ASEAN主要7カ国+インド マーケットの入口

【貴社食品名は?】日本でのハラム(イスラム禁忌)リストを公開します。

こんにちは。インドネシア特派員の高野です。

さて、インドネシア人の方への日本行きビザも緩和されている中で、日本での食生活において、どのようにハラム(haram、イスラム法で食べたり肌につけたりしてはいけないもの。ノン・ハラル)を見分けるか。インドネシア現地のムスリムの方々に訊きました。

私の周りには留学や旅行で日本を訪れる友人が多くいます。インドネシア人のおよそ8割近くはムスリム。訪日に際して、食品がハラール(イスラム法で食べたり肌に付けられるもの。ハラムの逆)であるかというのは重要なポイントになります。ハラール/ハラムの概念がまだ一般的に認知されていない日本では、いわゆる「ハラール認証」を探してもなかなか見つかりません。

日本語を学ぶ留学生は、食品に記載されている原材料や成分を読むことができますし、製造者に日本語で尋ねることができます。しかし一般の旅行者はそうはいきません。インドネシア人にとって驚くことに、日本は英語があまりに通じません。アルコールをもとにしているみりんなど、日本に特有な食品もあります(アルコールを使用していないものもあります)。

そこで便利なのが、ハラムの食品を列挙したウェブサイト。ハラムなものを個別の商品ごとに列記してあるので、食の安心をより簡単に知ることができます。食品の種類でハラムだと思っていたものが、個別の商品の中にハラールなものがあるとわかれば、旅先での食の楽しみが広がることでしょう。前述のみりんは世界遺産に登録された和食に使用されますが、ハラールなものを使えば安心して食べることができますね。

下記にインドネシア人ムスリムが参考にしているサイトを一部紹介します。
これらからハラール/ハラムをインドネシアのムスリムは見分けているのです。

■List of Halal Food in Japan(英語)

http://www.pmij.us/halal-haram/list-of-halal-food-in-japan.html

日本ブランド製品のハラムリスト
↑日本ブランドのハラール(イスラム教徒が口にできる)食品・ブランドリスト(PMIJのウェブページより一部抜粋)
サイトには数十の日本企業名と製品名が具体的にハラール/ハラムに記されている。

■Makanan Halal-Haram(インドネシア語)

http://ppijepang.org/index.php?option=com_content&view=article&id=154:makanan-halal-haram-&catid=51:kehidupan-di-jepang&Itemid=99&lang=en

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↑日本のハラム(イスラム教徒が口にできない)食品リスト。在日インドネシア留学生協会(PPI)より抜粋。

日本の商品別ハラルリスト
↑日本の商品別ハラール(イスラム教徒が口にできる)食品・ブランドリスト(ウェブページより一部抜粋)
サイトには数十の日本企業名と製品名が具体的にハラールとして記されている。

マレーシア、インドネシアからのインバウンドを増やすため、日本でもハラールビジネスが盛り上がりをみせはじめました。ハラールの認識が広がり、ムスリムフレンドリーな日本になるために良いことだとは思うのですが、「ハラール認証」制度をめぐり一部のビジネスライクな活況には私はやや懐疑的です。
イスラームは近代国家の枠組みとは関係のないものなのに、マレーシアが国家戦略的に始めたハラール認証制度。その後各国に広がりました。

日本では、ムスリムフレンドリーであることはすなわち認証を取得することというような図式があるように思います。しかし、より大切なのは、巨額な設備投資と認証マークを得ることよりも、まずムスリムにくわしく説明することではないでしょうか。

信仰は個人のもの。醤油を使っているようだから食べない、というお客さんに、この醤油はアルコール分がゼロに近いものです、との説明があれば、安心して食べてくれるかもしれない。提供する側がしっかり説明し、その上でムスリムの消費者が選択する。上記のウェブサイトではそれが行われているわけですが、製造者から発信されていればこのようなサイトを参照する手間もかかりません。

イスラム教徒にとって非イスラム国での食は最大の課題で、シーフードとインド・パキスタン等料理ばかりが安心して食べれるというのは寂しいことです。現在のように、ムスリムの観光客の方々がわざわざ母国からカップ麺を持ち込まなくても、和食を安心して楽しんでもらえるムスリムフレンドリーな日本にしていきたいものですね。(インドネシア特派員/高野)

インドネシア・マレーシアのムスリムブロガー一覧

Assalamu’alaikum warahmatullahi wabarakatuh
アッサラームアライクン ワルマトゥローヒワバロカトゥ。
Bismillahhir rahmanir rahim
ビスミラヒロマニロヒム。
アジアクリックのアハマッド鹿野です。

全世界人口の20%強16億人もいるモスリム人口、その60%以上の10億人弱がアジア・大洋州に居住しています。イスラム教人口最大国インドネシア人口の8割強の2億5千万、国教がイスラム教であるマレーシア人口の6割強の1700万。この二国は言うまでもなく皆さんにとって最も興味のある国である事は間違いないでしょう。
しかし、全く知らない国、ムスリム教徒に対しマーケティングをする事は莫大な能力が掛かる事でしょう。
そこで、とても有効で無駄がないマーケティング方法をここでお教えしましょう。

■インドネシア・マレーシアへの口コミは、現地ムスリムブロガーが効果的

インターネットが普及している今、現地ムスリムブロガーを活用することが一番効果的だと考えます。彼らが体験した商品を自身のブログに掲載してもらい、コメントをもらう事で、需要の有無の判断が出来、更にモニターの役目まで担ってもらえ生の声も聞けるのです。彼らを活用することで調査に掛かるコストも削減でき、無駄な時間も抑えられ、生の声が聞けるというとても効率的で効果が上がる市場調査が出来ます。

例えば、このようなブロガーがいます。

—インドネシア・マレーシアのムスリムブロガープロフィール—

イスラム教徒(ムスリム)インドネシア・マレーシア人女性ブロガー_MG_7339-indonesia travelアジアクリックresize blogger - indonesia travel

インドネシア人20代女性。
トラベルブロガー。国内と海外の両方である観光スポットに関する情報を幅広く提供。
また、そのような世界を旅行に関連のヒント、ニュース、および他のような他の情報を提供。1日30000PV

マレーシア人30台男性。
トラベルブロガー。旅行やバックパッカーに関連し低予算で出来る個人旅行が中心。
旅番組に出演経験あり。月23000PV

インドネシア人20代女性
ファションブロガー。インドネシア人気ムスリムブロガー。
マレーシア観光PR招聘経験あり。2170000pv

インドネシア人10代女性
ビューティブロガー。インドネシア人気ブロガー。
日本某商品公認ブロガー。240000pv

など他にも多くの興味深いブロガーがいます。
また、去年でありますがインドネシア政府観光庁が、マレーシア人気ファションブロガー4名をインドネシアに招聘し、観光PRを彼女達のブログに掲載してもらいました。
日本政府経済産業省も同じような企画をしているようです。このよう事例から、どれだけ効果が有るかがわかりますね。

特に、自治体やホテル航空会社レストラン等、旅行業界はムスリム教徒集客やハラール対応などに対応着手していくためにムスリムブロガーを活用し、体験談を掲載してもらう事が一番効果的な近道でしょう。在日ムスリムとは全く違った感想が出るでしょう。

これから市場調査を考えている企業、自治体の皆様、PRに商品開発に、イスラム教徒ブロガーを活用してみましょう。
私日本人ムスリムのアハマッド鹿野がお手伝いいたします。

Assalamu’alaikum warahmatullahi wabarakatuh
アッサラームアライクン ワルマトゥローヒワバロカトゥ。
(日本人ムスリム・インドネシア市場コンサルタント、アハマッド鹿野)

イスラム教徒の旅行「イスラミックツーリズム」に広がる「ソフトイスラム」とは?

アッサラームアライクン ワルマトゥローヒワバロカトゥ。
ビスミラヒロマニロヒム。アジアクリックのイスラム教徒スタッフ、アハマッド鹿野です。

「イスラミックツーリズム」とはムスリム(イスラム教徒)が巡礼以外でも旅行を楽しんでいるという新しいキーワードであり、アジアで定着しつつあります。

日本でも東京オリンピック開催地が決定した事をきっかけにハラルフードなどを含めさまざまムスリム取り組みに対するビジネスの戦略を練っていますね。ムスリム大国といえばもちろんインドから東側の国になるのですが、ここ東南アジアでも巨大なムスリム大国が存在しております。

以下は東南アジアで多い国別のムスリムの比率です。

インドネシア 90%
マレーシア  60%
シンガポール 15%

ムスリムのアジアでの旅行が活発になったのは格安航空会社(ローコストキャリア、以下LCC)の存在がほとんどだといっても過言ではありません。マレーシアのクアラルンプール国際空港(KLIA)の調査によると、LCCが出始めた2000年とその12年後の2012年で利用者2倍の約4000万人に達成しました。

出典:www.beijingfeeling.com

エアアジアXの中で人気が高いのは近隣諸国以外に韓国、ソウル便の人気が高いのが意外な結果ですね。なぜならムスリムは豚を食べることを禁じられているのだが韓国といえば豚の料理が多いからです。しかし各国内では韓流ドラマがマレー語吹き替え版で放映されるなど韓国が心理的に非常に近い存在であるムスリムが多いようであります。この背景にあるのはおそらく若いムスリムは娯楽重視であるかもしれません。

ムスリムがさまざまな戒律をどこまで守るかは出身国、年齢などにより大きく異なります。
特に若い世代には戒律にも柔軟に対応する「ソフトムスリム」が増えているようです。このソフトムスリムとは電化製品を購入をし、娯楽に積極的で、スマートフォンを駆使して多くの観光情報を得ており、私たち同様LCCのチケットやホテルもネットから行っています。よって、ハラル対応サービスを入れ込んだツアーはもっと厳格な人向けで、ソフトムスリムは個人、小グループの旅行を楽しんでいます。また戒律では好まれないとされていた男女が入り混じったグループ行動もソフトムスリムの中では関係がなくグループ旅行も珍しくなくなって
います。
出典:www.eturbonews.com

このように同じムスリムでもそのレベルの信者をビジネスターゲットにするのかももちろんの事、イスラミックツーリズムを上手く取り入れ、またソフトムスリムという新しいターゲットも存在する事も認識したほうがアジアでの観光インバウンドに成功に導きやすいでしょう。

ムスリムを含めたアジア全域へのPRを網羅しているアジアクリックなら、あなたのムスリム取り込みビジネス戦略をお手伝いいたします。
(アジアクリックムスリムスタッフ/アハマッド鹿野)

 

ポカリスエットとデング熱、イスラム断食期の深い関係、大塚製薬の意外なPR戦略とは

こんにちは、アジアクリックシンガポールスタッフのHinaです。
今日は日本企業の皆様にも馴染みの深いブランドのイスラム世界に対しての成功事例を4回に分けてシェアします。

2030 年には世界人口の26% に達すると推計されるイスラム人口。ムスリム人口の国別上位 10 位のうち、4 位までがアジアで1位はインドネシア。またマレーシアはイスラム世界のハラル(イスラム合法)ハブになっており、人口3000万人に対しマレーシアを訪れる外国人観光客が2500万人と日本の2.5倍。私たち日本人の日常には遠く思われるイスラム教徒だが、シンガポールを中心とするASEANでは日常であり、日系各社もイスラム市場の取り組みをASEANマーケットからはじめている。今回はその成功事例ならびに、どこから手を付けるべきか、以下に実例を紹介します!

大塚製薬(インドネシア)が89年に発売された主力商品「ポカリスエット」は2000年前後まで販売状況が芳しくなかった。
日本で販売されているイメージPRの「のどの渇きを癒すスポーツ飲料」は熱帯のインドネシアでは通用しなったが、現在の販売数は年間4億円を超え、インドネシア国民にはなくてはならない飲料として浸透している。

この成功を導いたキーポイントは「デング熱」と「ラマダン(イスラム断食期)」といった現地特有の風土や文化に根差した明確なニーズを踏まえた事である。

同国には、蚊が媒介して時に40度以上の高熱が出る「デング熱」がたびたび流行する。このデング熱にかかった際の水分補給としてポカリスエットを使った顧客をヒントに、大塚製薬は病院を廻り、ポカリスエットの特徴と効果を地道に説明した。病院が勧める飲料として定着したのはそのためだ。

また、イスラム教徒が80%に上るインドネシアでの「ラマダン(断食月)」の間に人々が水やシロップ入りの飲み物を口にしていた事を注目、脱水時の水分、栄養補給に効果があるとメッセージを打ち出すPRをする事でラマダンの飲料として現地で受け入れられていった。

なお、コンビニに行くと、大塚製薬の大豆バー「SOYJOY」もポカリスエットの横に置かれている。大塚製薬はポカリスエットの展開で構築した流通網を使い、新たに「SOYJOY」の拡大に成功しつつある。

このように大塚製薬は、「デング熱」や「ラマダン」といった現地特有の風土や文化習慣に根差したニーズを踏まえたマーケティングで現地での信頼を獲得している。現地の文化的背景、感覚、ライフスタイルを徹底的に研究し、現地で求められているニーズを理解し、現地に特化したマーケティングを展開する事で成功している。