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ASEANブログREPORT

 タイ食品素材商談会レポート|日系素材に勝機あり

現地からの所感|Fi Asia & Vitafoods Bangkok 2025

Fi Asia & Vitafoods(2025年09/17〜19、バンコク・QSNCC国際会議場)は、主催の事前案内ベースで出展750社超・来場23,000人超・来訪70カ国超の規模で、今年は体験型の展示が増え、歩いて回っても楽しい構成でした。
日系では、麺・ベーカリー・ビール向けのアルギン酸提案がとくに目立ちました。タイは日本食のすそ野がどんどん広がる一方で、運営はタイ資本の店も多く、味や食感が「惜しい…!」に落ち着く場面もまだある。そこで“ふわっと膨らむパン”“茹で伸びしにくい麺”“きめ細かい泡のビール”を実現する素材の出番。小さな処方でも口当たりはガラッと変わるので、日本食の底上げ×日系素材の出番はまだまだあるな、という実感です。

会場スナップを3つ。

  • 香料ブースでは、寿司レーンみたいな回転テーブルに「チョコ、抹茶、ゆず…」と香り付き試食品が次々流れてくる仕掛け。立ち止まった瞬間に“香りで理解”させ、そのまま商談させるのがうまい。

     

  • 中国勢のブースでは、同時に何人もライバーがスマホで「生配信」。視聴コメントを拾いながら、その場でサンプルや価格の説明まで進むスピード感が圧巻。

     

  • いっぽう日本の多くのブースは、来てくれた人に機能や事例を丁寧に説明→商談という“対面の深さ”が強み。中国ブースのライブ発信の波とは真逆だけど、信頼を積む感じはやっぱり日系らしい。

日系アルギン酸デモ(麺・ベーカリー・ビール)

食の質を上げる日系素材に勝機

タイの日本食マーケットは年々拡大しているが、現地タイ資本が多く、味や食感に課題が多い。つまり日本品質にはまだまだ及ばないため、そこへアルギン酸や麹など“日本の技術・素材”が入る余地は大きいと実感。 麺のコシ、パンのふわっと感、ビールの泡持ち——小さな処方で体験価値が一段上がり、結果として訪日経験で口の肥えたタイ人にはまり、日本食カテゴリー全体の単価と満足度を押し上げられるはず。

加えて、会場で目立った「同時ライブ配信で一気に商談母集団を作る中国勢」や「回転レーンで“香り・味”を次々試させる香料ブース」の見せ方は、日系も取り入れられる余地あり。“機能性と緻密さ+ライブや演出”で、来年はもっと良い商談チャンスを獲りにいけると思います。

FAQ(Fi Asia & Vitafoods Bangkok 2025)

Q. いつどこで開催されましたか?
A. 2025年9月17日〜19日、バンコク都心のQSNCCで開催されました。

Q. 規模はどのくらいでしたか?
A. 主催の事前案内ベースで出展750社超、来場23,000人超、来訪70カ国超の見込み規模でした(最終確定値は未公表)。

Q. 日系は何が目立ちましたか?
A. アルギン酸(麺・ベーカリー・ビール向け)や麹など、食感・風味を底上げする素材提案が目立ちました。

Q. 具体的な日本企業の例は?
A. 三菱商事ライフサイエンス、KIMICA、イワキ、野村貿易、高砂香料など。

Q. それらの素材が注目される理由は?
A. タイで日本食が年々拡大し、品質の均一化・高付加価値化への需要が高まっているため。少量配合でも“麺のコシ”“パンのふわっと感”“ビールの泡持ち”など体験価値を上げやすいからです。

Q. イベント時の会場レイアウトの特徴は?
A. Fi AsiaはG階、VitafoodsはLG階で、目的別に回遊しやすい分割配置でした。

Q. 他国のブースで印象に残った点は?
A. 中国勢は同時多人数のライブ配信で商談母集団を広げ、香料ブースでは回転寿司レーンのような回転テーブル展示で“香り体験”を連発していた点です。

Q. 日本勢の強みと課題は?
A. 強みは機能性と、対面での丁寧な商談と技術の緻密さ。課題は“スピードと演出”の強化(ライブ配信・即サンプル出荷・即時見積など)です。

Q. タイの日本食市場は拡大している?
A. はい。日本食レストランは2024年に5,916店(前年比+2.9%、+165店)で、2007年745店から約7.9倍と裾野が拡大しています。

Q. 地域別の店舗分布は?
A. バンコク都2,672(+2.7%)、近郊5県873(+2.7%)、その他地方2,371(+3.1%)です。

Q. 業態別の動きは?
A. ラーメン802(+8.2%)、居酒屋480(+9.8%)、蕎麦・うどん36(+16.1%)が増加、一方で寿司は1,279(−6.8%)でした。タイ資本が目立ちます。

Q. タイ外食市場の足元は?
A. 2024年は約5,450億THB(+8.9%)規模、2025年は約5,720億THB見通し(+4.8%)と堅調です。

Q. 来場者の主な属性は?
A. 食品・飲料・サプリ関連の開発、購買、事業責任者が中心で、試食・試飲や機能性相談の需要が高い層です。商談は英語で問題ありません。

Q. 次のバンコクでの食品関連の展示会はいつ?
A. 以下になります。
・2025-10-01〜10-03|BITEC(Bang Na, Bangkok)|Thailand Bakery & Ice-Cream 2025|ベーカリー/アイスクリームの原材料・製菓機器・包装の展示会
・2025-10-02〜10-05|BITEC(Bang Na, Bangkok)|ASEAN Café Show 2025|コーヒー/ティー/ベーカリー/アイス/カカオの総合カフェ産業展
・2025-10-15〜10-17|BITEC(Bang Na, Bangkok)|LogiMAT & LogiFOOD Southeast Asia 2025|食品・コールドチェーンを含む物流/サプライチェーンの展示会
・2026-05-26〜05-30|IMPACT Muang Thong Thani|THAIFEX – Anuga Asia 2026|アジア最大級の食品・飲料総合見本市(参考:タイ最大の食品商談会。来年分も既に予約が始まっており、2025年12月を待たずに予約がいっぱいになりそうな勢いです)

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アジアクリック 高橋学

(以下現地写真が続きます)

写真は以上です。