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タイランドゲームショウ2025現地レポート|ファンの愛がゲーム経済圏を動かす、PRはファンとの対話を大切に

サワディーカップ。バンコクから髙橋学です。この週末はタイランドゲームショウ2025に行ってきました。タイのゲーム市場は東南アジア地域において重要な成長市場として注目されており、2025年10月16~19日に開催されたgamescom asia x タイランドゲームショウ2025は、この成長を象徴する大規模イベントとなりました。本レポートでは、同イベントの概要、タイゲーム市場の最新データと将来予測、展示された主要ブランドとゲーム、B2B活動の詳細、日本企業への専門家アドバイス、および会場からの生の声をご報告します。

結論(この記事のまとめ)
タイゲームショウ2025は20万人以上の来場者を集め、年6.8%で成長するタイのゲームシーンを象徴する年に一度のイベントとなりました。
日本勢は物語性とキャラクターIPの強さで依然高い評価を得ていますが、会場ではアイデアも予算も実行力もある中韓勢に追いつかれていることを実感しました。当イベントではBtoBイベントにも力が入れられ、日本勢が生き残るには、支持されている「日本らしさ」を再確認し、シリーズとファンの歴史に基づいた「対話」をプロモーションに組み込むことでファン離れを防ぎ、新しいファンを育てていく必要があります。
最終日のタイゲーム賞では『Clair Obscur: Expedition 33』がGOTYなど主要3部門を同時受賞。

来場者は206,159人、BtoBイベントも盛況

gamescom asia x タイランドゲームショウ2025(以下タイランドゲームショウ)は、ドイツで開催される世界最大級のゲームイベント「gamescom」のアジア版と、東南アジア最大のゲームイベント「タイランドゲームショウ」が初めて統合開催された歴史的なイベントとなりました。

来場者は206,159人と主催者が発表、前年(2024年)の186,876人を上回る、過去最高の来場者数となりました。そのうちB2B来場者は5,000人以上、B2C来場者は185,000人以上とのこと。イベントはBtoB日程(10月16~17日)とB2C日程(10月17~19日)に分かれ、業界関係者と一般ゲーマーの両方に対応する形式となり、会場もバンコク都心のクイーンシリキット国際会議場(QSNCC)で、展示面積は前年比約40%増の30,000平方メートルに拡大されました。

イベントのテーマは「World of Gaming」で、タイの副首相兼財務大臣が開会式で登壇し、ゲーム産業がソフトパワーの強化を推進するタイの「New S-Curve」産業の一つとして、タイ国家経済の重要な柱になることが強調されました。

タイゲーム市場は2030年に1.4倍になる予測

さて、タイのゲーム市場についておさらいいたしましょう。

タイゲーム市場規模は、2025年は3,707億円規模で、2030年には約5,161億円に成長(2025年1月独Statista調べ )。年平均成長率は約6.8%で、これから5年間で約1.4倍に拡大する見込みです。

市場の特徴は、モバイルゲームが6割以上を占め、ユーザー数は2,347万人(人口の約36%)で安定推移する一方、既存ユーザーの課金額増加が成長の主要因となっている点です。タイのゲーマーの平均支出額は年数万円程度と東南アジア最高水準であり、課金意欲の高さが目立ちます。

日タイを比較すると、日本のゲーム市場は2025年時点で約2兆円規模とされており、タイ(約3,707億円)の約5倍の市場規模を持っています。ただし成長率ではタイが優位で、タイの年平均成長率6.8%に対し、日本は成熟市場として2~3%程度の緩やかな成長にとどまっています。

プラットフォーム構成も異なり、日本は家庭用コンソール・モバイル・PCがバランス良く発展している一方、タイはモバイルゲームが約6割を占めているものの、日本同様に熱心なPCゲーマーコミュニティが存在し、Steamはその中心的なプラットフォームです。

市場構造の課題として、タイゲーム市場の97.8%は海外ゲームの配信・輸入・ライセンス管理ビジネスが占めており、タイ国内のゲーム開発企業の市場シェアはわずか2%に留まっています。これはタイは後発であることに起因する海外ゲーム企業との競争激化、人材不足、資金調達の困難さなどが原因とされていますが、後述するように頑張っているタイのゲームスタジオもありますので、今後日本企業との協業やM&Aにも注目したいところです。

展示されたゲームとブランド

タイランドゲームショウ2025には、世界中から190以上の出展者が参加し、3つのホールにわたって展示が行われました。

エンターテインメントエリアには、バンダイナムコエンターテインメント、カプコン、コナミ、任天堂、Xboxゲームパス、HoYoverse、Ubisoft、Daedalic Entertainment、Mytona、Razer Game Services、Staika、VNG Games & NCV Games、Thermite Gamesなどの主要国際ブランドが出展しました。

ハードウェア関連では、AMD、Intel、Nubwo x EGA、Predator、SIGNO、SteelSeriesが最新のゲーミングギアを展示し、限定商品の販売やイベント限定プロモーションを実施しました。
ソフトもハードも、どのブースも限定品やスペシャル値引きが目立った印象です。

日本勢の出展:シリーズも完全新作も

日本からは複数の大手ゲーム企業が出展し、中韓勢に負けず大きな存在感を放っていました。

任天堂は、最新タイトル『ポケットモンスターZA』の試遊コーナーを設置し、Nintendo Switch 2本体とソフトの販売も行いました。
ソニー・インタラクティブエンタテインメントのブースでは、Ghost of YoteiやCode Vein2など各メーカーのPlayStation 5タイトルの試遊ができました。
カプコンは歴代最大規模のブースで、『バイオハザード レクイエム』『モンスターハンター ストーリーズ3』『鬼武者リメイク』『プラグマタ』などが試遊できました。
これら数あるゲームの中でも、特に『鬼武者』と『プラグマタ』は行列が長かったです。

また、JETROも日本ゲームブースを出展しました。国を挙げてのゲーム産業推進は韓国や中国が先行していますが、海外でも日本政府のさらなる後押しを期待したいところです。

中国・韓国・シンガポール・マレーシア・タイ各ブースの様子

中国からはHoYoverse(『原神』『崩壊:スターレイル』の開発元)が大きな注目を集めました。中国のモバイルゲーム企業はタイ市場において強力な存在感を放っており、特に、チームで戦う「MOBA(モバ)」というゲームの分野では、「モバイルレジェンド」がタイでは常に上位に位置しています

会場には韓国パビリオンも出展し、ソフト/サービスの輸出を意識したB2B商談が行われていました。

Garena(シンガポール拠点)は、タイ市場において圧倒的なユーザー数を誇る『RoV (Arena of Valor)』と『Free Fire』を展開しています。RoVはタイのeスポーツシーンで最も人気のあるタイトルの一つであり、Free Fireも若年層を中心に広くプレイされています。これらのタイトルは、タイゲーム市場のエコシステムにおいて極めて重要な地位を占めています。

マレーシアブースは十分には見られませんでしたが、マレーシア国内のゲーム企業を取りまとめて出展していました。

これら各国のゲームが入り乱れる会場では、タイ語で「これは中国のゲーム?日本のゲーム?」とタイ人にも見分けがつかなくなっているという声を数回耳にしたことに驚きました。

我らが日本ブランドは、目新しさは多くないものの、堅実なゲーム設計と強力なキャラクターIPで差別化しており、特に物語性や日本らしい「かわいさ」、シリーズの伝統と歴史に根差した萌えや胸熱展開が高く評価されています。
一方、中国企業はモバイルゲームとeスポーツ分野で強みを持ち、基本無料モデルとソーシャル機能を重視した設計、内外面ともに魅力的なキャラクターのグッズとの横展開で市場シェアを拡大しています。 代表的な例として、昨今話題の「無限大ANANTA」は、各名作ゲームの良い要素をパクったと言われる内容で大人気となっているのが記憶に新しいところです。

また、会場内東側には「タイパビリオン」と「インディーゲームエリア」が設置され、タイ国内の開発者による20タイトル以上のゲームが展示されました。Urnique Studio、FairPlay Studios、GambitGhost Studio、Barking Kitten、Jumbo Jumpsなどのタイスタジオが参加し、10月17日のインディーゲーム講演に登壇。約80タイトルのインディーゲームが展示され、世界中のインディー開発者と出版社が参加しました。私個人としても『The Shadow of AYUTTHAYA』など、世界遺産アユタヤ遺跡の舞台と雰囲気を活かしたタイらしいゲームに、タイのゲーム業界の成長を強く感じました。

世界のゲームクリエイターと繋がるBtoBイベントも豊富

タイランドゲームショウ2025のBtoBカンファレンスでは、20カ国以上から70名以上のスピーカーが登壇し、2つの主要ステージで講演が行われました。

基調講演として、近未来宇宙船探索ゲーム『デッドスペース』の生みの親であり、『コール オブ デューティ』スタジオが登壇し、「ひらめくための10個の方法」をテーマにゲーム制作の創造方法について講演し、ゲーム業界が「壊れ、打ちのめされ、傷ついている」状態にあるとし、業界を立て直すための3つの提案として、第一にAIの積極的活用、第二にHRへの投資、第三にE3(世界最大級の米ゲーム見本市)の復活を、タイのゲーム業界関係者に呼びかけました。この提案に対して同イベントでゲーム業界の発展やイノベーションに長年大きく貢献した業界人に贈られる「ライフタイム・アチーブメント賞」が贈られました。

その他の主要スピーカーにはMarvel Games(代表作マーベル・ライバルズ)、Ubisoft(FPS定番のRainbow Six: SiegeやFar Cry 5)、Pocketpair(パルワールド)、Bethesda(スカイリム)など、ゲーマーにもなじみのあるの作品の錚々たるスタジオが揃いました。

カンファレンスは2つのメインステージに分かれ、開発制作ステージはゲーム開発と制作に関する技術的トピックを扱い、広報・ビジネス戦略ステージはゲームのマネタイズ、クロスプラットフォーム開発、アジア市場向けの言語・文化へのローカライズ、AIを活用したコンテンツ制作などのビジネス戦略を議論。

さらに、プレゼンステージがBtoBエリアに設置され、スポンサーや出展者による商業的・技術的プレゼンが行われました。出展企業は最新技術、ゲームエンジン、開発ツール、広報宣伝サービス、マーケティングソリューションなどを紹介し、BtoB参加者は自由に聴講できました。タイのゲーム業界においても、国境を超えたB2Bイベントを通じて、最新トレンドや商業ソリューションを学ぶ機会が広がっていると感じます。

ビジネスマッチングと商談機会を提供

BtoBビジネスエリアには、18カ国・地域の国別パビリオンとブースが並び、タイからはデジタル経済振興庁パビリオンとタイランド・パビリオンを含む30社超のタイゲーム企業が出展しました。投資家交流会・VIP懇親会では、ゲームのパブリッシャーと投資家の直接対話が行われました。

インディーゲーム事業提案コンペティションは、アゴラ・ゲーミング・パートナーズ(ゲーム領域のベンチャー支援ファーム)主催で開催、優勝者に賞金が授与されるなど資金調達や事業提案の機会を提供。また、タイの学生による20作品も展示されるなど、タイには多くの支援制度とビジネスチャンスがあることが強く印象づけられました。

このように、BtoBエリアはアジア最大級のゲーム業界交流会として機能し、出版社、開発者、投資家、サービスプロバイダーが一堂に会する場となりました。タイ政府デジタル経済振興庁(depa)も、今後ますます力を入れると表明しています。

また来場者には、イベント公式のgamescom biz アプリが、当イベント公式のBtoBネットワーキングプラットフォームとして提供されました。このアプリは、登録されたビジネス来場者と出展者に対して無料で提供され、ウェブ版とモバイルアプリ版の両方で利用可能。タイのイベントではこの種のBtoBアプリが一般的で、主催者は成果の可視化とネットワーク拡大ができ、参加者にとってはデジタル名刺として機能し、アクティビティ予約や会場地図、連絡先交換などの利便性が高まります。

タイゲーム市場攻略の鍵は「日本らしさ」「タイ人の射幸性」と「ファンのゲーム愛」

日本の強みを活かすべき領域

先に少し触れましたが、タイにおける日本ゲームの強みは、高品質なストーリーテリング、キャラクターIPの強さ、かわいい・未来感やノスタルジー感のあるアートディレクションにあります。最近では『SILENT HILL f』や『NINJA GAIDEN』『龍が如く』シリーズなどがタイのゲーマーに好評です。タイのゲーマーは若年層のFPSにとどまらず、30~40代にもJRPG、マリオやソニックなどに代表されるアクション・レースゲーム、そしてキャラクターコレクション要素を持つ『ポケモン』や『Fate』『ウマ娘』などに高い関心を示しています。日本企業は、感情に訴えるストーリーとエモいビジュアル演出の両輪の「日本らしさ」メッセージを強化するとタイ人消費者の心に響きやすいでしょう。

タイの射幸性文化とゲーム消費行動

タイ市場の特徴として、文化的背景に根ざした射幸性への親和性があります。タイ政府公認宝くじは国民の間で極めて人気が高く、研究論文によればタイ人口の約7割が何らかの形で宝くじ的活動に参加経験があるとされています。宝くじは寺院での祈願や縁起の良い数字選びなど、文化的・精神的慣習と日常的に結びつき、仏教文化における「バラミー(功徳)」や「チョークディー(幸運)」の概念が深く根付いています。幸運を呼ぶお守りや僧侶の祝福、数字の縁起担ぎが日常生活に組み込まれており、このような特別な数字を見つけると幸運を期待し、その週の宝くじを買うことも比較的一般的です。

よって、ゲームにおける射幸性要素への親和性として、ランダム報酬システム(ガチャ、ルートボックス)に対する抵抗感が比較的低く、「運試し」としてのゲーム内課金が文化的に受け入れられやすい土壌があります。同様な意味で、限定キャラクターやレアアイテムの獲得は、属しているクラスタでのステータス(自慢)となる傾向もあります。

さらに、キャラクター収集やアイテムコンプリートへの強い欲求があり、SNSでの成果共有が消費行動を促進しています。昨今では中国発LABUBU(ラブブ)や、タイから日本にブームが逆輸入されたモンチッチなども人気で、日常の学校や職場などのコミュニティ内での優越感・承認欲求が購買動機となり、課金を促進する構造が見られます。

日本企業にとっても、これら習慣・文化的背景を理解したうえでのガチャシステム設計は重要です。ただし、昨今、ゲーマーの中で特に大量生産ガチャJRPGゲーに対しての批判の主要要因となっていることが記憶に新しいように、過度な射幸性煽りではなく、文化的に受容される色合いの「運試し」の演出、透明性のある確率表示と適切な天井システムの実装という消費者目線でのコンプライアンス遵守、適度なコレクション達成感とコミュニティ共有機能の充実、といった倫理的配慮と責任あるゲーム設計のバランスが求められています。
つまり、ガチャとキャラクターコレクション要素はタイ市場でも受容性が高い一方で、課金ありきではなく、キャラクターへの愛情や独自の世界観を大切にする制作とPRが、IP寿命を延ばし、MD(マーチャンダイジング)による効果的なマネタイズにもつながると考えます。

ゲーム経済を動かすのはファンの愛。ファンのゲームとの思い出を大切に

会場では多くの来場者が、好きなゲームや、興味を持ったゲームに熱中していました。様々に提供されるキャラクター限定品や体験型のプレゼントキャンペーンも楽しめたようです。
各ゲームにはシリーズがあり、消費者にもそれぞれのゲームに親しんできた歴史とたくさんの知識、感情、思い出があります。
大前提として、ゲームのプロモーションは、その作品と消費者との「対話の歴史」を理解していなければ、心に残る打ち出しはできません。
過去を知らないままプロモーションを設計することは、むしろ炎上のリスクさえあります。
私どもアジアクリックの各メンバーもすべての作品を遊び尽くしているわけでも、すべてに同じ熱量の愛があるわけでもありませんが、20年にわたるゲームへの情熱と、AAAゲームからインディーゲームを含めた現地でのマーケティング経験を積み重ねてきました。
タイをはじめ東南アジアでのゲームの現地プロモーションは、私たちアジアクリックにお任せください。

アジアクリック 高橋学

追記:

【速報】Thailand Game Awards 2025 受賞結果まとめ!GOTYは『Clair Obscur: Expedition 33』が獲得!

本日2025年10月19日、アジア最大級のゲームイベント「Thailand Game Show 2025(タイランドゲームショウ)」のメインステージにて、今年の優れたゲームやデバイスを表彰する「Thailand Game Awards 2025」の結果が発表されました。

今年の「Game of The Year」の栄冠は、Sandfall Interactiveが開発を手がける期待のRPG『Clair Obscur: Expedition 33』に輝きました。
同作は「Best PC / Console Game」「Best RPG Game」も同時受賞し、見事3冠を達成しています。 流石です。タイ人にも人気でしたので納得です。

gamescom asia x Thailand Game Show 2025 Day 2 Highlights Cover

以下に、発表された主な受賞結果を速報としてまとめました。

【Thailand Game Awards 2025】 受賞結果まとめ

▼ ゲーム部門

【ゲーム・オブ・ザ・イヤー(年間最優秀ゲーム賞)】 Clair Obscur: Expedition 33

【ベスト PC・コンソールゲーム賞】 Clair Obscur: Expedition 33

【ベストRPG賞】 Clair Obscur: Expedition 33

【ベストモバイルゲーム賞】 ウマ娘 プリティーダービー

【ベストインディーゲーム賞】 エンダーマグノリア: ブルームインザミスト

【ベスト格闘ゲーム賞】 餓狼伝説 City of the Wolves

▼ ゲーミングギア部門

【ベストゲーミングマウス賞】 Razer DeathAdder V4 Pro

【ベストゲーミングヘッドセット賞】 SteelSeries Arctis Nova 3X

【ベスト携帯ゲーム機賞】 Nintendo Switch 2(任天堂スイッチ2)

【ベストゲーミングスマートフォン賞】 ROG Phone 9 Pro Edition

【ベストゲーミングノートPC賞】 Lenovo Legion 9i

【ベストノートPC向けCPU賞】 Intel Core Ultra 9 285HX

【ベストゲーミングCPU賞】 AMD Ryzen 7 9800X3D

【ベストゲーミングモニター賞】 ASUS ROG Swift OLED PG27AQDP

出典: https://gamingonphone.com/news/gamescom-asia-x-thailand-game-show-2025-day-1-highlights-fireside-chats-indie-showcases-and-industry-insights/


 

受賞結果に見られる傾向と共通点:日本コンテンツに勝機あり

 

今年の「Thailand Game Awards」の受賞ラインナップからは、いくつかの興味深い傾向が見て取れます。

1. 期待の新作RPG『Clair Obscur: Expedition 33』の圧勝

今年の授賞式で最も注目すべきは、期待のJRPG風新作『Clair Obscur: Expedition 33』が年間最優秀ゲーム賞を含む主要3部門を制覇したことです。これは、タイおよびアジア市場のゲーマーが、大作シリーズだけでなく、親しみやすくもパリシステムなど革新性や、フランスの芸術性の高いタイトルを高く評価しました。当スタジオは驚くほど少人数でしたし、私もプレイしましたが主要3部門を制覇は本当に納得の結果です。

2. 日本産ゲームコンテンツの根強い人気

ゲーム部門では、『ウマ娘 プリティーダービー』『エンダーマグノリア』『餓狼伝説』と、受賞6部門のうち半数を日本のゲームが占めました。モバイル、インディー、格闘ゲームという異なるジャンルでそれぞれ高い評価を得ており、タイのゲーム市場における日本産コンテンツのブランド力と根強い人気を改めて証明する結果となりました。嬉しいですね。それぞれ横展開やシリーズ展開を行っているので今後にも期待。

3. 「次世代」と「ハイエンド」がキーワードのゲーミングギア

ゲーミングギア部門では順当に「Nintendo Switch 2」が賞を獲得。また、CPUやモニターでは各社のハイエンドモデルが選ばれており、最高のゲーム体験のためには高性能なデバイスへの投資を惜しまない、コアゲーマー層のハイエンド志向が反映されていると言えるでしょう。タイは日本ほどPCパーツは揃っていませんが熱量は同じものを感じます。 ライバル機のXbox ROG Alleyも試遊と展示を頑張っていましたが、GamePassのやらかしも影響したのか今ひとつパッとしていませんでした。今後、最強のハンドヘルドゲーム機であるSteam Deckとの差別化に期待というところでしょうか。

以上、ご参考になれば幸いです。  日本のゲーム業界頑張って参りましょう!

タイは世界8位の高付加価値訪日市場|ラグジュアリー旅行会社との協業が必須

結論(要点)

タイは訪日「高付加価値旅行(1名あたり着地消費100万円以上)」で、旅行者数・消費額ともに上位グループの重要市場です。国別ではタイはシンガポールに次ぐ8位で、構成比は3.3%、英国・中東より上位です。
クレジットカード決済額でもタイは8位です。
したがって、全24市場の中で8位規模の高付加価値旅行ターゲットが実在する有望市場と言えます。
タイの高付加価値旅行者の誘致には、特殊な高付加価値旅行会社(Luxury Travel Agency)との協業が不可欠です。

「高付加価値旅行」の定義

日本政府観光局(JNTO)は「1回の旅行で1名100万円以上を消費する訪日旅行」を高付加価値旅行と定義しています。2023年の全訪日客に占める比率は2.4%、59万人でした。

タイが高付加価値訪日旅行市場である数値的根拠

タイ訪日市場は高付加価値旅行
高付加価値訪日旅行者数:タイは3.3%で8位(中国、米国、台湾、香港、韓国、豪州、シンガポールに次ぐ)。英国(2.8%)・中東(2.0%)より上位。

高付加価値消費額:タイは3.3%で8位(上位国は同上)。英国・中東より上位。

クレジットカード決済額でタイは8位タイ訪日市場は高付加価値旅行

次々とタイで実施される高付加価値訪日旅行ツアー

タイ市場では100万円超レンジの訪日商品が実際に企画・販売されています。季節や在庫により構成は変動しますが、直行便+専用車+上質宿泊+特別手配を核に、撮影映えとストーリー性を備えた体験が選ばれやすいという傾向は一貫しています。
例えば、JR東日本のリゾートトレイン四季島(
1名約200万円)がタイに販売枠が割り当てられたり、1名100万円を超える東北ツアーが完売しており、現地でも高付加価値旅行が実際に企画・催行されている事実があります。

なお、タイにおける東北ツアーは一般的に、スイスなどの欧米ツアーより高価です。

タイ発スイスツアーの例

今年の旅行博において、スイスツアーはおおよそ、
スイス周遊8〜9日で、例えばドイツ・オーストリア・スイス(アルプス横断)8日、
イタリア・スイス・フランス(3か国)9日等が6~8万THB(約30~40万円程)で販売されています。

タイ発東北ツアーの例
・【1名約71万円】 Elite Holiday & Agency「Tohoku Sendai Tour」(6泊7日) 1人あたり147,500THB(約71万円)。
行程:青森、岩手、秋田、山形、仙台、東京

・【1名約77万円】 Top of the World(13泊14日) 1人あたり159,900THB(約77万円)。
行程:大阪、能登半島、黒部、上越、新潟、佐渡、会津、足利、東京

以上から、欧米より高くなる傾向のある東北などの地方へのツアーは、タイ市場においては一般的な海外ツアーではなく、タイ人にとっては高付加価値旅行に属する商品であり、地方は高付加価値を高めるプロモーション施策を検討するのがタイの市場性に即していると考えられます。

高付加価値旅行者の特徴は「手ぶら」

「直行便・ラグジュアリーホテルが重要」
ここでいう「手ぶら」とは、荷物・移動・段取りの負担を最小化し、滞在の質を最大化する選好を指します。具体的には、直行便/専用車/上位客室を前提に、当日変更に対応できる事前準備を極力想定して設計することが鍵になります。タイ人高付加価値旅行者(富裕層)は意味のない移動を好まず、徒歩は5分でも敬遠されることがあります。投資対体験という、意味のある体験について時間対効果(タイパ)を重視し、通常はタイのフルサービスキャリアであるタイ航空を選びます。

宿泊は和モダンスタイルの、布団敷きよりベッドタイプを好む傾向があります。ハイブランドの5つ星ホテルまたは洗練された建築・デザイン・サービスに定評が高いか、歴史的ストーリーのある高級旅館を求めます。温泉は客室に個室設備または貸切風呂で眺望の美しさ、和の雰囲気でのプライベート感を重視します。

レストランや食事ではアレルギー対応、宗教対応、苦手食材の確認が必要で、ビーガンやベジタリアン対応も求められます(宗教以外の、家族の慣習による食事制限の場合もあります)。 基本的には、ご当地でしか食べられないAuthentic(真正)なグルメを希望していますが、何食も連続して和食や海鮮が続かないように、高付加価値旅行取扱旅行会社(Luxury Travel Agency)は気を遣って食事の予定を入れます。 2025年時点のタイ・ミシュランガイドには、三つ星が1店、二つ星が7店、一つ星が28店、グリーンスターが4店、ビブグルマンが156店掲載されていますので、高付加価値旅行者が普段触れているグルメについて確認するのも良いでしょう。

「移動は最小・アクティビティは柔軟に」
タイの高付加価値旅行者は、欧米人高付加価値旅行者のように活動的でない傾向があり、普段は多くのスタッフをかかえ投資事業や会社経営を行って生活しています。タイの歴史的・文化的理由から、日常で家事・運転を外部化する世帯が多く、高付加価値旅行者でなくともメイドさんや運転手さんがいるのは一般的です。
よって、自分の時間や判断が優先されることが当然である価値観であるため、旅行中も自身での
運転や体験など、労働に近いと判断される活動は敬遠され、逆に手ぶらで気軽なリラックスさと利便性を重視し、突然の行程変更に対応できる柔軟さが求められます。 彼らも、モバイル決済を登録したスマートフォンだけは手に持っています。
同じ理由で、(年中暑いタイ生活の影響なのですが)徒歩移動や
長距離移動は好まず、状況によっては途中で切り上げたいニーズがあります。 移動手段はマイクロバスや大型ミニバン(例:アルファード)、貸切大型バスなどで、買い物を大量に行いかつ利便性を高めるため、新幹線のグランクラスと荷物運搬用の専用車を同時に使うことも珍しくありません。
旅行中は、タイの高付加価値旅行者も、家族の思い出のために
撮影や写真スポットを重視し、アクティビティそのものよりも撮影を優先する傾向があります。
また、十分なショッピング時間の確保も重要です。

これらの気の利いた行程を組めるのが、これらの配慮を一括設計できるのが、高付加価値旅行会社(Luxury Travel Agency)です。タイから高付加価値旅行者を誘致するなら、彼らとの連携が重要です。

高付加価値旅行会社(Luxury Travel Agency)との協業は必須

タイには、JNTOの「訪日旅行を取り扱う旅行会社」リストに含まれていない、規模は小さくとも長年に渡る人脈と信頼で富裕層(高付加価値旅行者家族)のカスタマイズ旅行や、予算をふんだんに使えるタイ政府部門やタイ企業の報奨旅行を企画・実施している高付加価値旅行会社(Luxury Travel Agency)が複数存在します。

彼らと高付加価値旅行者誘致を協業するには、

五つ星のハイブランドホテルや、高級旅館があればまず伝える(宿泊先が活動の起点になる)
②世界でもユニークな観光資源はなにか、惹きつけられる写真を提供(アフリカのサバンナや、アラスカのオーロラを見ている人たちですので、誘致にはそこにしかない唯一無二の体験は必要)
③次回の顧客への旅先案提示時に、提案してほしいと依頼(1人1泊5,000円程度の宿泊助成金よりも、出迎え横断幕や、ゆるキャラ出張などが喜ばれることも多いです)

の3ステップが基本となります。

まとめ:タイは「質も量も」狙える市場

以上より、タイからの高付加価値旅行は規模と購買力の両面で無視できない市場です。
訪日数でも2025年上半期(1–6月)に約68万人で、全体6位の主要市場となっています。

また、誘致には高付加価値旅行会社(Luxury Travel Agency)との協業が必須と言えます。

マス向けでなく、富裕層(高付加価値旅行者)へ向けた高付加価値旅行をタイやシンガポールから検討されたい自治体・DMO・旅行会社・PR会社等団体様は、お気軽にご相談ください。

アジアクリック 高橋学

タイ食品素材商談会レポート|日系素材に勝機あり

現地からの所感|Fi Asia & Vitafoods Bangkok 2025

Fi Asia & Vitafoods(2025年09/17〜19、バンコク・QSNCC国際会議場)は、主催の事前案内ベースで出展750社超・来場23,000人超・来訪70カ国超の規模で、今年は体験型の展示が増え、歩いて回っても楽しい構成でした。
日系では、麺・ベーカリー・ビール向けのアルギン酸提案がとくに目立ちました。タイは日本食のすそ野がどんどん広がる一方で、運営はタイ資本の店も多く、味や食感が「惜しい…!」に落ち着く場面もまだある。そこで“ふわっと膨らむパン”“茹で伸びしにくい麺”“きめ細かい泡のビール”を実現する素材の出番。小さな処方でも口当たりはガラッと変わるので、日本食の底上げ×日系素材の出番はまだまだあるな、という実感です。

会場スナップを3つ。

  • 香料ブースでは、寿司レーンみたいな回転テーブルに「チョコ、抹茶、ゆず…」と香り付き試食品が次々流れてくる仕掛け。立ち止まった瞬間に“香りで理解”させ、そのまま商談させるのがうまい。

     

  • 中国勢のブースでは、同時に何人もライバーがスマホで「生配信」。視聴コメントを拾いながら、その場でサンプルや価格の説明まで進むスピード感が圧巻。

     

  • いっぽう日本の多くのブースは、来てくれた人に機能や事例を丁寧に説明→商談という“対面の深さ”が強み。中国ブースのライブ発信の波とは真逆だけど、信頼を積む感じはやっぱり日系らしい。

日系アルギン酸デモ(麺・ベーカリー・ビール)

食の質を上げる日系素材に勝機

タイの日本食マーケットは年々拡大しているが、現地タイ資本が多く、味や食感に課題が多い。つまり日本品質にはまだまだ及ばないため、そこへアルギン酸や麹など“日本の技術・素材”が入る余地は大きいと実感。 麺のコシ、パンのふわっと感、ビールの泡持ち——小さな処方で体験価値が一段上がり、結果として訪日経験で口の肥えたタイ人にはまり、日本食カテゴリー全体の単価と満足度を押し上げられるはず。

加えて、会場で目立った「同時ライブ配信で一気に商談母集団を作る中国勢」や「回転レーンで“香り・味”を次々試させる香料ブース」の見せ方は、日系も取り入れられる余地あり。“機能性と緻密さ+ライブや演出”で、来年はもっと良い商談チャンスを獲りにいけると思います。

FAQ(Fi Asia & Vitafoods Bangkok 2025)

Q. いつどこで開催されましたか?
A. 2025年9月17日〜19日、バンコク都心のQSNCCで開催されました。

Q. 規模はどのくらいでしたか?
A. 主催の事前案内ベースで出展750社超、来場23,000人超、来訪70カ国超の見込み規模でした(最終確定値は未公表)。

Q. 日系は何が目立ちましたか?
A. アルギン酸(麺・ベーカリー・ビール向け)や麹など、食感・風味を底上げする素材提案が目立ちました。

Q. 具体的な日本企業の例は?
A. 三菱商事ライフサイエンス、KIMICA、イワキ、野村貿易、高砂香料など。

Q. それらの素材が注目される理由は?
A. タイで日本食が年々拡大し、品質の均一化・高付加価値化への需要が高まっているため。少量配合でも“麺のコシ”“パンのふわっと感”“ビールの泡持ち”など体験価値を上げやすいからです。

Q. イベント時の会場レイアウトの特徴は?
A. Fi AsiaはG階、VitafoodsはLG階で、目的別に回遊しやすい分割配置でした。

Q. 他国のブースで印象に残った点は?
A. 中国勢は同時多人数のライブ配信で商談母集団を広げ、香料ブースでは回転寿司レーンのような回転テーブル展示で“香り体験”を連発していた点です。

Q. 日本勢の強みと課題は?
A. 強みは機能性と、対面での丁寧な商談と技術の緻密さ。課題は“スピードと演出”の強化(ライブ配信・即サンプル出荷・即時見積など)です。

Q. タイの日本食市場は拡大している?
A. はい。日本食レストランは2024年に5,916店(前年比+2.9%、+165店)で、2007年745店から約7.9倍と裾野が拡大しています。

Q. 地域別の店舗分布は?
A. バンコク都2,672(+2.7%)、近郊5県873(+2.7%)、その他地方2,371(+3.1%)です。

Q. 業態別の動きは?
A. ラーメン802(+8.2%)、居酒屋480(+9.8%)、蕎麦・うどん36(+16.1%)が増加、一方で寿司は1,279(−6.8%)でした。タイ資本が目立ちます。

Q. タイ外食市場の足元は?
A. 2024年は約5,450億THB(+8.9%)規模、2025年は約5,720億THB見通し(+4.8%)と堅調です。

Q. 来場者の主な属性は?
A. 食品・飲料・サプリ関連の開発、購買、事業責任者が中心で、試食・試飲や機能性相談の需要が高い層です。商談は英語で問題ありません。

Q. 次のバンコクでの食品関連の展示会はいつ?
A. 以下になります。
・2025-10-01〜10-03|BITEC(Bang Na, Bangkok)|Thailand Bakery & Ice-Cream 2025|ベーカリー/アイスクリームの原材料・製菓機器・包装の展示会
・2025-10-02〜10-05|BITEC(Bang Na, Bangkok)|ASEAN Café Show 2025|コーヒー/ティー/ベーカリー/アイス/カカオの総合カフェ産業展
・2025-10-15〜10-17|BITEC(Bang Na, Bangkok)|LogiMAT & LogiFOOD Southeast Asia 2025|食品・コールドチェーンを含む物流/サプライチェーンの展示会
・2026-05-26〜05-30|IMPACT Muang Thong Thani|THAIFEX – Anuga Asia 2026|アジア最大級の食品・飲料総合見本市(参考:タイ最大の食品商談会。来年分も既に予約が始まっており、2025年12月を待たずに予約がいっぱいになりそうな勢いです)

最新の現地事情など、ご不明な点はお気軽にご相談ください。

アジアクリック 高橋学

(以下現地写真が続きます)

写真は以上です。

台湾観光フェア(バンコク)レポート|エンタメ性で訪日関心を高めるヒント

バンコク都心の商業施設 エムスフィアで、2025年9月12日(金)〜14日(日) に台湾観光の大型プロモーション「TAIWAN Travel Fair 2025」が開催されました。来場登録は無料、会場での各体験参加者を対象に「台湾往復航空券が当たる抽選」などの特典も用意され、期間中にぎわいが続いていました。

台湾も重視するタイ人観光客、楽しませる企画に学ぼう

台湾観光局は、タイ人旅行者を最重要ターゲットの一つとして位置づけており、体験型イベントや車両ラッピング広告など、バンコクでの露出を年間数度ほどと定期的に展開しています。今回の会場でも、飲食・工作・舞台企画を組み合わせた“触って学べる”導線が意図されていました。

イベントでは、タイの人気俳優・Alek Teeradetch(アレック・ティーラデート)によるステージやファンと行く台湾ツアーの紹介、タイ最大手のQuality ExpressやFORMOSAなどタイ旅行会社によるツアー紹介がステージや旅行会社ブースにて連日行われました。

実際の販売商品と価格の例:

(左)クルーズ船MSC BELLISSIMAによる「台湾 & 日本沖縄」2カ国クルーズ
69,900バーツ~/2025年12月10–15日、同22–27日。バンコク発着、台北経由で沖縄方面へ。販売:Arcadia Cruise Center。

(右)「アレックと行く台湾ファンミーティング」4日3泊
19,800バーツ/2025年10月23–26日、STARLUX Airlines 利用。行程例:台北101、九份、野柳地質公園 ほか。主催:RAKYIM TOUR。

“体験”のメニューも豊富で、DIYゾーンでは
台湾ゼリー試食、阿里山コーヒー、ホイールケーキ、ハンカチのシルクスクリーン刷り、タイルの手描きブローチ/コースター、ミニ提灯づくりなどを実施。


ステージゾーンでは
オープニング、「台湾についてどれだけ知っていますか?」クイズ、中国雑技Eye Catching Circus「Liu Sheng Ji」の披露、アーティスト「No One Else」の出演、そしてアレックのファンサービスが実施されました。

タイ人来場者の声

来場したタイ人たちに聞くと、次のような声が目立ちました:
「台湾と比べて、日本は四季や行く場所の多さが魅力」

「でもPRは台湾や他国の方が上手で、楽しくて参加したくなる」

「日本のイベントは各ブースがパンフレット配布中心で退屈になりがち」

「(日本の)パンフレットは教科書的でワクワクしにくい。海外旅行は仕事ではなく“エンタメ”」

外国人観光客にとって訪日はエンタメ。PRはもっと楽しい体験型に

今後タイでも、JNTOのFITフェアや、タイティアオタイ/ノック、Japan Expo、TTAA主催のTITFと立て続けに日本PRイベントが続きます。
せっかくタイ人と面と向かって会える機会です。デジタルの説明だけでなく、

●配布物だけで終わらせず、来場者が「作る」「味わう」「撮る」「当てる」といった体験を通して楽しめる仕掛けを用意しましょう。五感とゲーム要素を取り入れ、家族や友人など旅行を共にする相手と一緒に参加できる設計が効果的です。

●価格×体験の“見える化”:会場で具体的な旅程と価格をその場掲示(今回の例:19,800Bのファンミ、69,900Bの二カ国・台湾と沖縄を巡るクルーズ)し、参加しやすくしよう。

●年間を通じた露出頻度を確保しましょう。単発で終わらせず、SNSや日本関連の主要イベントで継続的に露出を行い、季節ごとの体験型イベントを組み合わせて観光地の想起を維持しよう。

まずは、イベントでパンフレットを配るだけでなく、抽選やクイズ、同エリア内の複数ブースと連携したスタンプラリーなど、参加型の仕組みを導入しましょう。
有名人の起用が難しい場合は、地元のマイクロインフルエンサーや来場者のSNS(ハッシュタグ投稿)を活用したプレゼントキャンペーンなど、予算や運営負担が軽い手法から試してみてください。
具体的な成功事例を踏まえ、私たちも支援いたします。

●お知らせ

1度の訪日で1名100万円以上を消費するような、地方への良質の外国人観光客の誘致のため、
タイとシンガポールからの「高付加価値旅行」誘致支援を開始しました。
https://asiaclick.jp/2024/08/08/6390/

東南アジアからの誘客は、お気軽にご相談ください。

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バンコクで中国観光イベントが開催|中国ツアーは格安、訪日ツアーに影響も

中国の誘客イベントがバンコク都心で開催

バンコクの大型複合施設One Bangkokで、2025年9月12日~14日の週末に、中国観光・文化イベント「月見を楽しみ、満月は世界じゅうに」が開催されました。
ステージでは中秋節をテーマにした舞台が催され、四川省重慶やなどの自治体、Air Chinaや中国東方航空などの航空会社がブース出展し中国の地方のPRが行われました。

中国ツアー商品は格安で、四季の豊かな旅行先が揃っている

会場では、中国銀行などによる旅行商品の特別割引や0%分割払いといった価格面での訴求が前面に押し出されていました。 中国ツアーの価格は、たとえば重慶3泊4日が9,333バーツ(約43,000円)、同じチラシ内に掲載された東京・富士山ツアー5日3泊が26,888バーツ(約124,000円)と比較すると、訪日ツアーに比べて非常に安価でした。
中国ツアーは、北のハルビンから南の昆明まで幅広い気候帯を有し、日本と同様に一年を通じて春の花、夏の自然、秋の紅葉、冬の氷雪といった四季の観光地を横断的に提案できる点が強みとしです。

 

日本の地方のインバウンド誘致担当者も、中国など格安ツアーの競合を分析し、「高かろう・良かろう」戦略に役立てよう

更に、昨今はCompax – ASAHI TravelやA Double Plus、Jubilee Travelなど地方の訪日ツアー企画に特に強いタイの有力旅行会社や、Quality ExpressやSUPER TRIPといったタイの大手旅行会社が中国旅行商品の取り扱いを強化し続けています。 販売リソースや告知枠が中国向けに配分される局面が増えることで、同時期の訪日商品の露出や販売機会が相対的に薄くなる傾向が見られます。

日本側は、以下の点を進めることで、競合の強みを踏まえつつオーバーツーリズムに対処し、持続可能な誘客につなげることができます。

① 価格ではなく体験価値・時間価値で差別化
日本の地方ならではの体験や文化的価値を前面に出し、中国のような分割払いや早割、セット特典などの「安売り競争」は前面に出さず、富裕層や日本文化を理解できるタイ人リピーター層を地方に誘致する。

② 季節×地域の独自性を生かしたPR再設計
冬の景色とグルメ、秋の紅葉と温泉、春の桜と花見弁当といった、日本ならではの組み合わせで魅力を打ち出す。

③ 旅行会社が活用できる素材の早期提供
タイ人の目線で「美しい」「Unseen(まだ知られていない)」と感じられる画像や動画、モデルコースを作成し、遅くとも各シーズンの半年前までに現地旅行会社へ提供する。

当社も、タイとシンガポールからの「高付加価値旅行」誘致支援を開始しました。
https://asiaclick.jp/2024/08/08/6390/

お気軽にご相談ください。

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バンコク美容展示会レポート| タイで伸びる自然由来コスメと日韓・OEMのいま

タイ国際美容BtoB商談・展示会「COSMOPROF CBE ASEAN」が、2025年6月25日~27日にバンコクのクーンシリキット・ナショナルコンベンションセンター(QSNCC)で開催されました。来場は66の国・地域から2.3万人超、出展は21カ国・約2,000ブランドと、規模・熱量ともに昨年を上回る盛況。会場は「ブランデッド製品(Branded Finished Products、完成品)」と「サプライチェーン(原料・包装・OEM/ODM・機器)」の二本柱で、タイでのOEM/ODMサービスが、タイでのコスメティック新製品立ち上げを加速させていました。
期間中はCosmoTalksやSpa & Wellbeing Congress等の業界向けセミナーも実施され、市場・規制・ウェルネスの最新トピックが共有されました。

参加バイヤーの声

世界66か国・地域から2万3,000人超の来場者(バイヤー・業界関係者)が訪れ、以下のように、世界的なサプライチェーンと繋がれるとの声が聞かれました。

「単なる見本市ではなく業界が交わる場。会社の強みを見せ、次の成長へつなげられた」――Milott Laboratories(タイ)
「イタリアなど海外の一流企業と出会えるゲートウェイになっている」――Italian Trade Agency(バンコク)
「タイだけでなくシンガポール、マレーシア、インドのバイヤーともつながれた」――Medicube(韓国)
タイの製造は世界水準と思う。処方とパッケージの進化が新しい協業を後押しする」――Streamline Beauty India(インド)

会期中に目立ったブランドと消費の傾向

次から紹介する会場で集めた人気のブランドは、強い日差し・高温多湿というタイの気候や、現地の肌トーンに合った提案、そしてオーガニックといった自然由来の成分の訴求が目立ちました。ベースやリップは現地の肌になじむ色設計、日中の外出を意識したUV発想など、「タイで使いやすいこと」が選ばれる鍵になっています。

日本ブランドの出展内容

Naris Cosmetics(ナリス化粧品)は長年の実績による安心感を、自然由来の成分で健康にもやさしいとの訴求で試用させており、バイヤーにも好評価を得ていました。
静岡本社で普段はオーガニックハラールブランドVKSARAを展開するPlaisirは今回、BIHANDブランドを「MADE IN JAPAN」として展開し安全・安心を強調していました。

韓国ブランドの出展内容

Seoul Sisterはカラフルでキャッチーな世界観と「ひと塗りで変わる」体験訴求で、短時間メイクの需要を直撃。
タイでは韓流の影響が強く、美容といえば韓国を第一想起する人も多く、会場では韓国ブランドの家庭用のデュアル超音波美顔器が人気を集めており、タイにおいても家庭用美顔器市場の成長が見込まれているそうです。

OEM~ODMも検討、国ごとに慎重に進めよう

CFME(Thailand)社は韓国の処方トレンドとタイ国内生産を掛け合わせ、MOQや納期、原価のバランスを取りながら、韓国系処方を売りにしながら生産は“Made in Thailand”としてPR訴求し、安定供給も両立しているそうです。

気候・肌トーン・価格帯の期待値が国ごとに異なるASEAN市場では、こうしたOEM/ODMを活用し、「まずは少量で検証→ヒットしたSKUを増産」という段階的な進め方が、ブランド拡大の近道になりそうです。

まずはタイをはじめとしたASEAN各国の展示会や商談会を覗いてみてください。私たち現地スタッフもサポートいたします。

アジアクリック 高橋学 /タイスタッフ K. SODA

“高付加価値市場”が始動— バンコク日本博2025・訪日トラベル商談会レポート

結論・概要

バンコク日本博(NIPPON HAKU BANGKOK)は、クイーンシリキット国際会議場で毎年9月初旬ごろに行われるタイ最大級の日本文化フェスです。今年で10年目。教育・旅行・食・サブカルまで日本の体験が集まり、3日間の会期中は10万人以上が訪れます
初日の会場2階では訪日トラベル商談会(BtoB)を実施。日本側は山形から熊本までの自治体・DMOが13団体、タイ側は旅行会社38社、全6セッション×15分の自由商談形式で進みました(司会進行はアジアクリック・高橋学が務めさせていただきました)。 その結果、家族や6〜12人の少人数で楽しむ高付加価値のFITと、30〜200名のインセンティブの両輪で具体案件が一気に前進。特に長崎・五島列島や群馬の温泉地といった新しい行き先の検討が進み、山形・和歌山など定番の深掘りも着実に動きました。人手不足に伴う宿泊価格上昇や、中国各地の低価格ツアーとの競合が激しくなる中、対面で日本旅行らしい高品質な体験を伝えることで“選ばれる理由”を明確化できると感じました。

商談会の様子

商談の進み方:開始直後から各テーブルで商談が一斉に開始。名刺交換のあと、場所の確認・魅力・最新情報・移動時間・概算費用・受入上限・食や禁忌といった実務ポイントを、日タイ双方がパンフレットとQRコード先の詳細資料を行き来しながらテンポよく商談を進めていく流れでした。

  • 日本側の声:6セッションでも途切れず商談できた/新たな有力旅行会社と出会えた/FITとインセンティブで具体送客の話が複数出た/一度で多くの有力会社に会えるので効率的だった
  • タイ側の声:長崎・五島列島や群馬の温泉など、既存顧客に提案しやすい新ルートを具体化できた/山形・和歌山など定番も最新の詳細情報で商品化の解像度が上がった/デスクリサーチには限界があるため、継続的な対面やファムトリップの機会がほしい

トピック:途中、くまモンがサプライズ登場し、雰囲気が一段と和みました。熊本への関心喚起にもつながりました。

タイ訪日の課題と打ち手

日本国内では人手不足などを背景に宿泊価格が上昇し、繁忙期はホテル・旅館・バスの確保が難しい状況が続いています。加えて、中国東北部ハルビンから四川省・成都まで中国大陸各地の季節ツアーが格安で販売され、訪日の強力な競合となっています。こうした状況下のもと、日本の地方で好感されたのは
(1)新規性×体験性が高く旅行会社に依頼すべき行き先(長崎・五島列島、群馬の温泉地等)の提案と、
(2)定番(山形・和歌山等)の深掘り=滞在時間と消費価値を魅力的に伸ばす情報提供です。
さらに、「FITモデルコース」と「インセンティブツアーモデルコース」の2種類を事前に用意し、「なぜその地域なのか」「いくらで・いつ・どの規模で受け入れられるのか」を一目でわかる形にするとツアー企画に落とし込みやすく、タイ旅行会社の意思決定も早く前進するでしょう。

高付加価値な「FITグループ」と「インセンティブツアー」を狙おう

タイ市場で日本の地方が選ばれる鍵は、価格ではなく、家族や仲間とともに過ごす「記憶に残る訪日体験」にあります。
高付加価値なFITとインセンティブという二本柱を意識し、モデルシートでその理由と条件を「高付加価値」として見える化することで、次シーズンの実際の送客につながります。
来年以降もこの対面商談の場を継続し、地域の魅力を丁寧にお伝えしていきたいと考えています。

タイをはじめシンガポールやフィリピン等、東南アジアからの訪日誘客に関するご相談は、お気軽にお声がけください。

アジアクリック 高橋学

【タイ中小企業博覧会 2025】来場者1.5万人、39 RAMENが急成長の秘訣を語る

2025年8月7日〜10日、バンコク・IMPACT Exhibition Center Hall 7-8で「タイ中小企業博覧会 2025(SMART SME EXPO 2025)」が開催。約10,000㎡に、飲食をはじめとした200超のフランチャイズが集結し、4日間で15,463人もの来場者が訪れました。
来場者からは『必要な情報が揃う』『優れたパートナーが見つかる』との声が寄せられるとともに「ビジネスの仕組みや素材についてさらに詳しく知りたい」という前向きな要望も多く、会場全体に高い熱意が感じられました。

商談総額約9億円

主催者発表では、353件の商談成立/商談総額202百万バーツ(約9.1億円:1バーツ=4.5円換算)もの成果とのこと。売上総額287百万バーツ(約12.9億円)、融資申請186百万バーツ(約8.4億円)、総経済効果474百万バーツ(約21.3億円)の見込みと、タイの景気停滞感の中でも新規投資の動きは堅調です。

人気ブランド例

今回とくに目立ったのはアジアの飲食系フランチャイズでした。タイでのこのようなBtoBイベントでは、試食の食べ歩きも楽しみであり、各ブースでは思い思いに食材を試食しながらわいわいと商談が進んでいます。

  • Sukishi Korean Charcoal Grill:家族層に好感の韓国式BBQ。韓流&韓国旅行体験が後押し。

  • Mikucha(タピオカティー):若年層ドリンクの定番。台湾旅行の体験需要が原動力。

  • COCO WALK(ココナッツドリンク):健康志向×タイらしさで着々と支持拡大。

  • ボートヌードル:仲間や家族で楽しめる「わんこ式」おかわりの楽しさで幅広く浸透。

実は、アジアの食がタイで広がっている背景には、ソースメーカーがタイ人の嗜好に合わせた多様な味のソースを提供するようになったことがあり、それが新商品開発のハードルを下げる要因にもなっています。

39 RAMEN特別講演(成長ストーリーと実務ノウハウ)

急成長中の日本式ラーメン39 RAMENは、特別セミナーで「小規模店舗から全国展開」の軌跡を公開。

  • ブランディング&マーケ:価格帯・体験価値・出店立地の一貫設計。

  • フランチャイズ運営:品質担保のスーパーバイザー導入、オペ標準化、仕入れ共同化、教育体系。

  • 市場開拓:郊外モール→幹線道路沿い→地方中核都市へ段階展開した、とのこと。

最大の特徴は1杯39バーツ(約175円)という圧倒的低価格で、「手軽に食べられる日本食」市場を牽引。背景にはタイでの日本ラーメン人気の広がりがあり、石川県発祥の8番らーめんなどローカル展開が全国に浸透。さらに市場の価格帯は約39〜450バーツと厚みがあり、一風堂や神戸本店 Enishi(ミシュラン掲載)では400バーツ超(約1,800円〜)の高価格帯も成立しています。39 RAMENはこのタイ多層市場の“ラーメンエントリー層”を押さえた戦略で存在感を高めており、39バーツというインパクトはBtoB会場でも目立ったようです。

タイ進出時はC2C2Bを意識

タイ市場にはC2C2B(Consumer to Consumer to Business)が根づいています。旅行で体験した食文化が口コミで広がり、市場を形成し、ビジネスに発展する流れです。韓国式BBQ、タピオカ、日本ラーメンの浸透もこの「旅行体験の逆輸入」が土台です。
近年、タイ人の間で日本食が日常に溶け込むスピードは飛躍的に加速しており、それを裏付けるように訪日タイ人の数も力強く回復しています。2024年には114万8,900人に達し前年から15 %増、2025年上半期だけでも68万50 0人に達して前年比10 %増と、コロナ前の状況とは明らかに違う勢いです。
しかしながら、タイ市場は世界のトレンドを素早く取り込む一方、日本企業には訪日体験と現地消費を橋渡しする設計が欠かせません。
①まずはイベントやタイフェックスなどで試食提供し市場の反応を確認、
②信頼できる現地ディストリビューターと契約して小ロット検証、
③共同購買・共同物流によるコスト圧縮、
④ヒット後に現地生産やOEMへの段階的移行を検討——
この流れを通じて、関係者全員に利益が行き渡る持続的な生産・流通体制を築けるかどうかが勝負どころです。
当イベントのようなBtoB商談会は、成功事例と課題を同時に比較できる、海外展開を考える企業にとって貴重な学びの機会です。

業界別の最新状況や、今後のイベント・商談会についてもお気軽にお問い合わせください。

アジアクリック 高橋学

【出典】SMART SME EXPO 2025 主催者公式発表(2025年8月10日)
MGR ONLINE 

日本だけじゃない!タイ人観光客を中国が熱烈歓迎【タイ発中国ツアーも続々】

2025年、中国はタイとの国交樹立50周年を記念し、複数の文化・観光関連イベントを実施。中国政府および地方自治体が主導し、タイとの関係強化と観光誘致を積極的に進めています。

タイ・中国国交樹立50周年記念イベント(バンコク)

2025年7月30日、バンコクの中国文化センターにて「中国・タイ国交樹立50周年文化交流イベント」が開催。
当日は、少林寺武術団による演舞や中国伝統料理の展示が行われた。タイ観光業界からも関係者が参加し、文化交流と観光協力の意義を再確認する機会となりました。

同センターはMRT(地下鉄)「Thailand Cultural Centre駅」近くのラチャダー通り沿いに位置し、これまでも中国文化普及の拠点として機能しています。

「サワディー&ニーハオ」プロジェクト🇹🇭🇨🇳

2025年5月29日~6月1日、バンコクのセントラルワールドにて「Sawasdee Ni Hao(サワディー・ニーハオ)」イベントが開催。
このイベントは中タイ国交50周年を祝う大型プロジェクトの一環であり、両国の観光・経済分野の連携強化を目的として実施されました。

タイ政府関係者の出席に加え、中国からも複数の観光局代表・重鎮が来泰し、現地メディアや旅行業界向けにプロモーションを展開しました。

タイ首相経験者のペートーンターン氏も中国語でメッセージを伝えました

タイ元副首相のピニット氏「特に少林寺の伝統は、困難に直面しながらも自衛と生存を求めた実生活の闘いを描いた無数の映画にインスピレーションを与えてきました。」

エアアジアによる中タイの記念機体運航✈

2025年7月9日、タイ・エアアジアは国交樹立50周年を記念し、特別塗装を施した記念機(エアバスA320)を発表。
機体には、タイのナーガと中国の龍をモチーフとした記念ロゴが描かれ、観光誘致キャンペーンの象徴として運航が開始されました。

この取り組みは、両国の象徴を組み合わせたビジュアルを通じ、航空・観光分野の連携強化、ひいてはタイをはじめとした航空分野における“一帯一路”の拡張を、国内外、特に東南アジアにアピールする狙いがあります。

中国の各地方がタイ人誘致を強化、一帯一路の地ならしの側面も

中国の地方自治体も積極的に・個別にタイ人観光客の誘致を進めています。特に雲南省、広東省、海南省などでは、タイ語に対応した観光資料の作成やオンラインキャンペーンを展開しており、中国南部の自治体や航空会社を中心にファムトリップも積極的に実施しています。

また、ご存じのとおり、タイにおける中国ツアーの参加費用は、訪日ツアーの数分の一となっています。
ご参考までに、中国ツアーのスクリーンショットを以下に掲載しています。

(タイ最大手の旅行会社であるQuality Expressによる中国ツアー)

(2025年8月、タイ有力旅行会社Compax world – ASAHI travelによる「プレミアム中国ツアー」シリーズ広告。例年に比べて中国ツアーがよく売れるとのこと)

観光インバウンドは中国にとって「収益事業や地方活性化」にとどまらず、「外交・覇権戦略の一環」として位置づけられており、特に東南アジアにおいては「一帯一路」と密接に結びついています。したがって、日本が東南アジアからの訪日誘致を進める際には、現場レベルでも知らず知らずのうちに中国の影響圏(投資・交通インフラ・人材交流)と競合していることを強く意識する必要があります。

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参考URL

【レポート】仙台がバンコクを彩ったジャパンフェア「THE MALL JAPAN DISCOVERY 2025」

2025年7月25日から8月3日まで、タイ・バンコクにある商業施設「ザ・モール ライフストア バンカピ(M GRAND HALL, G階)」にて、定期定期に開催されているプロモーションイベント「THE MALL JAPAN DISCOVERY 2025」が仙台の七夕祭りをテーマとして開催されました。

本イベントでは、宮城県仙台市が観光と食の両面でタイ市場に向けたプロモーションを実施。既存の「SUGOI JAPAN」イベントの仙台バージョンとして、東北ならではの魅力を発信しました。


会場演出・体験コンテンツ

会場は仙台七夕まつりをイメージした華やかな吹き流しで彩られ、日本らしい雰囲気が漂っていました。

タイ人来場者は、短冊に願い事を書く体験にも参加し、「家族の健康」や「幸せ」など、思い思いのメッセージを日本文化に倣って記していました。

さらに、浴衣を着て日本式の人力車(じんりきしゃ)に乗る体験も提供され、家族連れを中心に人気を集めていました。

また、仙台市の公式観光キャラクター「むすび丸」も登場し、記念撮影などを通して交流を深める姿が多く見られました。

ステージ上では「DAISUKE SENDAI – LEGEND OF SAMURAI」と題した本格的な時代劇パフォーマンスが行われ、映画のような演出に会場全体が引き込まれていました。子どもから大人まで、タイ人参加者から非常に高い評価を得ていたのが印象的です。


仙台・宮城の特産品販売

物販コーナーでは、仙台や宮城県の特産品が多数紹介・販売されていました。中でも注目されたのは以下のような商品です。

  • 仙台牛の焼き実演

  • ずんだ餅やずんだスイーツ

  • 喜久福(抹茶大福)

  • いかめんたい、もずく、そうめんなどの海産加工品

グルメを通じて、仙台の食文化に触れられる機会として、試食や購入を楽しむタイ人来場者の姿が多く見られました。

バンコクの中間層は日常的に日本料理を食べるようになってきており、一通りの日本料理は揃っているため、昨今は特に地方料理に興味が向けられています。


タイ市場へ進出する意義

現在のタイ市場では、訪日旅行先の選定基準として「地方らしさ」や「食体験」が強く求められています。中間層・富裕層ともに旅行意欲は高く、タイ語でも地方へ訪問するための情報はそろっていますので、たくさんある候補地の中でもSNSを通じた情報拡散や刷り込みによって「まだ知られていない魅力的な地方都市や地方」を訪問先として選ぶ傾向がますます強まっています。

また先にも触れたとおりバンコクの訪日リピーターにとって、本物の食、まだ食べたことのない地方ならではのグルメは訪問地候補に入るためのでも重要な要素の一つであります。

仙台市のような地方中枢都市は、東京・大阪とは異なる独自性あるコンテンツを「東北・東日本としての広域周遊で」提供できるため、今後の訪日インバウンドにおいて、タイ人訪日リピーターにとってとても有望なディスティネーションであり、その意味で、今回のように現地イベントを通じて体験的に訴求する手法は、非常に効果的なPRアプローチと評価できます。

その他、昨今のタイや東南アジアでの有効な最新プロモーション事例などはお気軽にお問い合わせください。

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