華人 〜 潮州語や福建語、客家語など土着の言語。マンダリンではない
・シンガポール人 〜 マンダリン
・インドネシア華僑〜 インドネシア語。中国語ではない。
・ 〃 プリブミ〜 ジャワ語やスンダ語など土着の言語。インドネシア語もOK
・ベトナム人 〜 ベトナム語
・フィリピン人 〜 タガログ語またはビサヤ語など土着の言語。英語ではない
・ミャンマー人 〜 ビルマ語 (ミャンマー語)
・ラオス人 〜 ラオス語 (ラーオ語)
・カンボジア人 〜 クメール語(カンボジア語)
・ブルネイ人 〜 マレー語
・台湾人 〜 マンダリン・繁体字
・香港人 〜 広東語、マンダリンではない
多くのビジネスシーンで英語は通じますが、ビジネス用の作業言語です。
中国普通語(マンダリン)も華僑には通じますが、共通語としてのビジネス用の作業言語です。
彼らの心の扉を開くには、挨拶だけでも母語で語りかけると良いかもしれませんね。
(アジアクリック/高橋学)
Hello! シンガポールからアジアクリックスタッフのHinaです。
シンガポールにはショッピングセンターのオープンがまだまだ続いております。日本食レストランや日本ブランドも多くショッピングセンターの中に出店していますが同時に撤退もしくは縮小している日本ブランドもあります。
今日はシンガポールで独占状態のマーケットリーダー、ダイソーの成功の秘訣をシェアします。
ダイソーは日本国内4000店、 海外では1000店以上あり世界中のショッピングセンターから出店の誘いを受けており海外の9割の店舗がショッピングセンターの中のテナントです。2ドルショップで販売しているダイソーは日本円で約180円ほどと日本の倍近く。
Q「アジアは交渉がシビアである!」日本とアジアのデベロッパーの違いは?
― 賃料がとりあえず倍、ときに10倍という金額が飛び出す。高く出来るなら高くは当たり前という意識がある。
― オーナー(貸主)が代わると契約期間がまだ残っているのにも関わらず値上げの話をしてくる。
― とにかく賃料を高く取れればいいという発想が先行している
― ショッピングセンターの活性化やおもしろさに目を向けていない
Q「日本ブランドを強気で出す!」
― アパレル日本ブランドは多いのだが雑貨での有名日本ブランドはまだ少ない事を理由に全面に日本ブランドを前に出した店舗作りをしている
― パッケージもあえて日本語のままで販売
― 店舗によっては日本ブランドの期待に答えるように売り場のデザイン、色合いなどを凝った銃器などを利用している
― 食器などはあえて日本製と表示して販売すると販売数がぐっと伸びる
Q「アジアならではの購買の特徴とは?」
― メイドを連れてくることが多い。それを使うメイドと相談しながら買う傾向
― 工場が少ないシンガポールなので売り切れになる可能性が高い。そこでまとめ買いをする客が多い
― 倉庫やスペースがある家庭がおおいのでストックを買い込む傾向がある
Q「シンガポールらしい売れ筋は?」
― 四季がないが季節感のあるイベントグッズが人気。特にクリスマスとハロウィーン
― イベント直前に売れるのではなく2ヶ月前からなどかなり早目からの購入が始まる
― 日本のアイデア商品がよく売れる
― キャラメルコーン、プラスチック製シューズケースやストックボックスが人気トップ3
なお、客層は主婦が中心、週末は家族連れ。平日の夕方から夜は小中学生が多い。お菓子、文具、化粧品を買い求める人が多い。レジ通過数は1日3000人以上。来客はその1.5倍以上あると思われます。
ぜひ、皆様もシンガポールへ視察にいらして下さい。私が現地をご案内します。
(アジアクリック シンガポール/Hina)
ASEANにも炎上リスクがある。
主に政治・宗教・民族に関して無知でいると起こってしまう。
次からいくつか企業の炎上事例を紹介しよう。
前回までの記事
ASEAN市場とは①〜一枚岩でないASEAN諸国。国々の中の民族や宗教など個々の理解が必要
ASEAN市場とは②〜中国ビジネスの失敗から学ぼう
ASEAN市場とは③〜本当にASEAN新興市場で良いのか?
ASEAN市場とは④〜華僑ビジネスとマレー系既得権益層のハイブリッドである
①「ウルトラの父はアラーと同じくらい偉い」と記述した幼児向け書籍が炎上 〜マレーシア
②中国系をベトナム民族の中と紹介した航空会社のイベントが炎上 〜ベトナム
③インドネシアの洪水に備えて「ケンタッキーフライドチキン購入」を薦めて炎上 〜タイ
④地下鉄公社が運賃の値上げや電車が止まる事件へのコメントを無視したうえに、キャンペーンなど無関係情報をアップして炎上 〜シンガポール
⑤キットカットの紙がオランウータンの住む森を破壊しているとしてグリーンピースがネガティブキャンペーンを展開 〜インドネシア
など、ASEAN各国津々浦々企業の無神経さによる炎上が起こっており企業ブランドに多大なダメージを与えている。
現地企業ですら炎上を招くのだから、現地に明るくない日本企業団体はなおのこと現地事情を学びリスクを最小限に抑えていく努力を行わなければならない。
かくいう私も、2年前に不用意な一言でマレーシア華僑を怒らせたことがある。
Facebookに「マレーシア華人は、中国大陸に帰れなかったからこそ今の経済を支配する地位を得たのだ」と書いた所、マレーシア人の友人から当社マレーシア人スタッフまで「高橋さんは、私達マレーシア華人が中国大陸にいつか帰りたいとでも思っているのですか!?」とPRIDE高い華僑の逆鱗に触れてしまったのである。
解説すると、ASEANのみならず華僑というものは4〜5代に渡り貧しいが故に中国大陸から外国に移住し、炭鉱やプランテーションで働き蓄財し現地人と折り合いをうまくつけながら努力して現在の「ASEANの経済の8割は華僑がにぎっている」地位を作り得たのである。その歴史的・家族的プライドがある、中国大陸の中国人とは異なる、私達は華僑だという自負と尊厳がある。
彼らと英語で会話する際にはつい省略してChineseと呼んでしまいそうになるが、これはいけない。Malaysian Chinese, Indonesian Chineseといったように彼らの地位を理解した表現を用いるべきだ。
10ヶ国6億人1000民族に近いASEANをこの記事1つで説明しきれるものではないが、基本原則として
「政治・民族・宗教」には触れないに限る。また広告等クリエイティブが必要な場合は当該民族に校正を必ずお願いする、など日本人では理解できない範囲があると踏まえ、その時その時で石橋を叩いて渡りたい。
私達日本人が現地を学びどんなに理解が進んでも、現地に何十年住んでも、彼らの立場には成り得ない。また、彼らの土地でビジネスをさせてもらおうとしている立場でもある。ASEANを勉強し続けることは止めず、現地人の感情を深淵なものとして謙虚にASEANと伴走し続けたいものである。
(アジアクリック/高橋学)
前回までの記事
ASEAN市場とは①〜一枚岩でないASEAN諸国。国々の中の民族や宗教など個々の理解が必要
ASEAN市場とは②〜中国ビジネスの失敗から学ぼう
ASEAN市場とは③〜本当にASEAN新興市場で良いのか?
ASEANは10ヶ国ある。タイ・マレーシア・シンガポール・インドネシア・ベトナム・フィリピン・ミャンマー・ラオス・カンボジア・ブルネイである。2015年末にASEAN経済共同体(AEC)が発足し貿易や人材交流の垣根を徐々に撤廃してEU欧州経済地域のように1つの大きな経済圏となっていくとはいっても、共通項は大ざっぱに言って
1)華僑が経済の大部分を握っている(国にもよるが8〜9割と言われている)
2)中国系以外の民族は、マレー系が主流(タイ人・マレー人・インドネシア人・フィリピン人・ミャンマー人・ラオス人・カンボジア人・ブルネイ人。シンガポール人とベトナム人以外において最多数民族はマレー系)ことによる、民族間の確執。
3)シンガポールを除き発展途上国で、年7%ほどの経済成長率としてめざましく発展中
4)インドネシアがASEAN経済圏GDPと人口の約半分を占めている
5)常夏の南国であり、四季がない地域がほとんど。
6)全ての国で、親日である(全ての国で85%を超える好感度※)
7)仲が悪い国がある。インドネシアとマレーシア、ベトナムとカンボジアなど。
8)主要宗教はイスラム教>キリスト教>仏教道教儒教の順で信者が多い。
■ASEAN経済圏は、華僑ビジネスとマレー系既得権益層のハイブリッド
特に「華僑と組んで、現地マレー系民族に配当を与えハンコを貰う」ことが基本となる。
日本人だけでは、この一連の流れが出来ない。
ビジネスは華僑と、許認可はマレー系で。
なぜか? 歴史的に原住マレー系が先、華僑はあとから住み着いたからである。
元々ASEAN諸国のマレーシア・インドネシア・フィリピンなどは南島語(オーストロネシア語)を話すマレー系オーストロネシア民族が原住であり、その後中国大陸から華僑が移り住んできた。4〜5世代前のことである。今では華僑たちも各国民として暮らしているが、マレーシアでは原住マレー人を「ブミプトラ(大地の子)」、インドネシアでも「プリブミ」と言って事実上役所など政治はマレー系が殆どを占めている。
昨年、インドネシア新大統領にジョコウィ氏が就任したことで繰り上がってジャカルタ特別州知事に中華系アホック氏が就任したことは、東南アジアの長い華僑の歴史の中で初めての出来事であり(単独政党のシンガポールや文化混合や混血が進んでいるタイは除く)、ASEAN全域の華僑に希望と誇りを与え、原住の人々にとっては他民族に政治の一翼をとられた気分となって一部苦い思いをしている人々もいると聞く。
ASEANでのビジネスは、その民族感情を考慮に入れて聖域を侵さず、華僑とマレー系のお互いの面子と領域を尊重していかねばならない。
我々日本人は、質の担保や信頼を積み重ねる部分を担当しよう。
もちろん、全て任せてはいけない。信頼できる華僑とマレー人スタッフのチェック体制を何人にも分けて現状を把握していくことがリスク対策となる。(アジアクリック/高橋学)
前回までの記事
ASEAN市場とは①〜一枚岩でないASEAN諸国。国々の中の民族や宗教など個々の理解が必要
ASEAN市場とは②〜中国ビジネスの失敗から学ぼう
だからこそ、私の周りの人々には、日本人には私のような失敗をしてほしくない。市場を知ってから、民族性やリスクを知ってからその国でのビジネスを深慮してほしい。
昨今、やれイスラム市場だ、インドネシア市場だ、世界の工場ベトナムだと進出熱が高まっているが、今一度静かに検討をしてみていただきたい。
「東京や大阪、地方ではそのビジネスはできないのか?」
「それぞれのデメリットとメリットを比較したらどうか?」
「慣れない土地で、相手のルールでビジネスするほどの理由があるのか?」
もちろん、世界の5人に1人を占めるようになるイスラム市場は魅力的だし、親日で日本の倍の人口であるインドネシアも中国に次ぐ隣りの大市場として検討したほうが良い。しかし、自社の商品や達成したいことは外国に打って出てまでする必要があるのだろうか?
検討材料としてのASEAN各国の比較情報を、拙い経験と知識の中から皆さんに共有していきたい。
(アジアクリック/高橋学)
前回はASEANで成功する秘訣、つまり失敗しないために「現地を知ること」とお伝えした。
今回は現地を知らなかった私の中国ビジネス失敗経験を共有する。
〜中国ビジネスはパチンコをやるようなもの、野生の王国で日本人は負けるのは分かっている。
そこで、私が社会に貢献できるのは、地元ASEANと中国の経験を日本社会に戻すことだと考える。
私は2006年に中国北部天津地方南部に身を移しWEBマーケティングを生業とする中国人数人からなる有限公司を運営していたが、セオリー通りチャイナリスクにひっかかってしまい、中国人パートナーに資金も実権もうまく奪い取られ、ほうほうの体で社外に放り出されてしまった。
なぜか。
中国を知らなかったからである。中国のビジネスの仕組みは小さな権利から大きな権利に乗り換えて行くために、その場その場のチャンスを奪い取ること。14億人という大人口の中での弱肉強食なのである。野生の王国なのである。また、中国語が出来なけば通訳に依存する、それでは通訳と相手の中国人の手のひらで踊らされてしまう。相手の些細な嘘を見破り、自身や会社を守るためにも、現地の言語は理解できないといけない。状況が分からずして判断もできようもないからだ。
そうして、全てを中国人パートナーに任せきっていた私が、一文無しとなった2008年。
ここに、海外ビジネスで失敗しないための基礎中の基礎「自身が現地を知ること」を学んだ。
ASEANは多様だ。
10カ国のうちには民族が数百、言語も数百、ほぼ全ての人がそれぞれ異なる宗教を持っている。
当社アジアクリックは、シンガポールをハブに多様性に富んだASEAN市場を現地からお伝えしている。
そのために、毎週毎週シンガポールやらジャカルタやらホーチミンといったASEANの主要都市をめぐり、日系企業や政府系組織の現地市場調査、PRの代行など、おおよそ複数国同時に行っている。当社は各地に特派員と呼ばれる現地スタッフがいるのだが、彼らに会って励まし、人間関係を太くし、また新たに現地で特派員をリクルートするという作業をここ2年以上続けている。
私は元々、みちのく仙台の田舎出身で、20代も半ばまで外国人と話したこともないし、外国に行ったこともなかった。その時までの気持ちを思い返してみると、やはり外国と言わずアジアの国々と言わず、行ったことのない異国というものはまったくもってどんな国でどんな人々がどんな暮らしをしているのか検討もつかない。私が週替りで周っているタイ・マレーシア・シンガポール・インドネシア・ベトナム・フィリピンなどもその類だろう。
この連載が少しでもASEANの理解に役立っていけば大変有り難く思う。
■一枚岩でないASEAN諸国。国々の中の民族や宗教など個々の理解が必要
冒頭でも触れたように、東南アジアの国々はそれぞれ全く違う。
発展途上国として、また歴史的な民族や宗教といった共通傾向と共通点もあるのだが、それらを知った上で個々を理解しておかないと炎上や想像もつかなかった陥穽にも陥らないとも限らない。ASEANビジネス成功の第一の秘訣は「失敗しないために民族・宗教など現地民を知る」ことである。
次回からは私の海外ビジネスの失敗経験を紹介し、基本ルールを考えてみたい。
ASEAN市場とは②〜「中国ビジネスの失敗から学ぼう」につづく。
(アジアクリック/高橋学)
Hello! シンガポールからスタッフHinaがASEANビジネス成功事例をお伝えします。
アジアで最もドラッグストアーを展開しているグループはどこかご存知ですか?
中国の広東省で1828年にオープンし今では中国本土と香港を中心に、台湾、シンガポール、タイなどアジア11カ国で3600店以上のチェーン展開、さらに薬局を900店以上を構えているワトソンズ パーソナル ケア ストアーズ(店名watsons ワトソンズ(中国名 屈巨氏)であります。グループ店の総来客数は週あたり2700万人にも達します。
ではどのように戦略からはじまったのでしょうか?
従来の薬局のイメージとは「薬のみを販売する薄暗い店」だったのですが、これを一新し新たな価値の創出に成功したのです。
従来の薬のみの販売のみならず、化粧品、スキンケア、トイレタリーなど日本のドラッグストアーと同様幅広いラインナップで人気を集めました。
ターゲットはどのように変わったのでしょうか?
従来は病気になった人や年寄りがターゲットだった従来の薬局から、18-35歳の女性に絞り込んだのです。この年齢層の女性は日本と変わらず好奇心が旺盛で新しい商品やサービスを積極的に試す傾向がありまらSNSなどの発信により日常から口コミを繰り返す習慣があるので瞬く間に広がっていったのです。
また、ターゲットは育児で忙しい年齢層も含まれ、遠くの百貨店よりも近くで身近に簡単に買い物が出来るスタイルと変わりました。
コンセプトは何だったのか?またその結果は?
ワトソンズのコンセプトは「Your Personal Store」を全面に打ち出し女性に優しい店づくりを徹底しました。その結果女性が占める来店客は93%にも達しました。
勝敗を分けた商品の特徴は何だったのでしょうか?
ライバル店と比べワトソンズは2000種類に及ぶオリジナル自社ブランド品がありこれは総売り上げの15%を占めております。これは利益率の高さにもつながったのが勝敗を分けたといわれています。なぜなら他ブランドを販売した際の利益率は25%ですが、自社ブランドなら50%にも達するからです。自社ブランドは生産コストが抑えられるため消費者にも安く提供が出来お徳感を生み出した結果なのです。
どうして日本に進出せずにアジアのみで展開しているのでしょうか?
理由その1 日本ではすでにドラッグストアー市場が成熟しているから。
理由その2 ワトソンズは日本メーカーとの取引実績がなく価格競争が出来ないから。
理由その3 オリジナル商品の品質などが日本の市場に合わないから。
今後はどのような市場開拓が成功への道なのでしょうか?
ネット販売と男性スキンケアでワトソンズは狙っております。
現在ワトソンズの商品は中国で主なECサイトで購入する事が出来ます。
一方アジア男性のスキンケアなどへの関心も高まりつつあり現在はまだ7%にとどまっている市場をさらに開拓すべく男性会員カードの発行、男性向け新商品とサービスの開発に力をそそいでおります。
日本に進出しない理由は、逆に考えるとアジアに進出する理由にもなりますね。
この記事から、皆様のビジネスアイデアが生まれると嬉しいです 🙂
当社では、Facebook運用代行を中心とした訪日・現地PR、現地調査、現地営業代行で日本の皆様がアジアを知り、アジアと繋がり、アジアでうまく行くお手伝いをさせていただきます。 アジア市場のビジネスはお気軽にご相談下さい。