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 【ラオスってどう?】タイ&チャイナプラスワン検討のため視察を

サバイディー! ラオス首都ビエンチャンから高橋学です。
昨今、タイの賃金上昇によるタイプラスワンとして、また反日にさらされているチャイナプラスワンとしてラオスが注目されています。

■消費者市場としては小さくも、生産拠点として注目度が増すラオス

本州と同じ大きさに700万人が住むラオス、首都ビエンチャンは約70万人。ズバリ、消費者市場としてはバンコクやホーチミン、マニラ等々に比べて弱いと言わざるを得ません。

しかし、生産拠点としては検討に値します。
まず、ラオス人はタイ語が理解でき、ノウハウや人材が転用できる。また電力は売るほどあり、電力料金が安いこと。

首都ビエンチャンの労働者の月給は132ドル(約1万3700円)と、タイ・バンコク(345ドル)や中国・深セン(329ドル)の約3分の1。タイでは最低賃金1日300バーツ(約960円)に引き上がり、人件費高騰が日本企業を直撃。また、1%を切る失業率のため人材獲得も簡単ではなく、離職も多いです。

そんな中、日系企業のラオスへの一部工場移転が始まっています。
象徴的なのがニコンとトヨタ紡織の中部の主要都市、サワナケートへの進出。ニコンはタイで組み立てるデジタル一眼レフカメラの一部の生産工程をラオスに移管。トヨタ紡織はタイの生産拠点を補完する場所としてラオスに自動車用内装部品の工場を設立。ラオスを選んだ理由は賃金の安さに加え、「タイ語が通じる」(ニコン関係者)こと。ラオス語とタイ語は8割程度同じという声があるほど類似しており、それぞれ自国の言葉を話しても意思疎通が図れるのです。ニコンにいたっては、タイ人のマネージャーをラオス工場のオペレーションに当たらせ、日本人は常駐せずにラオス工場を稼働させています。それだけラオスはタイからの技術移転が容易なのです。
実際、ビエンチャン市内にいても、多くの人とタイ語が通じます。理由はタイのテレビを幼少の頃から観ているから。兄弟言語のタイ語はラオス人にとっては文化的にも馴染みが深いのです。

また、ラオス南部の主要都市、パクセ近郊に日本の中小企業の一大集積地ができようとしています。すでに創作着物のアンドウ(京都市下京区)、かつらメーカーのフェザー(大阪市城東区)、日系電子部品メーカーのジャパンテックが工場を稼働済み。
今後も低い人件費を武器に労働集約的作業工程を引き受け、タイの生産活動を補完するというも のになると考えられる。

人件費が魅力のため、一部BPOとして生産工程をラオスにアウトソーシングし、中国やタイへの偏った生産工程依存のリスクヘッジを行っていくのがラオスという位置づけになりそうです。

■課題は人材募集と物流、やる気?

しかし、ラオスは、日本の本州ほどの広さの国土に千葉県と同程度の人口しか住んでいな いため、生存競争が厳しくなく、労働意欲や勤勉さに不安が残るのも事実。しかも、中国やタイからラオスへ一部生産工程を移管しても、人件費の安さでコスト削減にはなるものの、ラオス現地700万人マーケットを狙った売り上げ拡大にはつなげにくそうです。マーケットならインドネシアジャカルタ、ベトナムやフィリピンのマニラ首都圏の方が魅力でしょう。

海に面していない立地も物流面で不利ですが、タイプラスワンとしてタイとの取引だけであればノンカイやウドンタニなどを通し物流面は大丈夫でしょう。
人件費は安く、物流の選択肢が制限されるラオス。
リスクヘッジとなる親日国として、一度仏都ビエンチャンおよび周辺工場地域の視察をお薦めします。
(アジアクリック/高橋学)